「大地さん・・・・」

ルルは大地が戦っている方角から現れた漆黒の花火を見て、戦闘中にも関わらずその方角を眺めていた。

「よそ見とは舐められたものですね。」

ルルの相手をしている男はルルが自分に集中していないことにしの苛立ちを見せる。

大地とアーヴが戦闘を開始した頃、メリアとルルが擔當している西南の城門前でも帝國兵との戦闘が開始されていた。

戦闘が始まってすぐ、メリアは宮廷魔法師のゼルターを見つけると、ルルに城門の守りを任せてゼルターのいる場所へと行ってしまっていた。

メリアから城門の守りを任されたルルは、城門を破壊しようと攻めてきた生兵開発局第六室長であるジェイコフとの戦闘の最中であった。

ジェイコフはよそ見をしているルルへとのように変異させた両腕を鞭のようにばして叩きこんでくる。

ジェイコフの殺気に気付いたルルはすかさずをひねりながらジェイコフの腕に銃弾を撃ち込み、ジェイコフの両腕を弾いていく。

さっきから両手首を的確に撃っているのにどうしてこの人は傷一つ付いていないの・・・？

ルルは銃弾を當てているにめ関わらず、ジェイコフの両腕が出どころか傷一つ付いていないことに疑問をじていた。

ジェイコフとの戦闘が始まってからルルは百発百中ともいえる度でジェイコフに銃弾を浴びせていた。

しかしジェイコフの両腕は銃弾をもろともせず、ルルの放った全ての銃弾はその両腕により防がれていた。

いくら攻撃してもダメージを與えれないことにルルが怪訝そうな表を浮かべていると、ジェイコフは自の腕を見せびらかしながらルルにそのを語り出した。

「この腕が気になりますか？　この腕は私の第六室の研究テーマである部分魔獣化を施したものなのですよ。」

「部分魔獣化？」

「昔人間に魔獣の伝子を組み込んで生兵を作ろうとしたことは知っていますね？　その失敗作があなた達獣人だ。実はあの研究はまだ続いているんですよ。」

「まだあんな酷い事ことをしているんですか・・・」

ルルは帝國が自分達を作り出した非人道的な実験をまだ行っていることを知り、怒りに任せたようにマガジンにっている銃弾を全てジェイコフに打ち込む。

ジェイコフは慌てる様子もなくばした両腕を全に巻き付け、両腕で全を覆う。

ルルの放った銃弾が全に巻き付かせたジェイコフの腕に著弾していくが、腕に著弾した銃弾はそのまま吸い込まれていくようにその姿を消していく。

「ほっほっほ！　あなたの武は素晴らしいものだ。しかし私の両腕に理攻撃は効きませんよ。」

全に巻き付かせた腕を元に戻すと得意気に高笑いをあげるジェイコフ。

ジェイコフの腕にはある特殊な魔獣の伝子が組み込まれていた。

その魔獣とは犬斗が青龍と名付けて使役している魔獣スレイクであった。

スレイクの特徴は理攻撃の完全無効化である。

ジェイコフの第六研究室ではの一部を魔獣化させるテーマとしており、ジェイコフは自らのを実験とし、スレイクの伝子との融合を果たしていた。

つまり現在ジェイコフの両腕はいかなる理攻撃も無効化出來るようになっていた。

銃弾による攻撃が効かないと分かったルルは銃剣を腰のホルスターに戻すと、今度は水魔法による攻撃を仕掛ける。

ルルは自分の周囲に水弾が展開させると、それをジェイコフに向けて発させる。

「魔法なら私を倒せると？  淺はかな考えですな。」

ジェイコフは両腕を前に掲げるとルルと同じ水弾を展開させて迎え撃つ。

両者の水弾が激しく衝突を繰り返すが、ジェイコフの展開させた水弾はルルの展開したに比べ一回り大きかった。

「スレインは魔力に長けた魔獣。その魔獣の伝子を組み込んだ私の魔力があなたに劣る訳ないでしょうが！」

