《転生屋の珍客共〜最強の吸鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜》第20話 三剣豪

どんな願いをも葉えると伝えられる聖杯が眠る鉱山では迫した空気が流れていた。というのもここにいる者は極裏の任務の最中でそれが上手くいっていないとなると尚更だ。

特にこの場の監督であるダーバンは焦っていた。これから帝都からあの有名な三剣豪が來るのだから。

そして遂に時は來た。

「聖杯はまだ見つかっていないのか?」

堅牢な銀の鎧をに纏った茶髪の男。彼こそは竜殺しとして有名な三剣豪の一人マクアス。

「マクアス様⁉︎ 申し訳ありません。どうやら特殊は結界があるようで探知が難しく進行狀況はあまり良くありません」

勇者を討伐したという大きな利はあったが本懐である聖杯奪取はいまだに進展はない。上から何も言われないのはあの男のおかげだがダーバンそれを納得しておらず、苛立ちを隠せないでいた。

しかし、あの三剣豪の前でそれを出すほど彼は愚かではない。

「ふん、三剣豪全員を招集するから既に見當はついていると思ったがとんだ無駄足だな」 

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次に現れたのは軽裝備だがそこから見てとれる格の良さが威圧じさせる騎士。三剣豪の中で最も若年だがに熱いザックス。

「ザックス、俺たちは騎士だ。王の指示に文句を言わず全うするのが我らの役目」

彼を止めたのは普段は溫厚だが戦の際は荒っぽい格になる事から二つの顔を持つ騎士として有名なネグリス。

「分かっているネグリス。分かってはいるがここでジッとしているのは我慢ならんのだ。こうしている間にも戦友がを流していると思うと……」

「辛抱しろ。我々グラハグが聖杯を手にすれば二度とそのような思いはしなくていい」

「王を疑うわけじゃねえが、聖杯だなんていまだに俺は信じられねえぜ」

その旨を伝えられたのは三剣豪でもつい最近の事。最高機である聖杯の実在を聞かされたというのは王に認められた証でもあるがあまりにもれがたい真実だ。

「私は聖剣の方が信じられないな。たった一人であのシーカー殿の軍を壊滅に追いやったとか」

り上がり軍師の事か。あいつは嫌いだったがあれでも國で一番戦果をあげてた野郎だ。勇者と引き分けだとしても惜しい奴を失ったぜ」

そのせいもあって勇者を討伐したというのにグラハグ軍は攻め切れていないというのが現狀。そんな中で今力のある三剣豪をここに集めたというのは王がこれを最重要視しているからこそ。

「だが聖剣は持ち主が死んでも他の者へと引き継がれるという。そうなる前に是非、聖杯を手にしたいものだ」

というプレッシャーをけつつもダーバンは道案をする。

「では三剣豪の皆様方、こちらへどうぞ」

辿り著いたのは他とは打って変わって広くなっていてその先はいくつも道が分かれている。

「この近くに聖杯が?」

「他の場所は既に調査済みです。殘すはこの先だけですので間違いないかと」

「それで予定では後どれくらいだ?」

「全てを確認するのは長く見積もっても一、二週間はかかるかと」

聖杯を探すのは金を探すよりも困難で聖剣の報を元に探知機を製作したがその數はなく、そのせいもあって進行は遅い。

「それまで俺たちはここで待機しろと? しかし、ここに敵など來れまい。関門を上手く抜けたとしても戦場となるのはこの迷路のような鉱山。地の利はこちらにある」

迷路のようではあるが地図がある事でこちらではそれを利用し、有利な狀況へ持ち込める。

「ならば來るとしたら鋭だろう。それも戦わずして聖杯を手にれようとしてくるはず」

「では俺たちはここではなく戦場へ向かうべきだ! 戦果を挙げてこそ國の為、王の為となる」

「これは先を見據えての判斷だよ、ザックス。ここは所謂隠し玉の一つ。もしあちらがここを攻め込むなら何かしらき出し、そちらに気を惹きつけるようにするだろうがここに我々がいる事でそれは途端に悪手となる。何せ、守りの薄くなった帝都にこの大軍だ。長きに渡る戦爭に終止符を打てるだろう」

それは戦う者にとって最高の名譽、そして誰もがんでいる未來。戦爭など誰もしたくないのだ。

「流石だなネグリス。では俺は力仕事をしながら待つとしよう」

「ザ、ザックス様のお手を煩わすわけには……」

「止めても無駄だぞ。ザックスはこれと決めたら曲げない主義らしいのでな」

彼のおかげで聖杯探しは順調に進んでいったが、この會話を聞いていた者がいた。

それはコウモリ。話を聞き終えると帰り際に敵から地図を奪い、アンネの元へと戻った。

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