《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第14話
「くそが! あいつらなんで黙ってやがった!」
怒気を含んだように言葉を吐き捨てながら大地は最高速でバイクを走らせていた。
村を出発して二日経った頃ようやく大地は人里にたどり著いていた。
大地は目立たない場所にバイクを置き報収集の為酒場に立ち寄ったのだが、そこで聞き逃せない會話を聞くことになった。
「しかし、帝國の奴らも酷いことをするな。」
「あぁ今回ばかりはさすがに獣人達には同しちまうよ。たった百人程度の村に一萬の兵を差し向けるんだからな。」
「おい。しいいか。その話詳しく聞かせろ。」
「なんだお前。聞きたいなら酒のひと―――――」
話をしていた男が酒をせびろうとした瞬間、大地はその男の額に銃を突きつける。
「いいから早く話せ。」
大地はドスの効いた聲で早く話すように脅しをかける。隣の男も怖じ気づいて腰を抜かしていた。
「わかった! 話す話すよ! 帝國の奴らが一週間前ぐらいから林への進軍を開始したんだ。理由は獣人が林の中で暮らしているのを目撃したからって。それで時間的に明日辺りに攻撃をし始めるんじゃないかって話をしてただけだ! それだけなんだよ! 頼むからその道をどけてくれ!」
大地はその話を聞くと男達には目もくれず酒場を飛び出しバイクで林へと戻っていった。
最高速でバイクを走らした大地は何とか村に辿りついた。
林の変化があった為、最短距離の村の口ではなく畑のある裏口の方へと來てしまっていた大地は無殘に崩れた村を見て一時的に思考が停止してしまっていた。
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しかし生き殘りがいるかもしれないと思い、急いで住宅地の方へと全力でかけていく。
畑も確認してみたが誰もおらず、全滅という言葉が頭をよぎる大地。
住宅地に著くと、よぎった言葉を必死に消そうと一心不に崩れた木片の隙間等を見て回る。
すると何処からか悲鳴に似たび聲が聞こえた。
大地はそのび聲の場所へ全力で走り出す。
徐々に大きくなるその聲は大地にとっても聞き覚えのある聲だった。
び聲を頼りに著いた先は、襲撃のせいで半分以上崩れてしまっている大地の部屋があったはずのログハウス。
大地は聲のする方へと向かうとそこには背中に多量の木片が刺さったゼーレと何とかを止めようと必死に患部に布をあてがうルルにゼーレに何度も聲をかけるフィオとパーキ達がいた。
「何があったんだ・・・」
大地の問いかけに一瞬ビクっと反応し警戒しながらこちらを見るルル達。
しかし目の前にいたのが大地だと気付くとルルは驚愕しながらも事を説明する。
「帝國兵の魔法で壊された木片がマーレに落ちてきたみたいで、それをかばったゼーレに刺さってしまったらしいです。」
「わかった。し離れてくれるか?」
大地は刺さっている木片を抜き、ゼーレのプログラミングを始める。
ステータス異常 「出」
「外傷(大)」
「減(大)」
「心拍數減(中)」
「酸欠狀態」
『かなりやばい狀態じゃないか』
心焦りながらも驚異的な速さでステータス異常を消していく大地。
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大地が全てのステータス異常を消すとゼーレがゆっくりと目を覚ます。
それを見たマーレとフィアは泣きながらゼーレに抱き著いた。
ゼーレは信じられないといった表をしていたが、近くに大地が居た事に気付くと納得したような表になる。
ゼーレの無事を確認すると大地はルルに今の狀況について聞く。
