《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第41話
カン! キィン!
シェルター前にガランの風火剣とナーシェンのサーベルがぶつかり合う音が響いていく。
戦いの最中であるにも関わらず、値踏みするな目を向けてくるナーシェンに苛立った様子を見せるガラン。
ガランは苛立ちを晴らすかのように上から勢いよく風火剣を振り下ろす。
ナーシェンはサーベルを左右の手に持つと、その剣を差させガランの剣戟をけ止める。
その後もガランが攻撃しナーシェンがそれを防ぐ構図のまま時間が過ぎていく。
「ねぇねぇ。早く狂戦士化してよ・・・」
狂戦士化しないガランに退屈そうな表を浮かべながら、ガランの剣戟を捌いていくナーシェン。
ナーシェンの挑発に乗ることなく、ガランは攻撃の手を緩めることなく絶え間ない剣戟を浴びせていく。
「狂戦士化しないならもういいや。帰ってからゆっくり見せてもらうよ。」
痺れを切らしたナーシェンは両手に持っていたサーベルに魔力を込めると、それまでけに徹していた姿勢から、急にガランへとサーベルを向ける。
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ガランも急にきの変わったナーシェンの攻撃にすぐに対応し剣戟を捌いていくが、魔力の込めたサーベルの攻撃をけ続けた風火剣が徐々に刃こぼれし始めた。
「ちっ。どんだけい剣を持ってやがる!」
「そちらの剣もなかなかの業ですね。僕の化魔法をかけたサーベル相手にそこまで耐えるなんて。」
ナーシェンは自の土屬の魔法から派生させた化魔法の使い手だった。
土魔法は他の屬に比べ発現速度や魔法の速度で劣る分、強度に秀でている魔法である。
その土魔法から強度のみを出することを可能としたナーシェンはサーベルや自分自にも化魔法をかけていた。
刃こぼれしていく風火剣を見て、ナーシェンから距離を取るガラン。
ナーシェンは得意気な顔をガランに向けながら、もう一度ガランに狂戦士化を勧める。
「ほら! 狂戦士化しないとやばいんじゃないかな! 君は研究サンプルだから殺さないけど後ろの獣人は抵抗するようならみんな殺しちゃうよ? みんなを守りたいなら今すぐにでも狂戦士化しないと!」
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「余裕面かましやがって・・・あぁくそ! 仕方ねぇ。大地の力ばかり借りたくはなかったんだがな・・・」
ガランは小さいため息をつくと風火剣を手放し、腰に掛けていたもう一つの剣の鞘に手をかけ居合いの構えをとる。
「はぁ~・・・武を変えたところで結果は変わらないのに。やっぱりもういいや。君を捕獲して、他の獣人は僕の憂さ晴らしに死んでもらおう!」
ナーシェンは狂戦士化しないガランに呆れ顔を見せると、飛びかかるようガランへと接近し、上から化魔法をかけた二つのサーベルを振り下ろす。
サーベルがガランを切り裂こうとしたその時。
居合いの構えをしていたガランが鞘からその剣を引き抜きナーシェンのサーベルに向けて居合切りを放った。
「がはっ!」
ガランが居合切りを放ったと同時にナーシェンのが後方へと吹き飛ぶ。
ナーシェンは辛うじて空中で姿勢を整え、そのまま地面へと著地するが、に走る痛みに思わず両膝を著いた。
ナーシェンのには左肩から腹部にかけて大きな切り傷が出來ており、ガランに切られる直前に、咄嗟にを反らせたおかげで致命傷とまではならなかったが、重癥には違いない傷を負っていた。
化魔法をかけていた手元の二つサーベルは半分に切られており、その斷面は寸分凹凸のない実に鮮やかな切り口になっていた。
「・・・その武は何ですかぁ~。」
ナーシェンは傷口を抑えながらガランの持っている武を見た。
ガランの右手には反りのある細い刀が付いている、これまで見た事のない形狀の剣が攜えられていた。
ガラン専用武「虎鉄」。
これは漠然とした不安を覚えた大地が日本刀をモデルにガラン用に作し、出立する前にガランに渡していた専用武である。
大地は出立前、魔力吸収を備えた防を作しようとしていたが、これは見事に失敗してしまった。
