《始創終焉神の俺、異世界を満喫する!》異世界勇者と異世界魔王 5 最強達の決著
窟最奧の隠し通路から細い道を進んだところに今俺と紅騎と蒼魔の三人がいる。目の前に広がるのはペトラのものと思われる至るところに飛び散った痕と山のように積み上げられた天魔のだ。これは全てペトラがやったものだと思われるが、肝心の俺達の窟突のもう一つの理由であるペトラ本人の影は無い。何故ならペトラはこの隠された窟部のどこかに居るはずのラノールとシャルドネのホログラムが消える寸前、紅騎と蒼魔の話の最後に現れたからだ。ペトラは怒りをにしながらラノールとシャルドネとの戦闘を始めている。ペトラの魔力がじられるからどこかに居るはずなのだが、窟の揺れは無く斬撃や魔法を発した反応も無いため戦闘の決著は著いてしまったのかもしれない。
俺達はペトラの魔力が近くなっている方へ走り続けた。途中天魔が現れたが、俺達が近づいた瞬間消えてしまった。まるで俺達を導しているかのように。疑問を殘しながらも開けた場所に出ると目の前に1人の男が棒立ちで立っていた。
「ペトラッ!」
紅騎と蒼魔は聲を上げてペトラに小走りで近づいていく。俺は周りにペトラ以外に魔力の反応が無いことに警戒を解き、ペトラのほうを見やった。そこで俺はふと嫌な気に見舞われた。なぜなら、ペトラは無傷でまるでこちらを待っていたかのように立っているからだ。
「ッ!?二人共、後ろに飛べー!!」
「「えっ?」」
二人は訳も分からず後ろに飛んだ。瞬間、二人がいたところに謎の黒い炎が立ち昇り辺りを包み込んだ。俺達は突然のことに驚きを隠せず、「何故ペトラが?」という疑問ばかりがの中に沸き上がった。黒い炎が消え煙が裂けた所でペトラのほうをキッと見詰めるとそこには殘念そうな嘲笑うかのような微笑でこちらを見やるペトラらしからぬ男が立っていた。俺はペトラの魔力が先程のとは打って変わり、不快な黒くドロドロとしたに変わったことに1つの答えを導きだした。
「おっと、殘念。」
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「(まさかッ!何者かがペトラに取り憑いたのか!?)」
ペトラの魔力の急激な変化、ペトラらしからぬ言と行、目的のラノールとシャルドネが居らずラノールが呼んだと思われる存在が確認出來ない。そこから、俺はペトラはその存在に取り憑かれているのだと考えた。更にこの論を確かなものにする材料として、俺が先程倒した式武「バール」について思い出した事がある。それは、バールとは天魔の貴族の中で力を見せていた「バールベリト」の半だと言うこと。その本當の役職は天魔祭祀長兼式武であり頭脳のベリト、剛力のバールと呼ばれた二人が融合した姿だからだ。つまり、ラノールとシャルドネが呼んだのはバールベリトであり、ペトラに取り憑いてからベリトが俺達を殺すようにバールに命令したということだ。これなら辻褄が合う。俺は事実を確かめるため、ペトラを支配しているであろう存在を睨み付けて問い掛けた。
「お前は誰だ?」
「その様子だとどうやら私の存在に気が付いたご様子ですね?貴方の考察の通り私は天魔祭祀長を勤めさせて頂いている天魔でございます。ご無沙汰しておりましたね。貴方が死んでから悲しかったですよ?元始創終焉神様?」
そういうとペトラの顔に不気味に微笑む仮面がり付けられ、そこに魔力が集まっていった。ベリトは現在、ペトラのを蝕みその圧倒的な強さを我がの様にしようとしている。そう気付いた俺は直ぐ様溫存しておいた刀を呼び寄せた。
「頼む!ベルク!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」
突如、何もない空間から現れたのは巨大な黒き刀をいとも容易く片手で振り回す大柄な男、俺の刀ベルセルクことベルクだ。彼は凄い勢いで分厚い刀を橫凪ぎに一振りした。ベリトはその攻撃を冷靜にバックステップでかわし、ベルクに向かって正面突きを放った。ベルクはその分厚い刀を盾にしその攻撃をけ止めると、そのまま後ろに跳躍した。
