《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第47話
「要するに他の領主の皆さんは帝國が介してくる事がわかりながら東側と戦爭をするつもりがあるってことだな?」
靜寂に包まれた會議場に大地の聲が響き渡る。
大地の言葉に真っ先に反応したのはガルムだった。
「あぁ!?そうだよ! むしろ帝國がトームを侵略するつもりがあるなら、この戦爭で東側の領地を占拠しねぇと一生この土地に留まる他ない狀態になっちまう。どっちにしろ俺達がとる行は一つしかないって訳だ!」
ガルムの言葉を聞きながら、大地はデュセオ領地の都市マルタの様子を思い浮かべていた。
冒険者街で乞いと化していた子供達。それを當たり前だと言わんばかりに素通りする冒険者達。
それも全てマルタの狀況を顧みることもなく、己の利権と保にのみく領主によって形されていたものであった。
帝國だけでなくトームまで上に立つ人間が腐っていることを知った大地は飄々とした態度を取りながらも靜かに怒りのを芽生えさせていた。
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「わかった。そこまで言うなら東側との戦爭に反対はしない。そのかわり攻めるのはそっちで勝手にやってくれ。ボレアス領地は西側の領地の防衛にのみくことにする。」
大地は今すぐにでも銃剣で撃ち殺してやりたい気持ちを抑え、他の領主にボレアスの戦爭での立ち位置を告げる。
東側の領地を奪うつもりであるガルム達はライバルが減ったとばかりに嫌らしい笑みを浮かべると、大地の提案を飲んだ。
こうして東側との戦爭開始時にボレアスは最後方であるデュセオ領地に軍を位置し、他の領主達が前方に軍を構えることや大地の軍が獣人で構されている事についての了承を得たところで會議は終わった。
會談が終わるとヘイデン以外の領主は大地を睨みながら退室していく。
おそらく大地の言いだけでなく、獣人を正規の軍人として扱っている事について思うところがあったのだろう。
帰り際に「汚らわしい」や「人間が獣人を雇うなぞ何を考えているんだ」等とわざと大地に聞こえるように聲を出していた。
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大地は挑発にも似たガルム達の発言を無視しながらガルム達が退室するのを待った。
そしてガルム達が退室してからし時間が経ったのを確認してから退室しようとした時、ヘイデンから聲を掛けられる。
「大地殿。せっかくトームの危機を知らせてくれたのにも関わらず、ガルム達が暴な対応をしてしまい申し訳ない。」
「いやこっちも言葉を選ぶべきところを選んでいなかったからな。お互い様だ。」
「そうか。大地殿はこの戦爭西側は勝てると思うかね?」
「さぁ? そこら辺はよくわからん。まぁやるからには負けるつもりは頭ないがな。」
大地が淡々とヘイデンの質問に答えていくと、ヘイデンが一つの提案してきた。
「ノルヴェス領主の私は大地殿と良い関係を築きたいと思っている。確かに私もガルム達と同じ自の保しか考えてはいない輩ではあるが、今回の戦爭に関してだけはしてはいけないものではないかと考えている。もし戦爭になった際にはノルヴェスとボレアスで連攜を取りたいと考えているのだが。」
「これは驚いた。西側の領主にも冷靜な判斷が出來る奴がいるとはな。わかった、もし戦爭になった際は助けれる範囲にはなるが協力することを約束しよう。」
大地が戦爭時の協力を約束するとヘイデンは安堵の表を浮かべる。
その後二人で簡単な打ち合わせを行い、詳しい作戦に関しては大地がデュセオ領地に獣人の軍を連れてきてからするとしたところで話し合いを終えた。
その後大地は何度もお禮を述べるヘイデンを目に領主館を後にした。
領主館から出て街に戻った大地とルルは思った以上に早く會談が終わってしまった為、ガランとの待ち合わせに選んでいたカフェに似た店で時間をつぶすことにした。
「大地さん上手くいかなかったですね。」
「もうし話が出來る奴らかと思っていたんだけどな。思った以上に馬鹿な奴ばかりだったんだから仕方ない。」
「まぁ領主というのはあれが普通なのかもしれませんね。」
実は大地は西側の領主達が好意の持てる人間であった場合、食料や武、防等の提供等の協力を申し出る予定だった。
しかし蓋を開けてみれば自の事しか考えないの塊のような奴らばかりだった為、大地はそのまま後方支援にまわる案に切り替えた。
國力の劣る西側が東側と真向から戦って勝てる道理などない。