「今帝國兵五千人が村の近くまで來ていて、ガランを筆頭にマヒアとお爺様達が城門の所で待機し帝國兵相手に対応しています。先ほどの大きい音が聞こえたので、既に戦闘になっているんじゃないかと。」
大地は「わかった」と一言告げるとガラン達のいる城門の方へ行こうとするが、すかさずルルが大地の手を摑み止めにる。
「今行ったら危ないです! ガラン達からは時間を稼いでいる間に逃げろと言われました!」
「はぁ?ルルはガラン達が死んでもいいのか?」
「そんな訳・・ないじゃないですか!!」
「だろ?だから助けにいくだけだ。」
「でも五千人もいるんですよ・・・・そんなの無理ですよ。大地さんまで死んじゃったら私は・・・」
「ルル・・・出來るからやる、出來ないからやらないとかじゃないんだよ。俺は常にしたいからする、したくないからしないって行してきた人間だ。つまり今回はガラン達を助けたいから助けるんだよ。」
気負いの無いいつもの口調で話す大地。するとフィアがおもむろに大地に質問し出す。
「大地君ならガランもマヒアも族長もみんな救えるの?」
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「余裕だ。俺はやると決めたらやる男だぞ。」
「ほんとにほんとにほんと?」
「本當だ。約束する。」
大地が優しい笑顔を向け答えると、フィアの目からは大粒の涙が溢れ出て、ゼーレとルルの目頭にも涙が溜まっていた。
三人は示し合わせたわけでもないのに全く同じ容を全く同じタイミングで大地に伝える。
「「「みんなを助けてください!!!」」」
「任せろ!俺はお前らの創造主様なんだからな!」
大地は冗談じりに返事をすると急いでガラン達の元へ向かっていった。
住宅地を走りながら大地はみんなの無事を祈っていた。
ルル達の手前弱みを見せないようにいつも通りに振る舞っていたが、心は自責の念と自への憎悪で神は埋め盡くされていた。
こうなる兆候は見えていたはず。ルルのおかしな言、急遽決まったトームへの出立。
今思えばガランやマヒアの様子もし変だった。
そんな事を考えながら全力で走り、やっと城門が見えてきた時、そこに広がる景を見て、大地の背中は凍り付いた。
城門裏にはひどい傷を負った獣人達と既に息を引き取ったとみられる、そしてを見つめながら泣いている獣人の姿があった。
大地は唖然としながらもなんとか城門の方へと歩を進める。そして城門までなんとか辿り著くとガラン達の姿を探す。
「大地殿! 何故ここに?」
聲が聞こえた方に振り返るとマヒアとレイの姿が見えた。多の怪我を負っていたが命に別狀はなさそうだ。
二人の無事に安堵しながら姿が見えないガランの居場所を聞く。
大地に質問された二人は悲痛な表のまま城門の外に目を向ける。
大地も二人の視線につられ目線を城門の外に移した時そこには地面に突っ伏したままかないガランの姿があった。
「ガラン!」
悲痛なび聲が林に響きわたる。橫たわるガランの隣にいる帝國兵が大地を見つけると、口元を緩める。
「もしかしてあなた様が創造神様ですか。お初にお目にかかります。私の名前ガドーレ帝國大佐のザレウスと申します。皇帝陛下の命によりあなたを迎えに參ったのですが、この獣人が渡さないというものですから々教育させて頂いたところでございます。」
倒れているガランには目もくれず大地に自己紹介を始めたザレウス。大地は義憤を覚えながらも一つ一つ確認するように問いかける。
「あんたの言ってる創造神が何なのかは知らないが、もしかしてあんた達がこの村へ來たのは俺を迎えに來るためだったのか?」
「はい。その通りでございます。」
― プログラミング開始 ―
「では何故、この村の住人がこんな目に合っている?」
「すみませんが質問の意味が理解出來かねます。」
― 組織変換開始 ―
「では言い方を変えよう。何故、俺一人を迎えに來るのに一萬の兵士を連れてきた?」