「今だ!ラナ!」
「聖の反撃(セイクリッド・バースト)!」
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ベルクの聲を合図としてベリトの背後から現れたのは細の剣先にを宿しバールへと放出させる、そして俺のもう片方の刀であるラグナロクことラナだ。隙が生まれたその一瞬を見逃さず、ラナはベリトに向けて浄化系神級魔法を放った。ラナの一撃は確実にベリトに直撃し、辺りには眩い煌めきが殘った。
が落ち著き目を開くと、目の前には倒れたペトラの姿があった。そして離れた所にはから白い煙を上げる、歪んだ仮面を著ける天魔の姿があった。彼こそペトラのに取り憑き、半のバールを俺達に向かわせたベリト本人であった。ベリトは未だ熱く発する魔法に軽く舌打ちをし、俺達から大きく離れた。そこに警戒を怠らずペトラを安全な所まで運ぶ紅騎と蒼魔の姿が目に寫った。俺は一息吐くとベリトの方を見やった。
「やっと姿を見せたな、ベリト?」
「名前を覚えて頂けていたとは栄にございます、元究極魔神竜王様?」
全く焦りをじさせない禮を披したベリトは鬱陶しいラナの魔法を、まるで服に著いた埃を払うかの様にいとも簡単に消した。すると今度はこちらの番だとでも言うかのようにに魔力を滾らせ始めた。
「今回の件は、私共にとってこれ以上無い最高のタイミングでした。まさか、こちらが出向く前に召喚されるとは思いませんでしたよ。」
「ということは終兜の命令か?生憎俺は人間にった今、簡単には死ねないんでね。悪いが大人しく帰って貰えないか?」
「ふふっ、それは出來ない相談というものです。」
互いに相手を読み合いながら魔力を固めていく。ベリトはペトラから奪った魔力と俺が與えた神力を練り込み自の力を向上させていった。俺はラナとベルクに念話でペトラを守るよう命じ、俺自は右手にカムイを握った。
ラナとベルクとれ替わるようにして俺の左右には紅騎と蒼魔が剣を構えながら警戒制にった。
「二人とも、相手は魔法に長けた魔師だがペトラの魔力、すなわち俺の神力により基本理攻撃も上がっている。気を付けろ。」
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「分かった。」「承知した。」
俺は二人の合意を聞いたや否やベリトに目を向けた。瞬間、ベリトは高めた腳力で一気に詰め寄り、俺に斬りかかろうとしてきた。俺はすかさずカムイをベリトの足元目掛けて一振りすると、案の定ベリトはジャンプして攻撃をかわした。無防備になった俺を見逃さずベリトは魔力を纏わせより鋭利になった爪をばしてきた。しかし、ベリトの左右にステップして回り込んだ紅騎と蒼魔の斬擊が確かにベリトへとった。しかし、ベリトは大きく後ろへと跳躍すると、今度は空中に屬ごとの槍を作り出した。手を振りかざすと、作り出された無數の槍が俺達へと向かって飛んできた。俺達はステップと剣でダメージを最小限に抑えると、俺は固有スキル「破壊」でベリトの周辺の魔力濃度を一瞬だけだが破壊した。するとベリトは急に頭を抱えて若干ふらついた。アテネによるとこれは、極限まで魔力の高い者が一瞬で多種の魔法を同時に発した際に、外部の魔力濃度が著しく低下することで外での魔力濃度を均等にするために無理矢理魔力が放出されることで起きる魔力酔いだ。それによってベリトの防がガラ空きになった。そこに天照と月読命の力を宿した剣を掲げる紅騎と蒼魔が奧義を放った。
「「天月影神斬(おんみょうあまつきこうえいしんざん)!!」」
「このッ!舐めるなぁーッ!」
二人の奧義を覇気のみで弾き返したベリトはフラつく頭を無理に働かせ、炎の広範囲魔法を放ってきた。辺りは隕石が落ちたかのように大地を抉り、辺りを火の海に変えた。
「くッ!?創造!!」
