《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第55話
「おいおい。東側ボロ負けしてんじゃねえか。」
「あなたが領主を殺してしまい指揮系統にれが出たのでしょう。」
林より出てきた帝國軍は大きな帝國軍旗を掲げており、先頭には馬上にて談話をしているバセルダとゼルターがいた。
帝國兵の登場にこれまで意気消沈して東トーム連合軍の士気が一気に上がる。
それに比べ帝國兵の出現によりこれまで余裕ムードすら漂わせていた西トーム連合軍は焦燥を浮かべていた。
「帝國が救援に來たぞ! お前達もう大丈夫だ!」
東トーム連合の將は兵を鼓舞するように帝國兵の到著を伝える。
これまで逃げ腰だった兵士達は帝國兵の到著により一気に士気を取り戻すと、攻勢に出始める。
「なんで帝國がこんな所!?」
「俺達は帝國と戦爭していたのか!?」
それに比べ、西トーム連合の兵士達は帝國の出現にそれまで強めていた勢いを緩めてしまう。
でもそれは仕方ないことであろう。彼らはガルムから帝國が東側についていることを聞かされていなかったのだから。
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ガルムは相手が帝國だと知れば、自分達の兵士は戦うことなく逃げるであろうと予想していた。
それを防ぐ為、領主やその側近達一部の者達にしかこのことが知られないように報作を行っていたのだ。
「もうしでミッテを落とせるという時に・・・」
帝國の出現に苦蟲を噛み潰したような表を見せるガルム。
しかし帝國が現れたからと言って降伏する訳にはいかない。
ガルムは大きく聲を張り上げ、攻めることに躊躇している兵達に怒號を浴びせる。
「お前ら帝國兵をよく見てみろ! 大した數ではなかろう! これなら俺達西トーム連合軍の方が圧倒的に多い! この戦爭勝てるぞ!」
ガルムの怒號により、兵士達は改めて帝國兵に目を向ける。
確かに林で隠れてし見えにくいが、帝國兵の數は々十萬程度だろう。
西トーム連合軍は戦爭で數を減らしたといっても、まだ三十萬近く殘っている。
東トーム連合軍も士気を取り戻したといっても既に兵の數は半數以下になっている。
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帝國兵が東トーム連合軍に加わったとしても數の差でこちらが有利だ。
そんな単純な思考で自分達の兵士に檄を飛ばしたガルム。
しかし彼は帝國兵の量ばかりに目がいってしまい、帝國兵の質という部分を気にかけていなかった。
西トーム連合軍がガルムの怒號により持ち直したことで戦線は拮抗した狀態になる。
それを眺めながらバセルダはかったるそうな表を浮かべていた。
「目ぼしい奴はいねぇな・・・どいつもこいつも小ばかりだ。もう様子を見ることもないだろ? 早くこんな茶番終わらせようぜ。」
バセルダは目の前の戦場に強者がいないことに気付くと、興味無さげに両軍の殲滅を勧める。
「しかしアーヴからは準備があるからもうし待てという指示があったでしょう。一応今回の作戦では私達はアーヴの部下になりますから、勝手に行する訳にはいきませんよ。」
ゼルターから子供を諭すような口調で説得されたバセルダはふてくされるように馬上で用に橫になると、そのまま眠り始めた。
その様子をやれやれといった表で見つめながら、後ろに控える帝國兵に制止するように指示を出すゼルター。
東トーム連合軍は現れておきながらこちらに加勢する様子のない帝國兵に苛立ちを見せ始める。
「領主様の話と違う。何故帝國は加勢に來てくれないんだ!」
「よし! 帝國がいていない今がチャンスだ!」
西トーム連合軍はかない帝國兵を見ながら、今が攻め時だと言わんばかりに猛攻を加えていく。
再び窮地に陥る東トーム連合軍。
帝國の登場で持ち直したとしても圧倒的な數の不利は変わらない。
次々と兵士達は討たれていき、ついに西トーム連合軍に中央を突破されてしまう。
東トーム連合軍の將が負けを確信し、ガルムが勝利を確信した時、帝國兵が配置されている林の奧から赤黒いが空へと向けて放たれた。
