《始創終焉神の俺、異世界を満喫する!》異界の神と世界の王 2 久しき神友

「クラン、左に跳べ!」

「分かりました!」

目の前にそびえ立つ巨人に向かって俺は大化させた新たな刀[神龍王魔の夢幻刃(しんりゅうおうまのむげんじん)]で脳天から一刀両斷する。巨人はを撒き散らしながら絶命し、後には馬鹿デカい核らしき丸い寶石のみが殘っていた。

「お疲れ。一先ずここでし休もうか?」

その一言でクランとシオンを筆頭にアテネ、ラナ、ベルクの順にその場に座り込む。流石にこの三人でも疲れているのだからクランとシオンはよくここまでついてこれたものだと驚き、二人に労いの言葉を掛ける。

今俺達は、俺の神力があるであろうダンジョンに潛っている。しかし、俺の神力でできているだけあって、階層はここまでで実に百層を越えている。それをノンストップで攻略してきた訳だがそれも終盤、次の階が最下層となっている。ここにくるまでにかけた時間はおよそ三時間。その驚異的なスピードに繋がったのはやはりこの刀の力だろう。

ある時は、暗闇の中を音もなく現れた蜥蜴型の魔に対して俺が握っていた柄に反応が現れ、相手の攻撃可能範囲外からの瞬時の魔法攻撃によって呆気なく撃退。

またある時は、魔力を喰らい長する道化師型の魔に対して鞘が空間の魔力を僅か3秒足らずで枯渇させてしまい、焦った道化師を皆でボコボコに。

またある時は、閃の如く辺りを駆け巡る蛇型の魔に対して鍔にれ、幾重にも折り重なり張り巡らされた刃の捕獲網を俺達を取り巻くように空間に創り出すと、止まることができずに自らの速度で刃に切り裂かれ自滅。

,,,などなど話せばキリがないほどの戦闘をこの刀が瞬殺を繰り返した。改めてこの刀の有能さと、これが俺以外の力ある者に渡ったときの災厄の未來にを震わせ俺は今ここにいる。

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しかし、このダンジョンも殘すところ後一階層だけ。俺は丁度回復が済んだ皆と共に準備を整え重く荘厳な灰の扉をゆっくりと開けた。

中からは濃な神力が溢れだし俺達にぶつかってくる。中でも俺達と違い最初から人間のクランとシオンはその有無を言わせぬ絶対的な力の前に息をすることすら出來ずにいた。俺は急いで鞘に神力を喰わせ二人の呼吸を確保した。

「はぁ、はぁ,,,い、今のは何ですか?」

「ふぅー,,,あれが神の力の一部なんて,ね,,,」

「二人とも大丈夫か?」

二人の息が整い作戦を練り上げた所で、アテネにはクランとシオンのサポートに回って貰うこととなり、淡い赤橙となって二人の加護に変化したのを確認すると俺達は扉をくぐった。

中は白い炎が燈るシャンデリアが上から吊られ、床は黒く発する紋章が刻まれた絨毯の敷かれている円型の闘技場だった。その中央にはが真ん中で白と黒に別れている、俺と瓜二つの姿をしたクリスタルのような鉱石的なを持つ者が堂々と立っていた。白と黒で出來たはその中央で互いを反発し、侵食しながら絶妙なバランスで現在の形を保っているようだ。しかし、俺の神力が自らの姿を象りこのダンジョンの最奧でこうしてひたすらに佇んでいたのには一どんな理由があるのだろうか?目の前の俺は一切のじられず、本當にただこの場で何かを待っていたとしか言い様の無い言いでこちらを見據える。確かに強くなっている俺達だがコイツには全員で束になってようやく戦闘になると言ったところだろうか。それほどにコイツは俺達の力の格を逸している。俺は[神眼]を発させ白黒の俺のステータスを覗いてみた。

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名前 全ての祖の一欠片  LV.1023

HP 5984000/6000000

SP 30000000/30000000

加護 (なし)稱號 生まれた無

種族 神人(始創終焉神)(鬼神)

(聖剣魔神)