俺は咄嗟に三人に覆い被さるように土石壁を造り出し、ベリトの攻撃からを守った。その間に俺は異空間に居る俺の狼である黒牙狼ことブルクを召喚した。 
ブルクはこの一週間の間にけた依頼を共に達したおで存在進化と言うものを行った。存在進化をしたブルクは二対の雙頭を持つ漆黒の狼へと姿を変えた。もちろん変わったのは外見だけでなくそのステータスにも影響を與えていた。
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名前 二頭黒牙狼(ブラックツインウルフファング)     LV.58
 HP 23000/23000  SP 56000/56000
加護 (人狼神)稱號 大いなる狼牙【グランド・ウルフファング】終焉の眷屬
 種族 二頭牙狼(黒帝)
攻撃力 18500  
防力 15200 
俊敏 60000 
魔法耐 8300
攻撃耐 16700 
スキル 
ユニークスキル 
                  黒狼威嚇(麻痺 毒 混)
                  雙頭炎氷牙砕(火傷 凍傷 脆弱)
                  終焉壊進斬(しゅうえんかいしんざん) 
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始創終焉神である俺の特異能力「終焉」を會得したブルクには終焉を表す朱の燃え盛る焔のような刺青が至るところにあった。
呼び出されたブルクはいつもの子犬程の大きさではなく約10メートル程の狼の姿で現れた。そして主人である俺の前で命令を待つかのように大人しくお座りをした。
「二人共、今回のラストアタックはブルクに任せるが構わないか?」
「えっ?まぁ別に構わないけどいきなりどうしたんだ?」
「その狼に何かしら特別な力があるのかね?」
俺の質問に対し二人は同意と疑問を返してきた。勿論俺もなんの理由もなくブルクを呼び出した訳ではない。
「ベリトのあの力に対抗するには俺の破壊では火力不足なんだ。そして、ブルクは俺の始創終焉神の傍らである終焉の力を宿しているんだ。そこで、俺と紅騎、蒼魔の三人でアイツの隙を作った所でブルクのユニークスキルで決著を付けにいきたいんだ。」
策を聞いた二人は事細かに策略を練った後、俺を信頼し「よし、やろう!」と頷いてくれた。
その間にもベリトからの攻撃を防ぎ続ける土石壁は限界に近づいており、ヒビがり始めていた。俺達は最後の一踏ん張りと言うようにそれぞれの獲に魔力を流しブルクは「グルルゥ、フワゥ!」と威勢の良い聲を挙げた。準備が出來たのを確認すると、俺は土石壁をスキル「破壊」で砕しベリトの方へ向けて噴した。ベリトは魔法の槍を所構わず打ち続けており、その周りに飛んだ弾丸と化した土石は窟を広げる様に壁を抉っていった。ベリトに當たったは無かったが端から期待などはしていない。むしろ、ここからが本番だ。
打ち付けられた土石によって舞い上がった砂埃によりベリトからの視界を遮った俺は、ベリトに向かって自の持てる限りの魔法スキルを一斉放火した。「純白」「聖帝」によるがベリトの目を眩まし浄化を図る、そこに「暗黒」「影帝」による闇がベリトの魔法を呑み込み遮蔽を消去していく。ベリトは浄化のを鬱陶しく振り払い、消された魔法の槍をまた作り出そうとした。
「隙ありですよ、竜鬼様ぁ!ッツ!!?」
そこでベリトは始めて気づいた。俺の周りに誰一人として仲間が居ないことに。
「でぇぇぇやぁあ!!」
「くッ!?」
「隙ありはお前だよ、ベリトッ!」
ベリトの背後から炎に照らされ現れたのは、周りの炎を吸収し、より一層力を増したレーヴァテインを振り下ろす紅騎の姿だった。反応の遅れたベリトは紅騎の剣が腕に掠り眉をかし、歯を食い縛った。
「まだ終わらんぞ!」
「何だと!?ッ、クォォ!?」
更に間髪れずに現れたのは周りの炎と相反し、その蒼き輝きをより一層強調させるグラムをベリトのガラ空きの背中へと振り払った蒼魔だった。二人の攻撃を持ってしても決定的なダメージをけていないベリトは、一旦制を立て直すために地雷を置いて転移しようとするが、生憎とそれは葉わなかった。
