今朝は騒音で目覚めた。

騒音の中心はあの客が案されていた場所だ。

何事かと慌ててそちらへ行くと既にそこには全員が揃っていた。

「何があった？」

「分からないわ。この中で何かあったのは確かだけど誰がるか決めようとしてたんだけど……丁度いいわ、あんたが行きなさい。これは店長命令よ！」

命令ならば仕方がない。

そっと扉を開けるとそこには珍客の代わりに見知らぬが不敵な笑みを浮かべて仁王立ちしていた。

黒いとんがり帽子を被っており、そこからは相対的なの髪が覗かしていて二つに束ねられたそれは奇妙な匂いが漂わせている。

「誰だ？　ここにいた年を何処へやった」

「ニヒヒ、良くぞ聞いてくれた。最兇にして最悪、錬の魔ロニ様だ。年については知らない！」

知らない？

では彼が來ていた時には既に姿を消していたという事か。この様子だと噓をついているようにも見えない。というか噓をつく必要もないか。

「おい、リルフィー。安全は確認した。っても問題はないぞ」

ここに來た理由は分からないがなくとも俺たちに危害を加えてくる事はないだろう。

「魔……ですか」

珍しく怪訝そうな顔を浮かべるベル。

「そうかベルは魔界出だから魔を見た事があるのか」

魔は嫌われ者だ。

それは悪魔が跋扈する魔界でも変わらない。魔は悪魔同様に自由気ままに生きる化けで周りに厄災を振りまく事に関しては悪魔の上をいっている。

「さて、では説明を願おうか。このロニ様に分かるように」

この騒ぎがする笑みは悪魔が魔を苦手としている理由の一つでもある。

だが苦手意識があるのは何もベルだけではない。この俺も魔という奴は苦手だ。

というのも何度も出會い、その度に問題に巻き込まれ酷い目に遭ったもので二度とそんな事は経験したくはない。

しかし、この転生屋に來たのなら迎えれなくてはなるまい。それにり口らしきものは天井にあったがそれはもう閉じてしまっている。

それに事を聞かなくてはいけない。彼がここに來た理由を。

の前に部屋を変えてここが何処なのかを説明をリルフィーがするとロニと名乗る魔は目を爛々と輝かせた。

「ふむふむ、転生屋か。まさかそんなものが実在するとはこのロニ様も驚きを隠せないよ」

普通の人間なら今回の客のように戸うはずだ。

それなのにこの反応ではこちらが戸ってしまう。

「その言い方だと故意でこちらに來たという訳ではないのですね」

「ないのですよ。このロニ様の辭書に計畫の二文字はないから。やりたい事をやりたい時にやる。それがロニ様のモットーだから」

話を聞く限り目的はあくまで転生屋ではないようだが、それなら一何をしにここへ転移して來たのだろうか？

転移は魔法の力を持ってしても膨大な労力と時間が必要となる。彼のモットーが本當ならきちんと理由はあるはずだが。

「じゃあ、ここに來たのは偶然……」

何故かホッとするベル。

被害は自分にこないと決めつけているからだろうが殘念ながら魔は例えるなら暴れ牛だ。

見境がなく、周りにいる人間を巻き込む。

「では聞いてもいいですか。貴方の目的を」

いきなり核心を突く質問をぶつけるセリエ。どうやらロニのペースにさせまいとの質問らしいが結局、次の一言で完全にペースは彼に持っていかれてしまう。

「それはそこにいる吸鬼くん。彼のを頂戴しに來たのだ」