「創造神様もおかしな事を言われる。獣人の様な下等な生のもとから創造神様を助けたいと思っているからこそ、一萬もの軍勢を連れてきたのではないですか!」
― 能力値変換完了 ―
「俺がそれをんでいなくてもか?」
「神が道を外れようとしていた時、その道を戻してあげようとするのも一つの信徒としての在り方かと。」
― スキル構築開始 ―
「つまり俺がどれだけ拒否しようが帝國に連れていくし、獣人は皆殺しにするつもりってことか?」
「さすが創造神様。ご聡明なようで。」
― スキル構築完了 ―
「そうか良くわかったよ。」
「わかって頂けたようで何よりです。それではまず邪魔者を排除させて頂くとしましょう。」
― 上書き完了 ―
ザレウスは大地が獣人の殲滅を了解したとけとり兵士達に殲滅の命令を下そうとする。
しかし殘念ながらザレウスが命令を下すことはなかった。
何故なら命令を出す寸前でザレウスは遙か後方へ吹っ飛んでいたからだ。
ザレウスの近くにいたレイクリッドはただただうろたえていた。
ザレウスが命令を下そうとした時、レイクリッドは瞬きをすることなくザレウスの事を見ていた。
しかし気付いたらザレウスは本隊の後方まで飛ばされ、ザレウスがいた場所にはなぜか創造神がいたからだ。
大地はうろたえる帝國兵を差し置いてガランの近くで片膝を著く。
至る所に裂傷と酷い火傷が見られるが、辛うじて息をしているのを確認出來た。
大地は急いでプログラミングを行い、ガランのステータス異常を消していく。
ガランのステータス異常の消去が終わると、ガランが何事もなかったかのように起き始める。
「・・大地?なんでここに・・・」
「おいマヒアに告る前に死のうとしてんじゃねよ馬鹿。」
大地はランガを抱えると、ザレウスを飛ばした時と同じように姿を消し、マヒア達の前に現れる。
驚愕するマヒアにガランを預け、冗談じりに「介抱してもらえ」とガランに告げると、一瞬で城門付近にいるレイクリッドの前に現れる。
「お前がこの本隊の副か?」
レイクリッドは全が凍てつくような恐怖に耐えながら言葉を紡いでいく。
「はい・・私はレイクリッド大尉と申します・・・。」
「お前もさっきのザレウス大佐と同じか?」
大地の放つ殺気を帯びた威圧に全を押しつぶされそうな覚に陥るレイクリッド。
周りの兵士達は既に大地の威圧に屈し両手両膝を地面についている。しかしレイクリッドも大尉まで上り詰めた実力者。大地の威圧に耐えながら大地に申し出る。
「創造神様。あなたは獣人に騙されています。ザレウス大佐はあなた様のことを思って――――」
それがレイクリッドの最後の言葉になった。
「俺の事は俺が決める。知った風な口をきくな。」
大地が言葉を放ったのと同時にレイクリッドは自のが城壁の門にめり込んでいるのに気づく。
壁にめり込んだまま、自に何が起きたのか理解することなくレイクリッドは全からを噴き出しながら絶命する。
レイクリッドが絶命したのを確認すると大地は目の前の兵士達を見て話し出す。
「帝國兵達よ、お前たちに宣言しておく。創造神である俺はこれより獣人救済の為、人間至上主義であるガドール帝國に宣戦布告する。」
兵士達は目の前でを噴き出し絶命するレイクリッドを見て、自分達では束になっても敵わない事を自覚すると絶を顔に表す。
そんな中後方より熱線に風を纏わせたような砲撃が大地を飲み込む。
熱線の影響で辺りは土煙が発生し大地の姿をかき消した。城門の後ろで見ていたマヒアが悲鳴をあげながら大地の名前をぶ。
「はぁはぁ・・・創造神といえども、やっていい事と悪い事があるのですよ。陛下には悪いですが、創造神はいなかったという事にしておきましょう。」
ザレウスは口からはを吐き、腹部には足形の凹みがくっきりと殘っていたが、先ほどの熱線で大地を葬ったと勝利を確信した様子を見せながら姿を現す。