「何故だ!?」
「殘念だがお前の周囲の、この窟の空気中に含まれる魔力濃度は全て「破壊」させて貰ったぜ!」
ベリトの1人で毒づいた質問に俺は微笑みながら答えて見せた。しかし、頭の良いベリトは更なる疑問を生み出してしまい、紅騎と蒼魔に対する攻撃のテンポが遅れてしまった。
「余所見してる場合か?」
「余り舐めて貰っては困るぞ?」
「しまっ!?グホォッ!!」
二人の拳がベリトの腹に命中し、後ろへと吹き飛んだベリトは片膝を付きながら質問してきた。
「くゥゥ、ハァ。い、いかに空気中の魔力濃度を0にしたとての魔力による魔法の発は止められない。なのに、何故!?」
一撃一撃は弱くとも蓄積されたダメージが効いてきたのか荒い呼吸をするベリトに俺は答えた。
「気付かなかったか?紅騎と蒼魔の剣には魔封じの効果を「創造」して付與しておいたんだよ。」
種明かしをされたベリトは予想外とでも言うような顔でフラフラと立ち上がり、口元に笑みを浮かべた。
「確かにそうされては私の最大の攻撃である魔法は使えません。ですが、魔法が使えないのは貴殿方も同じ。それに、お忘れじゃあないでしょうね。今の私は、あの人間から奪った貴方の神力により基本理攻撃力が上がっているということをねぇ!殘念ながら貴殿方は自らの手で首を絞めていたのですよ!!」 
そういうとベリトは床を蹴飛ばし俺等に向かって拳を構えてきた。しかし、俺はカムイを構えながら言った。
「お前こそ忘れてないだろ?俺等には攻撃系スキルがあることをな!」
「はぁあ!!」「ふんッ!」
紅騎と蒼魔は自が持つ膨大な魔力を消費するもう1つの固有スキル「神聖(セイクリッド・サンフレイム)」と「邪悪影(イービル・ムーンシャドウ)」を纏わせた純白と漆黒の剣をベリトにむけて放った。ベリトは向かってくる剣に対応仕切れず腕をクロスしてのガードへと移行した。しかし、膨大な魔力を消費するだけあってベリトの腕は歯切れよく切斷されてしまった。
「ぬわぁぁぉぉぁああ!!!」
瞬間的に元通りに復元してしまうとはいえ痛みが消えるわけではなく絶するベリトに、俺はカムイに魔力を流し込み大化した姿である「神威」に変化させ、ベリトに向かって投げた。そして満を持して異空間より現れたブルクは神威を咥え、スキル「終焉壊進斬」を発した。神威は黒き闇に囚われその刀を虛構へと落とした。そしてもう片方の頭からは電磁砲のような紫電を放った。
ベリトは為す無く電磁砲に呑み込まれ聲出す間も無く神威に切り裂かれてしまった。瞬間、俺はブルクの姿が人間に見えた気がした。しかし瞬きすると目の前には戦闘が終了し、譽めてしくて尾を振っている狼の姿だけだった。
「やった、の、か?」
「あぁ、多、分?」  
すると、未だに信じられないのかお互いの頬をつねりあい笑う年相応の二人の年の姿があった。
それを見て微笑んでいると俺の頭の中に久方ぶりのファンファーレが鳴り響きレベルアップを告げた。更に右手の甲が煌めき、力の奔流が流れてくるのをじた。俺の神力を奪ったベリトを倒したことによりどうやら俺は、力のほんの一部が取り返せたらしい。俺はこの一週間、まるっきり変わらなかったステータスを開いてみた。すると、これまでの相手を軽く捻り潰せるほどの変貌を遂げていた。
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名前 覇神魔王 竜鬼 LV.100→500 new!
HP 350000/350000→1800000/1800000new!
SP 1000000/1000000→5000000/5000000new!
加護 (なし)稱號 異世界人 元神々の頂
鬼神王に近付きし者
神 竜 王 魔を従えし者
種族 半神人(始創終焉神)(鬼神)
(聖剣魔神)
職業(究極魔神竜王 二刀流)
攻撃力 800000→4500000 new!