職業(究極魔神竜王 二刀流)

攻撃力 7800000

力 5800000 

俊敏 15億

魔法耐 3500000

攻撃耐 3500000 

使用可能魔法

ー純白 聖魔法 闇ー暗黒 影魔法

武技ー闘神  雷ーイカズチ  炎ープロミネンス 風ーエウロス

神 竜 帝王 天魔

スキル

ユニークスキル

 LV.5

 破滅 LV.5

固有スキル

神眼 LV.15

武剣王 LV.15

覇剣魔技 LV.1

究極神王降臨 LV.5

ノーマルスキル

純白魔法 LV.5

暗黒魔法 LV.5

影帝魔法 LV.5 

聖帝魔法 LV.5 

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そのステータスに俺は一切何も口に出さず、周りの仲間達の士気を上げるように努めた。

全員が何かを察した様な表を見せると、すぐに覚悟を決めた顔付きに変わる。そして自の武を構え直し、俺が最後に刀を抜いた瞬間目の前から[全ての祖の一欠片]が幽の様にそっとき出した。その手には一切の武はおろか、どこにも武を持っておらず大膽不敵にも堂々と歩いてくる。そこで俺がまず刀を握り発させた20種類にもなる多種の拘束系の魔法を奴に直撃させる。辺りがその膨大な魔法の數々で地響きを巻き起こし煙を立ち上らせる。しかし、當たったところから太れた質かの様に全てが蒸発し、消滅していく。

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「まぁ、そう上手くはいかないよな,,,」

ならばと俺は速を超える速さで一瞬のに千に近い數の青白い斬撃波を放つ。しかし、奴はまるで炎(かげろう)のように揺らめきながら全ての斬撃を捌いていく,,,否、そもそも奴は実の無いホログラムのような存在と化しているのだ。全ての攻撃がけて無効化されてしまってはこちらの攻撃の意味が無い。

すると奴はお返しだとばかりに両の掌に白銀と黒金の神力を圧した超度のソフトボール程度の波玉を作り出し、軽くこちらに押しやった。その直後、空気中に置かれた二つの神珠が互いの力で反発しあい、莫大なエネルギーホールを生み出したのだ。それはさながら、神でさえも簡単に手をつけられないブラックホールのようで、水と油のように混ざりあうことなく互いを侵食し我がにしようと呑み込みながら一化したかと思うと、神力の奔流が反発により互いの力をどんどん高めながら辺りに極大の神力波をぶつけた。

「っ!?全員、俺の側に集まれッ!あれに指一本でもれたら源ごと次元の藻屑に還らされるぞ!!」

他の者はそのあまりの狂惡さとその混沌の中にこそ生まれる真のしさに目と心をを奪われ、くことも出來ずにいた。しかし、俺の聲を聞いた皆はなんとか魅了から抜け出し我に帰ると俺の周りを囲うように集まった。

全員が集まったのを確認した俺は、囲まれた俺の足元に刀を突き刺し、今出來る最大限の本気である神力の質そのもので形を作り換えた。[創]の本來の質である[無限化]により全員を覆い被す半ドーム型の無限のシールドを生み出し、それをコーティングするように[破滅]本來の質である[無還(むげん)化]により全てを無に還す無還のシールドを重ね合わせ生み出した。

エネルギーホールは無還のシールドにれるとその端々から神力を霧散されていく。しかしこちらのシールドはその三倍以上の速度で破壊され、厚さ100cmにもなる限界まで濃されたシールドはジリジリと削られていく。しかし、削られた所から瞬時に修復することでエネルギーホールを押し返していく。それは神々が意地とプライドを賭して削り合う、人間には到底敵うはずの無い絶対的にして暴的な力の奔流のぶつけ合い。こんな異世界の地下深くのダンジョンで、その力の頂點に座していた者が自らの力と戦っているのだ。このダンジョンの壁が不可思議な強度を持っているからこの程度の拮抗で済んでいるが、ごく一般的な世界程度では神力が當たる前にその衝撃波だけで消し炭となり、両者の背後一帯が何萬キロに渡り抉られた平地と化す所であっただろう。つまりこのダンジョンもまた、竜鬼の神力で出來ているに違いないということだ。