そんな余裕にすら見えるザレウスの表は土煙が段々と晴れるのに比例して徐々に恐怖の表に変わっていく。
「なんで驚いているんだ?お前も使っていた結界魔法だろうが。」
目の前にはかすり傷一つついていない大地が立っていた。
「何故だ・・・私は宮廷魔法師の一人だぞ? 何故生きている!?」
ザレウスはそれまで崩すことのなかった口調をし焦燥をわにしながら大地に聞く。
大地はザレウスに観晶石を投げて渡し「俺を見てみろ」と告げる。
観晶石とは冒険者ギルドでギルドに所屬する人達が自のステータスを確認したりするのに使う晶石だ。
本來は希価値が高く、ギルドや貴族ぐらいしか持っていない。しかも自の能力が見る程度の効果しかなく他人の能力を見れるはこれまで現存していなかった。
そんな希なを持っていることに恐怖が増していくザレウスではあったが、敵の能力を知れるチャンスだと恐る恐る大地のステータスを覗く。
「こんなの・・・ありえん! こんな數値ありえない!」
名前 石田大地
種族 ―――――
年齢 21歳
能力値
腕力S 力S 敏捷S 魔力S
保持スキル
「プログラマー」「セキュリティ」「グループウェア」
「コピー&ペースト」「デリート」
ザレウスの目に映るのはあり得ない能力値に、見たことも聞いたこともないスキル達。
ザレウスの中で増していた恐怖は絶へと変わっていた。
ザレウスは能力値オールAに火、風、と三屬の魔法が扱える帝國でも指折りの実力者であった。
魔族にも匹敵する力を持つそんな彼をしても目の前の化けの底を知ることが出來なかった。
大地はザレウスが自分の能力を見たのを確認すると靜かに口を開いた。
「じゃあさっそく邪魔者を排除しましょうか。」
大地はザレウスが獣人を始末しようとした時に発した言葉と同じ言葉は話すと、自の分をザレウスの周りに発生させる。
そして発生した分は頭上に多數の灣曲したミラーを出現させた。
すると出現させたミラーは太の反を繰り返し、を収束させるとやがて高熱の熱線へと変化していく。
ザレウスはの危険をじ即座に結界魔法を張る。
「私は魔法保持者だぞ!!魔法の類は効かん。」
ザレウスは相手が魔法の類を使用していると思い、それなら防げると再び余裕の表を取り戻し始める。
得意気に語るザレウスに大地は一言告げると熱線をザレウスへと発した。
「くれぐれも一回で死なないでくれ。ガランやゼーレの分も殘ってるからな。」
「だから魔法はきか―――――」
ザレウスの余裕はまたしても消えた。
「うぎゃぁぁぁぁあああ!!!」
熱線は結界魔法をすり抜けザレウスの左腕を灰にしていた。
「何故だぁ!!結界魔法は張っているのに・・・どうしてなんだぁ!」
「これは魔法じゃない。科學ってやつだ。」
大地はザレウスにそう告げると再び熱線を発した。
周りの兵士が腰が抜けた狀態で見ている中、熱線は右腕、左足、右足と順番に灰にしていく。
その度にザレウスからは斷末魔の様なび聲が林に響いていた。
そして四肢全てを灰にされ、本來なら既に死んでいるはずの狀態で辛うじて生きていたザレウスに大地が靜かに話かける。
「おい。まだ生きてるか。」
「・・・・・き・・さま・・・い・・った・・い・・・」
「俺は創造神なんだろ?」
「ごふっ・・・貴様は・・創・・造・・・神・・なん・・かじゃ・・な・・い」
「じゃあ俺何なんだよ?」
「き・・さ・ま・・は・・・は・・か・い・・し・・ん・・・・・・・・」
「ほう。お前ら人間にとっての破壊神も悪くないな。・・・・・ってもう聞こえないか。」
ザレウスは大地に破壊神と告げると目を開けたまま絶命していた。
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