《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第38話

大地がミッテへ出立してから初めての夜が訪れた頃、犬斗はサイラスに呼ばれて領主室に來ていた。

眠たそうな表をしながら領主室の扉をノックする犬斗。

サイラスから室許可の聲が聞こえ室すると、會談用のソファに座って紅茶をすすっているサイラスの姿が見えた。

犬斗はサイラスに導されサイラスの前に位置する形でソファに座る。

「犬斗。わざわざこんな夜更けにすまないな。」

「いえ。それは大丈夫なんですが。こんな夜中にどういった用事ですか?」

「あぁ。別に大した話ではないんだ。し犬斗と話をしたくてね。」

「こんな時間にですか? まぁ長くならないなら大丈夫ですが。」

犬斗が話に付き合う姿勢を見せると、サイラスはソファからゆっくりと立ち上がる。

立ち上がったサイラスは領主用のデスクの方へと歩いていくと、犬斗に背を向けたまま話を始め出した。

「犬斗と出會ってもうそろそろ一年になるか。」

「そういえばそうですね。あの時は本當にお世話になりました。」

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「こちらこそ犬斗には獣人の保護では世話になった。」

「いやいや! 大したことはしてないですよ。むしろ大半はサイラスさんが連れてきたんじゃないですか。」

「私だけの力ではない。犬斗が地道に獣人を保護し、また大地を見つけてくれたから短期間で四萬人もの獣人をボレアスに集める事が出來たのだ。犬斗には謝してる。」

「そうですか?役に立てたなら良かったですけど。」

急にサイラスから謝の気持ちを伝えられ、照れくさい様子浮かべる犬斗。

サイラスは犬斗に優しい笑みを浮かべながら、再度のお禮を述べた。

「あぁもう充分役に立った。ありがとう。だからもう死んでくれ。」

「えっ! 何をいっ――――――――」

サイラスから予想だにしない発言を掛けられた犬斗が聞き返そうとした時。

犬斗目掛けて全方位から魔法が放たれた。

放たれた魔法は油斷していた犬斗を捉えると小さな発を起こす。

犬斗に魔法が著弾するとに隠れていたサイラスの使用人達が姿を現した。

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「さすがの再生力だな。この程度の魔法では死なんか。」

「いてて・・・これはどういう事ですか?」

破跡に朱雀スタイルの狀態で立っている犬斗を見たサイラスは、朱雀スタイルのしぶとさに呆れた顔を見せる。

「サイラスさん・・・答えて下さい。どういうつもりで僕に攻撃を?」

「殺すつもりに決まっているだろう?」

「サイラスさんが僕を殺す理由は何ですか!」

「はぁ・・サイラスの姿だと話がややこしくなるな。もう必要もないからいでおくか。」

サイラスはこのままでは話の埒が明かないと察すると、蛹のように背中を丸めたままかなくなった。

そして丸まった背中に亀裂が走った瞬間、蛹から孵る蝶のように亀裂から見た事のない銀髪の青年が現れた。

「あなたは誰ですか!?」

いきなりサイラスのを突き破って出てきた銀髪の青年に驚きを隠せない犬斗は思わず相手の名を尋ねていた。

「犬斗。改めて自己紹介をさせてもらうよ。私は帝國生開発局局長、並びに帝國宮廷魔導士第二位のアーヴだ。」

「帝國!?もしかして大地さんが言っていたスパイって・・・」

帝國のスパイがに潛んでいたことに愕然とする犬斗。

アーヴは驚きのあまり固まり狀況を把握出來ていない犬斗に向けて忠告を始める。

「そんな惚けてて大丈夫か? 何故これまで正を隠していた私が今このタイミングで正を明かしたのだと思う?」

不気味な笑みを浮かべながらクイズでも出すかのように犬斗に問いかけるアーヴ。

犬斗が嫌な予じたその時、北東側から眩いれ出し、大きな破音が響いた。

尋常ではない事が起きていると察した犬斗はアーヴには目もくれずに、東側に開けられた吹き抜けから、クーポラの様子を確認する。

「なんてことを・・・・」

犬斗の目に映ったのは北側と東側のクーポラが謎の線によって風を開けられている姿だった。

遠目でしか確認できないが、北東に位置する剣山では犬斗の魔獣と帝國兵が戦闘をしている様子も見えた。

犬斗はすぐに助けに行こうとするが、アーヴとその使用人達に道を塞がれてしまう。

「こんな事していったい何が目的なんですか!」

「目的はこのボレアスにいる四萬人の獣人だよ。」

「獣人が目的?」

「そうだ。犬斗と出會うまで私は保護した獣人を使って人実験をしていた。

それなのに君を拾ってしまったばかりに人実験を控えざるを得なくなってしまった。

獣人に好意的で戦闘力も高く、おまけに魔獣もる君に萬が一人実験の事がばれてしまうと、まずいと思ったからだ。」

「獣人で人実験って・・・・」

犬斗は保護していたつもりが、本當は人実験用に集めさせられていたという事実に大きなショックをけていた。

アーヴの発言を聞き、騙されていた犬斗の中には沸々と怒りが込み上げてくる。

アーヴは犬斗が怒りに震える姿を楽しそうに眺めながら話を続けた。

「正直君を拾ったことを最初は心底悔いたよ。でも君を拾って悪い事ばかりではなかった。

君のおかげでこれまでより多くの獣人をボレアスに集めることが出來たし、大地を連れてきてくれたことで、より多量の獣人をボレアスに収容できるようになり、今では四萬人もの研究用サンプルがこのボレアスに集まっている。