スレインの水弾に徐々に押されてきいき苦しそうな表を浮かべるルル。

水弾の打ち合いでも敵わないと思ったルルは、銃剣をホルスターから再度引き抜くと、大地から授かった火屬の魔法弾薬をジェイコフに撃った。

「銃弾は効かないと言っているのに・・・」

ジェイコフは呆れた顔をしながら、両腕を全に巻き付け防態勢をとる。

ルルの放った小さな赤い閃は全に巻き付いた左腕に著弾した。

「ぐっ・・・！」

魔法弾薬が著弾するとジェイコフがくぐもった聲をあげた。

全に巻き付かせた両腕を解き、左腕を押さえ始めるジェイコフ。

押さえた左腕からは量のが流れており、ジェイコフは苦悶の表を浮かべている。

「そうか。　魔法弾薬なら理攻撃であり、魔法攻撃にもなるんですね！」

ルルは魔法弾薬がジェイコフに通用することに気付くと、大地から事前に渡されていた試作弾薬を裝填し、いまだ苦悶の表を浮かべるジェイコフに放った。

「くっ・・・そんな奧の手を持っていたとは。それなら魔法で防げば良いのです！」

ルルの放った銃弾を防ごうとジェイコフは前方に水の障壁を展開させる。

銃弾がジェイコフの障壁に阻まれようとしたその時。

銃弾が五つに分裂し障壁を避けるように拡散していく。

分裂した銃弾がジェイコフの背後を通過しようとした瞬間、まるで鷲摑みにするように急角度に曲がりジェイコフの背中に突き刺さった。

「んがはっ！」

ジェイコフは背中に走る激痛に思わず四つん這いになる。

五つの銃弾はジェイコフのに深く突き刺さり、ジェイコフは口からはを滲ませる。

「どうやって私の背後を・・・・・？」

ジェイコフは背後からの攻撃の正がわからず困した表でルルを見つめる。

ルルは四つん這いになったことで大きな隙が生まれたジェイコフに間髪れずにもう一つの試作弾薬を四発撃ち込む。

「うわぁ！　やめろ！　打つな！」

ジェイコフは正のわからない攻撃に恐怖心を抱くと、全方位の水魔法障壁で自分を囲み、両腕を全に巻き付け、自分の出來る最強の防態勢をとった。

「ぐわぁぁぁぁああ！」

しかし無にもジェイコフからは悲痛のび聲が挙がった。

スレイク化している両腕には一発ずつ銃弾が著弾しており、著弾跡は大きく腫れ上がっていた。

ルル専用銃剣用弾薬「」貓又ねこまた＆「病貓鬼びょうびょうき」

この二つの種類の弾丸は中距離戦闘を得意とするルルの為に作られた特殊弾薬である。

貓又は相手の目の前で一度拡散させ、背後から相手を狙うきをプログラミングした弾薬になっており、主に敵にダメージを與え隙を作ることを目的とした弾薬である。

一方病貓鬼はアナフィラキシーショックを元にプログラミングを行ったもので、魔法であれ人であれ、二発喰らわせることでその相手を無効化することが出來る弾薬となっている。

貓又で敵のきで封じ、病貓鬼で敵に止めをさす。

そういったコンセプトで作られた弾薬だったのだが、ルルはまさにそのコンセプト通りに弾薬を使い、ジェイコフに致命傷を與えていた。

ルルは両腕を大きく腫らし、痛みから地面を激しく転げまわっているジェイコフの元へとゆっくりとへと近寄る。

「まだ生きていますか？」

「はぁ・・・ぜぇ・・・助けてくれ・・・」

病貓鬼による重いアレルギー癥狀により、呼吸もままならない狀態になっているジェイコフ。

ルルは既にジェイコフがあとしの命だと悟ると、ジェイコフから離れ心配していたメリアの元へ向かった。

「助けてくれ・・・置いてかないでくれ・・・」

ジェイコフは去っていくルルの後ろ姿に聲を振り絞って懇願する。

しかしその思いは屆かずジェイコフはゆっくりと呼吸を止めた。