《転生屋の珍客共〜最強の吸鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜》第66話 不安ない
作戦會議を終え、転生屋メンバーの元へと戻るとそこには調査を済ませた四人が優雅にティータイムを楽しんでいた。
一、何処からそんな余裕が出てくるのやら。
「あ、ルインさん」
「遅れてすまない。それでどうだった?」
「特に気になるとこはなかったわよ。ただあの実験はどうかと思うけど」
「実験?」
「捕らえたゴーレムを使って々と調査をしているんだ。弱點とか見つかれば今後有利になるからさ。無論、危険がないよう萬全な制で行っているから問題はないよ」
「そうか。ならそれは任せるが……ここは守りには適していないな」
最低限のものは用意されているが資金は外壁よりも寧ろその中で使い込まれているようだ。
「ここは帝都であって砦ではないからね。それに騎士団がここの防衛機能でもあるから」
「となるとあまり使えるものはないか。し期待していたがまさかこれ程とはな」
どれだけ油斷していたかが見て取れる。この國の上層部が一何をしてるのやら。
急場を凌ぐ為に魔を掻き集めたが、自分たちは何もしないとはこの騒が収まっても今後長くは続かないだろう。
「騎士団を帝都の外が出た後、橋を上げて壁上から我々が魔法による後方支援をして迎撃せよと言われているけど君の見解からしてそれで勝てると思うかい?」
「無理だろうな。守りに徹していれば負けはしないだろうが勝てもしない。やはり元を絶たなくては」
そうしなくてはゴーレムは絶え間なくこの帝都に攻め込んでくるはずだ。そのゴーレムを錬している魔をどうにかしなくてはこの戦爭は終わらない。
「じゃあ、作戦に変更はなしね。けどあそこにはアルチナだけじゃなくネクロマンサーもいるけど誰を連れて行くつもりなんだい」
「転移要員としてセリエは外せないな。しかし、他の連中は活躍は見込めん。殘りはそちらの優秀な魔を何人かを連れて行こうかと思っている」
目には目を歯には歯を、魔には魔を。
今回、ネクロマンサーに集中したい為アルチナの相手は同じ魔に任せたい。
「それ僕が志願したら駄目かな。ここを任せられる魔なら何人かいるし」
「お前がそこまで言うなら俺は構わないが」
要はネクロマンサーを倒せればいい。もしこの國がどうなっても俺の知ったところではないし、こちらに戦力が集中しても問題はないだろう。
「じゃあ、決まりだ。でも君の話からするにあっちが攻めて來てからくわけだよね」
「ああ、先にいたらゴーレム軍団まで相手する羽目になるからな。流石の俺もそれは願い下げだ」
ゴーレム程度に負ける気はしないが相手をしているうちにネクロマンサーに逃げられてしまっては目も當てられない
「ではそれまでは時間はあるのだな。し、僕に付き合ってくれないかな?」
「だ、駄目です。師匠は私と予定がありますから」
割ってって來たのはアズリエ。
ティーカップを片手に持ったままで急いで來たのが見て取れる。
「はて、何か約束なんてしていたか」
記憶力には自信がある方だがアズリエとそんな約束をした覚えはない。手に顎を置いて考えているとメディアに聞こえないよう小聲でその意図を伝えてくれた。
「師匠師匠、相手は魔ですよ。手を組むことになっても気を抜いたら何をされるか……」
「心配してくれているのか。それは有り難いが味方に何かするような奴ではないさ。それにどうやら重要な話のようだ。お前はここで大人しくしていろ」
「師匠がそう言うならそうしますけど」
悪いが用があるのは俺だけのようだし、付いて來ても良いことはなさそうだ。
「予定はよかったのかい?」
「ああ、大丈夫だ。それで何処まで付き合えばいい?」
彼は妖艶な笑みを浮かべて人差し指で口元を押さえて呟いた。
「ちょっと王様のところまで」
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