不可解な現象に思わずきを止める両軍。
両軍全員が足を止め林の方角を見ていると、林の上空より一つの影が浮かび上がってきた。
浮かび上がったその影は凄まじいスピードで戦場の真ん中まで飛行してくると、ゆっくりと地面に降りて來る。
その影が降り立った場所に居た両軍の兵士達はその影の正を見るやいなや、戦爭中にも関わらず大きな悲鳴を上げると、敵味方関係なくその影から距離をとろうと逃げい始めた。
「魔族だぁ!」
「魔族が攻めてきたぞぉ!」
両軍の兵士達が見たその影の正とは細長い黒いタトゥーを模した赤黒いに額から二本の角を生やした魔族の姿だった。
「魔族だと・・・そんな話は聞いてねぇぞ・・・?」
これまで何百年もその姿を確認したこと無かった魔族の出現にガルムはすかさず退卻の命令を飛ばす。
東トーム連合軍の將もガルムと同じように退卻の命令を出していた。
「これが魔族の力か・・・素晴らしい。素晴らしいぞ! これなら犬斗であろうと大地であろうと敵ではない!」
魔族の男は犬斗と大地の名前を口にすると、準備運と言わんばかりに周囲にいる兵士達に闇魔法を放った。
まき散らされた暗黒の煙は周囲にみるみるうちに広がっていき逃げう兵士達を包んでいく。
「がはぁ!」
「息が・・・・・でき・・な・・い。」
黒い煙に包まれた兵士達はその場でバタバタと倒れると、徐々に痩せこけた表になり、最後にはミイラのような姿へと変わっていく。
「なんだあの魔法は!」
「あの煙にれては駄目だ! 魔法障壁を張れ!」
魔族の放った黒い煙は兵士達を飲み込みながら両軍の駐屯地まで広がっていく。
ガルムや他の領主達は魔法師を自の周りに集め、黒い煙に飲み込まれる前に魔法障壁を張らせることでどうにか煙を防ぐことに功する。
「ふぅ~どうにか助かったか・・・後しでミッテを落とせただろうに。」
ガルムはひとまずの危機が去ったと安堵した後、ミッテを落とせなかったことに悔しそうな表を見せた。
しかし魔族が來てしまって仕方ないと考え、今は生き延びることが先決と退卻方法について思案を移すガルム。
その後ガルムや他の領主達は煙が晴れた瞬間に全軍に退卻の號令を出すことで意見を一致させると、そのまま煙が晴れるまで待つことにした。
しかしここで大きな問題が発生する。
どれだけ待っても煙が晴れる様子が見られないのだ。
魔法障壁を張っていた魔法師の顔が徐々に悪くなり、一人また一人と魔力枯渇を起こして倒れていく。
「どうなってるんだ! たかが煙であろうが! 風魔法でどうにか出來ないのか!」
「風を発生させているのですが、あたり一面黒い煙に覆われているようで意味がありません!」
魔法師が倒れ始めて、やっと事の重大さに気付いたガルムは魔法師に怒鳴り散らしながら打開策を考えるように指示を出す。
魔法師達も様々な魔法を試してみるが、どれもただの徒労に終わってしまう。
その間にもバタバタと倒れていく魔法師達。
そしてとうとう殘った魔法師は一人になってしまう。
一人殘った魔法師は顔面蒼白になりながらも必死に魔力を練って障壁を張っていくが、一人で張れる障壁にも限界があり、隙間をう様な形で黒い煙が障壁にり込んでくる。
「ぐわぁ!・・・がはぁ!」
「イシュメル!」
領主の一人であるイシュメルが黒い煙に捕まりミイラと化してしまう。
目の前でミイラ化したイシュメルを見て取りすフォード。
ガルムが必死に制止しようとするが、既に錯狀態になっているフォードにガルムの聲は屆かず、そのまま自ら黒い煙の中にっていき、ミイラと化していった。
「なんで俺が・・・俺はトームの領主だぞ? こんな事してただで済むと思ってんのか!」
ガルムは煙に遮られ見えない空に向けて大きな聲を張り上げた。
そしてこれが自己顕示の塊であったガルムの最後の言葉となった。
ガルムが姿見えぬ魔族に怒號のようなび聲をあげたと同時に魔法師は魔力枯渇を起こした。
障壁が無くなりガルムの周囲には黒い煙が充満していき、ガルムに迫っていく。
しばらくして黒い煙が晴れた後、そこにはび聲を上げた狀態の顔のままミイラ化したガルムの姿があった。
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