作した防は確かに全ての魔法攻撃を吸収し無効化するになっていたのだが、裝著者の魔力も常に吸収してしまう呪いの裝備となってしまった。
魔力吸収を防に応用する事を諦めた大地は代わりにガラン達の戦い方や特徴に合わせた裝備を一つずつ作し渡していた。
その一つ「虎鉄」は刀部分にのみ魔力吸収とメリアの使っていた変換魔法を組み込んで作しただ。
虎鉄の最大の特徴は切った魔法を魔力を吸収し、変換魔法により刀そのものの魔力に変換できる機能にある。
つまり虎鉄は魔法を切れば切るほど剣の威力が上がり、魔法による防を全て切り裂く、魔法を扱う者からすれば兇悪以外言葉が出てこない武となっている。
また組み込まれた変換魔法により、溜め込んだ魔力を攻撃魔法へと変換することで遠距離による攻撃も可能となっている。
それに加え刀には晶析を埋めこんでおり、魔力を流すことで微細な振を起こす仕組みになっている為、バイブレーションソードとして剣単での切れ味も申し分ない。
もちろんガランのこだわりである風と炎の屬が使えるように各屬の魔晶石も埋め込み済みだ。
「これはさすがに想定外ですね・・・」
ナーシェンはガランの持っている武の危険を察し、遠距離での攻撃に切り替える。
ガランとの近距離戦を避けるように距離を取ったナーシェンは土魔法により高度に圧した鋼の強度を持つ槍を自の足元からガランに出していく。
ガランは虎鉄を構えると出された槍をバターでも切るかのように軽々と斷ち切っていく。
すると斷ち切られた槍は虎鉄により魔力を吸収され、塵のようにその姿を霧散させていく。
「ちょっとこれはまずいですよ・・・」
ガランのもつ武の異様さに、これまで飄々としていたナーシェンの顔に初めて焦燥がにじみ出る。
ナーシェンはガランとの距離を保ったまま遠距離攻撃を繰り返すが、全てガランに切り落とされてしまう。
ガランも距離を詰めようとするが、ガランの持つ武を恐れているナーシェンはガランの距離を詰めようとするきを読み、絶妙なタイミングで鋼の槍を放つことでそれを防いでいた。
その後もガランが追い、ナーシェンが逃げるといった狀態で戦いが続いていく。
そんな狀態を繰り返していると、虎鉄の刀が僅かにを帯び始めた。
虎鉄ね変化に気付いたガランは軽い笑みを浮かべ、ナーシェンとの距離を詰めるきを止めた。
「そろそろ充分だろ!」
虎鉄はナーシェンの放った魔法の魔力を多量に吸収し青白くっていた。
魔力が充分溜まったことを確認したガランは、上段の構えをとると、距離の離れたナーシェンへと一気に虎鉄を振り下ろした。
同じく虎鉄が青白くっていることに気付いたナーシェンは虎鉄の放つ魔力に悪寒をじると、咄嗟の判斷で前方に化魔法をかけた高度の鋼の壁を作る。
「いくぞ! おらぁ!」
ガランが虎鉄を振り下ろした瞬間、目の前の地面が縦に裂け、その裂け目がナーシェンを含む帝國兵へと向かっていく。
その裂け目はナーシェンの放った鋼の壁をナーシェンの左腕もろとも真っ二つにすると、後方の帝國兵をも巻き込む地割れを作った。
「うがぁぁぁぁああ!」
ナーシェンは左肩を抑えながら、悲痛の雄びを上げる。
「ナーシェン様! これは酷い。今すぐ撤退するぞ! 治療隊はすぐにナーシェン様の治療を!」
「逃がすか! お前らも続け!」
帝國兵の一人が指示を出しながらナーシェンを擔ぎ上げると後方へと消えていく。
逃がすものかとガランと獣士団がナーシェンを追おうとするが、帝國兵が前方を埋めてしまい、ナーシェンを追うことが出來なくなってしまう。
ガランと獣士団はなんとか後を追おうと必死に立ちふさがる帝國兵を倒していくが、ナーシェン直屬の部隊は強く、陣形を崩すことがなかった。
前方に立ちふさがった帝國兵を倒した時には既にナーシェンの姿はなく、敵將に逃げられたと怒りをわにするガラン。
「くそが! これじゃ大地に顔向けできねぇぞ!」
自の力の足りなさに悔しい表を浮かべるガランであったが、ナーシェンの仲間がまだ東側のクーポラに潛んでいる事を思い出すと、ガランは部隊にシェルターの防衛を指示し、単でマヒア達の後を追うのであった。
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