西側の領主達は東側の領主という地位をするあまり、そんな簡単な事に気付かないほど視野が狹くなっているのだろう。
大地はそんな西側の領主達を見限り、その土地に住む人達が戦爭によって被害を被らないように後方にて守るつもりで最後方に軍を置くことにした。
もちろんトームの人々を守るというのはただの慈善事業目的等では全くない。
大地の目下の目標は國を作ることである。
その國の在り方について、冒険者街での飢えに苦しむ子供達やケンプフとリリーナの仲を見てからは単なる獣人の國ではなく、獣人と他の種族が分け隔てなく平和に暮らせる國を作りたいと考えるようになっていた。
今回の戦爭で負けるつもりなど微塵もない大地は、今回の戦爭を利用してこのトームの西側に新たな國を作るつもりでもあった。
しかしただ圧倒的な力で敵をねじ伏せてしまっては獣人に対して悪いイメージを新たな國の民となるであろう西側の住人に植え付けてしまうことになる。
その為、最後方にまわり獣人が住人を守って戦う形にすることで、戦爭に勝利し新たな國の立ち上げを行った時、人間である住人が獣人に対して一定の理解を示すようになるのではないかと考えていた。
西側の領主達だけでは間違いなく東側に勝つ事は出來ないだろう。
もし運よく東側の領主を討てたとしても、帝國の軍まで相手にする力があるとは思えない。
それに西側に潛んでいたアーヴを倒したことは遅かれ早かれ帝國の耳にるだろう。
つまりどちらにしろ帝國はトームを自國の傘下に治める為、またはアーヴを倒した帝國に弓引く者の討伐の為に西側に間違いなく進軍してくるはずだ。
新たな國を作るには決して帝國との戦いは避けて通れない。
これまでの戦いで一番過酷な戦いになると踏んだ大地が作戦を考えていると、いつの間にか合流時間になっていたようでガランとマヒアがカフェへとやってきた。
「おう。お前達早かったな。」
何故か照れくさそうに頬を軽く染めているガラン。
大地は何かあったのかとマヒアの方へと目を向けてみる。
マヒアの様子に変わったところは見られなかったが、マヒアの首元には赤と緑の寶石のネックレスがキラキラと揺らめいていた。
「マヒアそれどうしたんだ?」
「ああこれか。これはガランが日頃訓練ばかりでらしい事を何一つしていない私に、お前もなんだからこういうの一つや二つ持っておけとプレゼントしてくれてな。似合わないとも思ったんだが、せっかくもらっただし思って付けてみたんだが、やっぱり変か?」
「そんなことないよ! マヒアとっても似合ってるよ!」
ルルに褒められ何やらくすぐったそうな表を見せるマヒア。
ガランは先ほどより真っ赤に染め上げた顔を必死にうつむき隠している。
大地はガランの様子を見て、噴き出しそうなのを必死にこらえながら、マヒアに賛辭の言葉を贈る。
どうやらガランも今回の観デートでマヒアとの仲を進展させようと頑張ったみたいだ。
しかし殘念ながらマヒアはガランの好意はけ取りつつも、ガランの気持ちには全く気付いていないらしい。
まだまだガランのの戦いは今後も続きそうだ。
マヒアのネックレスの話が終わると、大地は二人に會談の容について話をした。
大地の説明から西側の領主との協力関係が結べそうにないことを聞いて、ガラン達も難しい表を見せる。
「それで次はどうするんだ? 帝國がいつ仕掛けてくるかわからない以上、あまり悠長には出來ないんじゃないか?」
「まぁ慌てるな。もし西側の領主と手を組めなかった場合の考えもある。そりゃ出來れば西側の領主を説得して、西側の領主と東側の領主の対話に持ち込んで、そこでスパイを倒してめでたしめでたしの方が良かったが。西側の領主に戦爭する意志があるのならどうしようもないからな。そこで早速新しい案なんだが俺達は戦爭が始まるまでにボレアスを出てデュセオ領地に新たな城塞都市を構えようと思う。」
「ボレアスを捨てるってことか。」
「あぁそうだ。正直ボレアスは降雪もあり剣山に囲まれているからきがとりにくい。それにボレアスに俺達がいることが帝國にばれている以上、同じ場所に居続けることは危険だ。幸い會談で獣人の軍として他の領地にることは許されている。あいつらが前線に出てしまえば後はこっちのやりたい放題ってわけだ。」
「まぁ俺達はどうあれ大地にとことんまで付いていくつもりだ。」
「そうか。頼りにしてるぞガラン。」
ガラン達から付いていくと言われ、柄にもなくし照れてしまった大地。
大地達はその後、きたる戦爭に向けての準備を進める為、ボレアスへと帰っていった。
帰りの車中でガランが悶え死ぬほど大地からいじられたのは言うまでもない。
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