これだけの人數が居れば、生の研究、開発は大きく前進するだろう。しかし人実験をするにも邪魔な存在が二人いてね。」

「僕と大地さんという訳ですか・・・」

「その通りだよ。それに私には実験以外にトームの侵略というもう一つの大切な任務もこなさなくてはいけない。

そろそろそっちの方も行を開始しないといけないのだよ。

大地には々面白いをたくさん見せてもらったから殺すのは大変惜しいのだけど、トームの侵略をする際に君達は必ず私の障害になる。

だから早めに始末しておこうと思ってね。

君達さえ始末すれば殘りは烏合の衆も同然。好きなように実験に打ち込める。」

「僕たち二人が邪魔だということは良くわかりました。けどこのタイミングで正を現した理由が良くわからないのですが?」

「あぁ確かに疑問に思うのも無理はないか。

私も最初はトームと帝國の戦爭に発展するまでは正を明かす気はなかったんだ。

むしろ君達の力を利用して、トームの侵略を有利に進めるつもりだった。

しかし私の予測を遙かに超えてボレアスは発展しすぎてしまった。

それだけではなくディシント鋼の加工、魔力ポーションの開発等、帝國の技、知識を超える獣人達まで現れ出してしまった。

このままではトーム侵略どころか、トームに獣人の國を作ることになってしまう。

だから私はトーム侵略の本格的な作戦が始まる前にボレアスを掌握し、帝國の敵となる君達を殺しておかねばならなくなったという訳だ。」

「つまり大地さんの力を利用するつもりが、その力を見誤っていて、自分の思ったとおりにならない事に慌ててしまったって事ですね?」

犬斗が薄笑いを浮かべながら、子馬鹿にするような口調で言い返す。

犬斗の指摘通り、今回の作戦は自分の予想より遙かに早く文化まで形させていた大地の力を恐れたアーヴが単獨で行っていたものだった。

アーヴはこれまでかに大地の作してきたの分析、解析を行い、その報を元にトームに潛んでいる部下にそれを再現させようとしていた。

もし大地の作してきたの再現に功すれば、帝國での地位は思いのまま。

四萬人もの獣人を使った生開発に加え、新たな技の開発となれば、宮廷魔法師第一位の座に著くことだって可能だ。

その栄譽を獨り占めする為、アーヴは帝國にこの事を報告することはしていなかった。

大地からの要は全て葉え、大地からの信用を得ることで、ようやく大地から作したについての詳しい報を収集することに功した。

しかしここで一つ誤算が生じてしまった。

アーヴとその部下達は、何一つ大地の作したの全容を捉える事は出來ず、再現出來るまでに至ったはなかった。

や知識を盜む事が出來ず、なおかつ底しれない強さを誇る大地を恐れたアーヴは、諜報活と稱して大地を遠くに追いやり、その間に犬斗の始末、獣人達の捕縛をした後、防衛用クーポラの兵を利用して、帰ってくる大地を迎え撃つ事を決めた。

それまで終始得意気な様子で語っていたアーヴの表は、犬斗の核心を突いた指摘により初めて怪訝なものに変わる。

「大ぶってるとこ悪いですけど、あなたは大した事はなさそうですね。はやくみんなの加勢に向かいたいので、そこを退いてください。」

「やはり犬斗は々頭が足りないようだ。お前が加勢に向かうことはない。ここで死ぬからだ。」

アーヴの言葉を合図に朱雀スタイルの犬斗は騙されていた怒りを放つように、前方のアーヴ達に炎の羽をする。

しかしアーヴの使用人の一部が前方に水魔法を展開させ、された炎の羽を無効化していく。

犬斗はアーヴ達が炎の羽を防いでいる間に、白虎、青龍、玄武を呼び寄せるとアーヴ達の使用人に霊獣を突っ込ませる。

使用人が霊獣の相手に手こずっている間に、犬斗はアーヴの元まで近づきインファイトを仕掛けた。

アーヴは自の腕を変異させると、犬斗の繰り出した蹴りをけ止める。

その後両腕両足を変異させたアーヴと犬斗のインファイトでの攻防は続き、中央クーポラの最上階ではお互いの武がぶつかり合う音と使用人と霊獣達が放つ魔法による炸裂音によって、大きな音を響かせる事となった。

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