《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第46話

アーヴの策略によるボレアス襲撃から一週間が過ぎた頃、大地達はトームの西南に位置しデュセオ領地の南にあるノルヴェス領地の都市イフという場所に來ていた。

あの後戦後処理を終わらした大地は今後の帝國との決戦に備えるべく、犬斗とメリアに協力してもらい、サイラスが帝國のスパイであったことを西側の領主達に封書で伝えていた。

大地からの封書を読み、驚いたノルヴェス領主が今後の事について話し合うべく會談を開きたいとノルヴェス領地の都市イフに招待する手紙を西側の他の領主に出したことから、西側の領主達で會談が行われることになり、それに大地も招待されていた。

本來であれば封書のやり取りをしてもらった犬斗かメリアのどちらかは連れてきたかったのだが、帝國のきが分からないこともあり、ボレアスの防備の為に殘ってもらっている。

もちろんルルは付いてくると言って聞かなかった為、大地の書的な役割としてついて來ている。

犬斗達に殘ってもらっているかわりに、日頃獣士団の訓練やボレアスの警備で休む暇なく働いてくれているガランとマヒアを変換魔法で人間の姿にして連れてきていた。

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もちろんいつも頑張ってくれている二人の労をねぎらう為であるが、それは大地にとってはただの建前であり、進展がない二人にやきもきしている大地が何かしらのきっかけになればと思って連れてきている部分が本音であった。

「じゃあ俺は領主館に行ってくるから、ガラン達は好きに街を周っておきな。終わり次第念話で連絡れるから。」

「えっ。お前の警護はどうすんだよ。これからの會談で結構危険な橋を渡るつもりなんだろ?」

「多分大丈夫だろ。ここもデュセオのマルタと一緒で財政が迫しているのはこの街を見てればわかる。そこを突けば渉も上手くかもしれん。とにかくこっちは気にせず楽しんで來い。」

ノルヴェスの都市イフもマルタと同じで、あまり栄えている様子はみられなかった。

表通りは確かに賑わいを見せているのだが、一本裏にると様相はガラッと変わり、裏通りにはマルタの冒険者街のように道端に乞いのように子供達が座り込んでいた。

そんな様子を見ていた大地はイフや西側の他の都市も同じように財政に苦しんでいるのだと理解していた。

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「いやしかし・・・・」

「はぁ。せっかく人が気を使ってやってるんだからありがたく気分転換してこい。」

「大地・・・わかった。もし何かあれば連絡してこいよ。」

ガランは怪訝そうな顔を浮かべつつも、マヒアと二人っきりで楽しめという大地からのメッセージをけ取ると、マヒアを連れて街の観へと出発した。

大地は二人が街の中へ消えていったのを確認すると、ルルを連れて領主館へと向かった。

ノルヴェス領主の館はボレアス領主の館と比べかなり立派な建造であった。

白を基調とした建の館にはとりどりの花が咲いている庭園があり、お金をかけているのが良く分かる。

領主館に著くと、ノルヴェス領主の使用人に會議室へと案される。

された大地達が部屋にるとそこには四人の領主と思われる人が既に座って待っていた。

それぞれの領主の後ろには護衛と思われる兵士が各領主の後ろに二人ずつ控えている。

大地も四人が席に座っているのを見て、空いている席に座る。

大地が來たことで西側の領主全員が揃ったらしく、ノルヴェス領主が話を切り出し始める。

「今回ボレアス領主代行の大地殿からの封書に書いてあった、スパイの事について急で會談を開くことになった。今回の會議の議長を務めさせて頂く、ノルヴェス領主のヘイデンと申す。大地殿よろしく頼む。」

その後各領主も簡潔に自己紹介を始める。西に位置するデュセオ領地の領主のガルム、ボレアスの南に位置するチェントロ領地の領主フォード、ノルヴェスの東、チェントロの南に位置し中央領地ミッテと隣合わせのデール領地の領主イシュメル。

トーム西側はこの四つの領地にボレアスをれた五つの領地で構されていた。

大地も軽い自己紹介をした後、再度封書に書いていた容について伝える。

「今回の封書に書いてあった通り、ボレアス領主サイラスは帝國の宮廷魔法師のアーヴという人が化けた者だった。帝國はこのスパイ達を使って最終的にはトームを乗っ取るつもりらしい。」

大地はサイラスが実は帝國の宮廷魔法師であるアーヴという人が化けていたものだった事や、東側の領地にも領主がスパイとしている事、帝國が西側と東側が爭うように仕向け漁夫の利を得る形でトームを乗っ取ろうとしていた事等を西側の領主に説明する。