防力 200000→1100000 new!
俊敏 1億→5億 new!
魔法耐 300000→1500000 new!
攻撃耐 300000→1500000 new!
使用可能魔法 ー純白 聖魔法 闇ー暗黒 影魔法 武技ー闘神 鬼神 雷ーイカズチ 炎ープロミネンス 風ーエウロス
神 new! 竜 new! 帝王 new! 天魔 new!
スキル
ユニークスキル
創造 LV.6→創 LV.1 new!
破壊 LV.6→破滅 LV.1 new!
アルティメットスキル
神魔 LV.1→3 new!
神威開放
竜魔法 LV.1→3 new!
龍威開放
天魔呪 LV.1→3 new!
魔威開放
王魔導 LV.1→3 new!
王威開放
固有スキル
神眼 LV.15
武剣王 LV.14→武闘王 LV.1 new!
覇剣魔技 LV.4
鬼王記召喚 LV.1→5 new!
敵喰い LV.1
究極神王降臨 LV.1
エンシェントスキル
スペースストレージ
ノーマルスキル
純白魔法 LV.3→8 new!
暗黒魔法 LV.3→8 new!
影帝魔法 LV.1→5 new!
聖帝魔法 LV.1→5 new!
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俺のステータスはかつての力のほんの一部を取り戻しただけで大幅に変化していた。更に取り返した俺の力は運良く俺だけが保有する始創と終焉の力を生前のに近づけることが出來た。だが、どうやら「敵喰い」によるスキルは獲得できなったらしい。それでも上出來な結果にガッツポーズしたくなるのを我慢し、俺は皆に労いの言葉を掛けた。
「お疲れ様。皆。」
俺が二人と一匹に労いの言葉をかけるとブルクが真っ先に俺に飛び掛かって顔を舐めてきた。
「あはは、やめろよブルク。くふっ、くすぐったいぞ。」
そうして勝利を噛み締めていると紅騎と蒼魔がベルク、ラナが護っていたペトラの方へと走り出した。
「ペトラさん!」「ペトラ殿!」
「ペトラはどんな様子だ?」
ペトラを看病していたラナは頬をし緩め安心させるような優しい聲音で答えた。
「はい。ペトラさんのに重大な怪我や後癥は見當たりませんでした。ですがベリトに奪われた神力の復元のために一週間は絶対安靜、完全に力を取り戻すにはなくとも1ヶ月は掛かるかとおもいます。」
一先ずペトラの無事が分かり全員が安堵の息を吐いた。
「(しかし、ペトラが完治するまでに1ヶ月というのはかなり不便なものだな。)」
俺はこの事件の後始末についての対処を行うであろうペトラが當分、満足に魔法やらスキルを使えないことに幾分かの罪悪を覚えた。
「(元は俺が與えた神力のせいで巻き込まれてしまったからな。どうにか出來ないだろうか?)」
解決策を考えているとペトラがゆっくりと目を開き、周りを見渡すと焦點を此方に合わせ申し訳なさそうに顔を伏せた。
「うぅ、ここは?,,,あっ、竜鬼殿!申し訳ありません。不覚を取りました。ラノールとシャルドネを発見し、不意討ちをしようとしたのですが、紅騎君や蒼魔君の話を聴いていたら私の方が我慢できず彼等の兵であるバールベリトに力を奪われてしまいました。」
「安心しろ。敵は倒したから今は休め。
それと、巻き込んでしまってすまなかった。」
「元はと言えば俺のせいだ」と頭を下げると、慌ててペトラが「頭を上げてください」と促した。
「確かに私は竜鬼殿の眷屬になったから今回のようなことに巻き込まれたのかも知れません。ですが私はそれを後悔しても、恨んでもいないのですよ?だって竜鬼殿から力を授けて頂けていなければ、私はあの時大切なを護れていませんでしたから。」
ペトラは俺の肩に手を置くと優しく微笑み、そのままガクリと項垂れてしまった。皆が慌てて近付いてきたが「大丈夫。気絶しただけだ。」と言うと安心していた。
俺は多分、これからも人間という曖昧で強く脆い存在に牽かれていくことだろう。その時、他を巻き込まない力が必要になる、そういう確信めいたをじた。今回、多力を取り戻せたがこのままでは終兜はおろか、その配下や更にその下の邪神にすら敵わないかもしれない。後悔しないためにも俺の各地に散りばめられた力を集める旅に出るべきだろう。これからやるべき事は沢山ある。俺は次の目的を定め、これ以上犠牲を増やすまいと心に誓った,,,
「見つけた,,,」
それと共に新たな影もき始める,,,?