數十分に渡り、互いの〈世界の終末〉を圧したかのような力のぶつかり合いは続き、いつの間にかそれは我慢比べとなり及んでいた。どちらかの神力が潰えるまで続く途方もないと思われたこの戦い。しかし、それも突如として流れが変わったのだった。

竜鬼の二重の神力で造られた[無限&無還むげん]のエネルギーは留まる所を知らず、この戦いの中で常に一歩、また一歩と進化し続けたのだ。そして、進化し続ける濃された[無限&無還むげん]のエネルギーは確かにブラックホール並のエネルギーを押し返していった。今までの彼ならばこのまま一人で自分が死ぬリスクをも省みず正面突破のゴリ押しを行うだろう。しかし、今の彼は「人間」であり、かな「」と死ねない「理由」、そして何より共に歩みを共有出來る[仲間]がいるのだ。

「よし!皆、いけるか?」

「「「「「まかせ(ろ、て)!」」」」」

俺の合図に伴いラナとベルクが俺達がぶつけ合っている神力を集めるとそのに宿す。すると、彼等の服裝は以前のより形狀が変わり辺りに神気を放出し始めた。久方ぶりの二人の神化。しかし、それは元來の二人の力を超越していた。

元より二人は俺がスカウトするまでは今の剣の姿ではなく、人型の姿でそれぞれとある世界の管理をしていた上級神だった。俺の把握できぬ程に生まれた多種多様な神の中でも、彼等二人だけは類を見ない超濃な神力を手にしており、それを納めるもまた俺の創り出した原初の神々に匹敵するほどだった。そんな中で俺の力を直々に與えた二人のキャパシティは、二人が持てる力の限界を一層強大なに作り替えた。それから二人は鍛練を続けの限界にこれまで近づいていた。しかし、俺の力を與えられた者達は、最初からその力の全てをけ取れる程の強靭さを兼ね備えている訳では無いため、徐々に力にを馴らしていきを更に大きくしていくのだ。つまり、彼等のは今もなお・・・・本當の限界を迎えていないのだ。

,,,そして今遂に俺の神力との融合を果たしたことで真の力を解放するに至ったのだ。その名も[ヘルズベルセルク][エデンズラグナロク]。地獄と天國という、生きとし生きる者達が辿り著く相対する終幕をそれぞれそのに甦らせたのだ。その能力は基礎的な能力の向上から始まり、彼等の固有能力である[世界創造(ワールズエンド)]を発現させたのだ。ベルセルクは無限に剣を造り出せることから[劔焉界(ワールズエンド)]、ラグナロクは無限に魔法を造り出せることから[魔淵界(ワールズエンド)]を手にれた。その力は早速この場でその真意を見せてくれた。

奪われてなお、膨張を続けるエネルギーホールは俺達にジリジリと近づいてくる。しかしそこに二人のワールズエンドが発される。辺りに充満する霧散した神力のランクによってその能力の大きさが変わるこのスキルは今回、俺同士の戦いで生まれた膨大にして暴、萬能な神力によって最大限に引き出されることとなった。まず二人はこの空間の全てをリソースとして[全ての祖の一欠片]に向かってスキルを発させた。そして次の瞬間、俺の[神速(アクセラレゼプス)]によって一瞬の空間を歪ませるとクランとシオン、二人の加護として憑依しているラナをその間に逃がした。その次にはこの空間は魔力、神力、空気までもが空っぽになる完全な無の狀況が造り出され、數千にも上るベルセルクの暗黒の戴剣[大鵠巓(だいこくてん)]とラグナロクの明白の魔彈[白樓鼕(びゃくろうとう)]が一斉に出された。

空気による抵抗、魔力に対する洩、神力が起こす奇跡、全ての可能と邪魔を最大限にまで排除した後に放たれた剣と弾は定められた一點にたれてはその倍の數が、たれてはまたその倍の數が、と次第に數を増やしていく。それに伴い、辺りを埋め盡くす剣と弾はその度を膨らませ、互いの力を反発させ更なる力へと変貌していく。その様は、無からの創造と無からの破壊が同時に起きては無限に繰り返される全次元の誕生を引き起こした「あの時の終焉」に酷く酷似していた。