話を聞いていた西側の領主達は大地の話が終わる頃には全員が顔をしかめていた。

「つまり、帝國の扇によりまんまと西側と東側で爭いが起きるように仕向けられていたということか。」

ヘイデンは帝國の思通りに自分が行させられていた事を知り、頭を抱える。

他の領主も同じ様に帝國に踴らされていた事を知り驚愕している中、一人の領主が喧嘩腰の様な口調で大地に詰め寄ってきた。

「それで? 帝國が俺達に戦爭をさせようとしたからなんだ? 東側と爭うなってか!?」

柄の悪い口調で大地に詰め寄ったのはデュセオ領主のガルム。

ガルムは白髪じりの髪のをいじりながら、そのまま大地に教授するような態度で西側と東側との爭いについて話を始める。

「そもそも帝國が介しようとしなかろうと東側の連中とはいずれ爭う必要があるんだよ。帝國の思通りだったとしてもこっちが討たれる前に東側の領主を討ってそこの領地を奪っちまえば、帝國統治となった後にその領地で帝國の恩恵をもらいながら暮らしていけるんだ。それに既に両側とも戦爭の準備をしている狀況でどうやって東側を説得する? ただでさえ西側と東側は一即発の間柄だ。それに東側にもスパイがいる狀況じゃどんな説得をしても信じてくれるわけがない。」

ガルムの話を聞いて、それまでただ驚愕していたヘイデン以外の領主達もガルムの話を聞いた途端、ガルムの肩を持つように賛同の聲を挙げ始める。

「何故そうまでして東側の領主になることにこだわる?」

大地は狂気的とも思えるガルム達の東側への執著心が気になり、理由について問う。

大地に理由を問われたガルムは今更何をという様な表を見せながら渋々説明を始める。

「はっお前はトームを何も知らないんだな。トームって土地は東側は土地もえ、魔獣等の災害もないのに対して、西側は土地も痩せ、魔獣の住処になっている窟等も多い。そのせいで常に西側は治安が悪く、竊盜、殺人なんか日常茶飯事だ。そんなところの領主をしたいと誰が思う?」

「それをどうにかするのが領主ではないのか?」

大地はガルムの態度を見て、怪訝そうな表を見せながら領主の意味についてガルムに再度問うが、ガルムは大地の質問を鼻で笑うと馬鹿馬鹿しいと言わんばかりの態度を見せる。

「おいおい。トームの領主で本當にその領地の民の事を考えてる奴なんざいるか。より自分にとって旨味のある土地を得るか。その事しか考えてねぇよ! そりゃ自分にとって良い旨味を生み出す民ならば多は民の事も考えてはやるが、西側の様に土地も痩せ金を生み出す特産もない領地の為に俺達がすることはない。」

「つまりお前達領主は自分自の利益しか考えていない豚も同然の輩ってことか?」

急に聲の変わった大地の発言により、會議場が靜寂に包まれた。

ガルムは大地の発言を聞いて額に青筋を浮かべる。

「おいトームの事を何も知らない新參者が偉そうな口を叩くじゃないか?」

「いや気に障ったなら申し訳ない。ただ自分の思っていた領主のイメージとあまりにもかけ離れていたもので、思わず本音が出てしまったようだ。」

大地はガルムの顔を見る事なく淡々と返事を返す。

目線を合わせる様子のない大地にガルムが思わず吠える。

他の領主達も大地が自分達を侮辱しているのだとじ、ガルムに賛同する形で大地に抗議の聲を挙げた。

「あまり調子に乗るなよ若造! 西側で最も力の持ってないボレアスの領主代行如きがの程をわきまえろや!」

「そうだ。トーム代々続く貴族の家名を侮辱するのか!」

「帝國のスパイを倒したからといって調子に乗るな!」

ガルム達は大地に対して罵詈雑言を浴びせるように大聲を張り上げる。

議長であるヘイデンがなんとか場を治めようするが、ガルム達の熱が冷める様子はない。

後ろに控える護衛も無禮者をいつでも切り捨てれるように剣の鞘に手をかけていた。

大地の後ろでルルも銃剣に手をかけ、殺気を放とうとするが、大地からのアイコンタクトで渋々殺気を収める

その後ヘイデンの必死の聲掛けにより、何とかガルム達も落ち著きを取り戻すが、殺伐とした空気が會議場包んでいた。

そんな空気の中、大地は飄々とした態度をとりながら再度口を開き始めた。

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