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「ハァ、グッ!クソ!」
暗き窟の最奧から幾らか離れた、他の次元とは隔離された場所。そこに1人、翼をもがれた天魔が息を潛めていた。その者の名は「ベリト」。その昔は「バールベリト」として、ある魔王の72柱が1柱として世を統治していた。がある事件を巻き起こした當事者として究極魔神竜王に力を奪われ、下級悪魔に落とされてしまった。彼は逆恨みをし、彼の居なくなった神界で、自分を理解し力を分け與えてくれた新たな支配者に忠誠を誓った。しかし、今となっては力の殆どを失った「元」究極魔神竜王と、その仲間であり彼がした「人間」に敗れた敗者である。その姿は見るも無慘で、かつての姿など過去となってしまった。しかし、ベリトの瞳にはまだ希と憎悪、そして忠誠を誓った支配者への敬意が込められていた。
「クッ、竜鬼,,,。許すものか、諦めるものかッ!私は今度こそアイツを殺し、終兜様に獻上するのだ!」
「殘念だがそれは葉わない。」
この空間にはベリト以外に誰もることなど出來る筈がない。にも関わらず何処からともなく無機質な聲が聞こえてきた。驚いたベリトは弱々しい聲音ながら腹から聲を張り上げた。
「誰だ!何処にいる!一どう言うことだ!?」
するとベリトの目の前の空間がひしゃげ、次の時には黒のオーラを背負い、黒のローブをに纏ったフードを深くまで被った細の存在が表れた。その存在を目の當たりにしたベリトは周囲の空気が氷點下まで下がったのかと思うほどの冷酷さを悟った。そして存在は靜かに、そして嘲るように答えた。
「はじめまして、私は生み出された邪神の1人で朧闇 閻邪(おぼろみ えんじゃ)という。簡単に説明すると貴様は用済みなのだ、ベリトよ。」
その言葉に反論したかったが、フードからたまに覗く、の燈っていない冷たい藍の瞳を見ると聲が出なかった。その視線だけでベリトの心臓の音は急激にその速度を高鳴らせた。
「(今すぐにでもこの正不明の摑めない存在を引きずり出して何処かに拘束して遠くへ離れたい。)」とベリトは思って止まなかった。しかし、意を決してその真意を探ることにした。
「ど、どう言うことだ!?私はまだやれる!終兜様の命を完遂して見せる!」
しかし、次の言葉でベリトの心は々に砕け散ってしまった。
「その終兜様からの命だ。」
耳を澄まさないと聞き逃してしまいそうな程小さな聲の筈なのにベリトにはハッキリと鼓が振しているのが分かるほど聞き取れてしまった。しかし、その言葉の意味を頭は理解したがっていなかった。
「えっ,,,ど、いうこ,,,?」
「去らばだ。魔王が1柱よ。」
次の瞬間ベリトの首は宙を舞い、最後には神界のある空を見詰めながら消滅していった。
「さて,,,次は竜鬼、貴様だ。」
空間を破りながら目を瞑り閻邪は宣言した。そして、次に目を開くとそこは窟の最奧だった。
「見つけた,,,」
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皆さん、前回の投稿からかなり空いての投稿となってしまい本當にすみませんでした。そしてお気にり登録200人越え、本當にありがとうございます!不定期投稿でこれからも遅くなってしまうかもしれませんが、まったりと気長に待って頂けると幸いでございます。私自も投稿ペースを上げれるよう頑張りますので応援のほど願い申し上げます!
異世界勇者と異世界魔王編は今回で終了となりますが最後に表れた閻邪とは?竜鬼や仲間達は一どうなるのか?ご期待下さい!
今回はこの辺りで締めさせて頂きます。読んで頂きありがとうございました!
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