その時俺の頭に、記憶に眠る何兆回と始まりと終わりを繰り返した宇宙のその最初の一頁ページが電石火の様な火花の如くチラつく。それを無意識下で、俺の中の「俺」が、俺自に気付かれないように深層意識の深淵でその一言を海に落ちる一滴の雫程に小さく呟いた。

それは俺でさえも分からない、いや知らないのだ。

,誰に

,,何のために

,,,そもそもこの言葉は本當に生み出されたのだろうか?

 , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , 

思い出せない,,,いや、思い出「さ」ない,,,そうか,,,

 

             ,,,思い出「したく」ないんだ,,,

黒剣と白弾の衝撃は辺りに源と発を渦巻き、その音は三分にも渡り、大きく鳴り続けた。

,,,それは見るも無慘な墮ちた鳥のようであった。焼け落ちた翼は「彼もう一人の俺」を冷酷に見下ろし、その瞳には毆り書かれたような黒と白の2つの丸が塗り潰されている。

宇宙の終わりを何千回としてなお、そのはそこに靜かに佇み、引き裂かれ消えたボロボロの四肢からはざりあったオイルのような鈍い虹れだし、辺りに神力をばら蒔いてはこの空間を一枚の絵畫としてすかのように最後を飾ろうとしていた。これはさすがの蕓神でさえも書ききるには300年の時を要求するであろう。いや、そもそも彼ならこんな景は絵に起こさず心に留めて奧のだろう。自分で殺そうとしたはずなのに俺彼は痛々しく、心に深い傷を負わされ鬱になりそうなほどに狂っていた。しかし、最悪なことに彼はまだ苦しくもこの場に存在してしまっているのだ。

もう見たくない、闘いたくないほどに消耗した彼から力を取り返せるほど今の俺には度がない。俺にあるのは人間の心なのだから。,,,だから、次の世代に可能を渡したのだから。

彼の目前にクランとシオンが異次元から現れる。二人は俺と同じ姿で、完全に戦う気力と意思、意識の全てを失った彼を前にただ、頭を垂れ、跪いた。俺達もそれが正解と信じて二人人間に習った。本當の理解は出來ないかもしれないが、俺達なりに「彼」の存在に意味をしたかったのだろう。長い黙禱の後にクランの剣を握りしめた二人はゆっくりと、彼の心臓部にあたるコアを貫いた。その瞬間俺には、シオンの手に微かな力みと何かの覚悟と思想をじたがそれが何か、今の俺は分からなかった。砕かれたコアはこのダンジョンという空間ごと収すると白いと暗いオーラを周りに振り撒き俺の中に帰って來た。

  

                          「ありがとう,,,」

空耳かもしれない。でも確かにそう聞こえた気がした。俺のせいで、俺という存在全宇宙の記録の全てを魅せられ、理由も、思考も、も、何もかもを奪われたまま生まれてしまった「俺彼」は意思の疎通の意義も意味も知らぬまま、このほの暗く冷たい俺の力の中で握り潰されていた。でも、彼の心臓には確かに俺「以外の何か」が存在を価値づけたのだ。俺はこうしてまたひとつ、自分に罪を増やし一歩前へと進んだ。

全てが終わると俺達はダンジョンの外に帰ってきており、俺以外の皆は先程までの殘酷な意識が夢や噓かのように勝利を喜び、笑みを浮かべている。彼俺から返して貰った記憶の最後を見てしまったせいで何が本當だったのかは分からない。全てが俺の創り出した幻かもしれないし、俺が導き出した1つの終焉事実なのかもしれない。でも、皆が笑っているならば、これでいいのだと思う。こんな殘酷で罪悪に苛まれる悪夢のような夢幻の病みは人間にはけ止めきれないから。

俺が,,,俺だけがこの事実を覚えていれば、背負っていれば必ず新しい明日創造始まるのだから。

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