そこはの半分以上が機械と化した男の世界。彼の脳で展開される、謂わば電脳世界。彼一人だけが存在する世界ーーなのだがそこへルインが何処からともなく現れた。

「邪魔するぞ」

「君は？」

予想外の出來事のはずだが、彼は淡々と質問をする。これにはルインもし戸ったが、それはそれで話が早いと自己紹介にる。

「俺はカレイド・ノスフェラトゥーグ・ルインだ。この転生屋で働いている。といってもつい最近ったばかりの新人だが」

「この私の電脳世界へって來れたという事は同族ですか？」

「いや、殘念だがここへ來れたのは俺と外にいる悪魔の能力のおかげだ」

流石の俺も電脳世界へるは持っていない。そこで俺とベルの能力を組み合わせる事でこうしてどうにか來れたわけだ。

「そうですか。それで、わざわざここまで來て私に何の用でしょうか？」

「し助言をしようと思ってな。那由多もある異世界をいちいち確認するのは大変だろう」

「その件は既に終わっています。後は決めるだけという段階まできています」

あの膨大な量の報をこの短時間で確認し終えたというのか？　時間をかければ俺にも出來るが、これが機械の力という事か。

「ふむ、それは順調で何より。何か希があれば今聞いて參考にするが」

「希……ですか。正直、私は自分が何故転生を許されたのかが疑問でそういった気分ではありません」

過去に何をしたかは知らないが、どうやらワケありのようだ。しかし、何をしたかを聞くのは無粋だろう。

「考え過ぎだと思うがお前がそう思うのなら辭退するのも一つの選択肢だと思うが」

「選択肢ーーそこなのだ。私がこうして悩んでいるのは。明確な解答が見つからない」

「當たり前だ。まず、答えなど存在しないのだからな」

計算式には一つの答えがある。

機械化している彼にとってそれを導き出すのは簡単だ。

しかし、正解も不正解もないには答えられない。それが機械の限界。

「では私はどうしたらいい？」

「それは俺に聞くべきではない。己に聞くべきだ。そうでないと後悔する事になるぞ」

こればかりは長年生きた俺でも勝手に決められる事ではない。

「……分かった。ではもうし考えてみよう」

「それがいい。お前の答えが出たのなら教えてくれ」

正直、この電脳世界に長居をしていたら俺でも危険だ。このがどうなるか分かったものではない。

もし閉じ込められでもしたら俺の願いは葉えられなくなる。

來た時と同様にベルの力を借りて外をへと出る。

「ど、どうしでした？」

「おかげで上手くいったようだ。答えが出るまでじっくり待つとしよう」

それから一週間後、彼が出した答えは思ったよりも素樸なもので普通の人間に戻るというものだった。

リルフィーはそれを承諾し、彼が選んだ世界へと転生させた。そこは聖剣も魔法もない世界。

彼はそこで彼にしか出せない答えを出している事だろう。