《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第66話

ペンタゴンと帝國の戦爭が始まってまもなく、西北の城門付近では地上と上空に分かれて戦闘が行われていた。

上空で行われている戦闘には風魔法を応用して上空を飛んでいるゼーレと風魔法から派生した飛行魔法を使う生開発局第二室長であるグラの姿があった。

「なんでこいつは飛べるんだ・・・?」

グラは飛行魔法を使わずに風魔法の応用だけで飛んでいるゼーレに驚いていた。

グラの知る限りでは風魔法のみで自由飛行を行えるのは宮廷魔法師第六位のシリウスしかいない。

風魔法で飛行を行う為にはとても繊細で明確なイメージが必要だ。

しでもイメージを崩してしまえば空中で勢を維持出來ずに地上へと落下してしまう。

そんな一つのミスが命に直結する狀況であるにも関わらず、平気な顔で魔法の撃ち合いに応じているゼーレに対してグラは腹立たしさをじていた。

グラが室長を務める第四室は風魔法をテーマとしているところなのだが、その中でも飛行魔法の汎用化は生開発局の研究の中でも最も重要視されていた。

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そんな重要な研究を任されていたグラは長年の研究の結果、やっと自の風魔法から飛行魔法を派生させることに功させており、空中での戦闘に限っていえばシリウスにも負けていないという自負があった。

しかし敵であるゼーレは風魔法だけでグラと同等の飛行能力を有していた。

獣人如きが風魔法による飛行を功させていることに、自の存在価値を否定されたような気分になったグラはそんなゼーレの存在を否定するかの如く風の刃をゼーレに放っていく。

速度を高めながらゼーレに向かっていく風の刃だったが、ゼーレの手前まで差し掛かるとまるで壁にぶつかったように砕け、そのまま霧散していった。

「結界魔法だと? お前魔法まで使えるのか?」

者が最もなく防力に関しては他の屬を寄せ付けないとされる魔法をゼーレが使っていることにまたもや驚きの表を浮かべるグラ。

しかしこの後グラは更なる驚愕の事態に直面することになる。

「よし。大使い方はわかってきました。では早速試してみましょう。」

ゼーレは何かを確認する仕草をした後、今度は火球と水球を前方に出現させるとグラに向けて放つ。

「なんだと・・・・?」

グラは放たれた火球と水球を避けながらも、ゼーレが風、と続き火と水の屬の魔法を放ってきたことに驚きを通り越して困した様子を見せていた。

「どうなってんだ・・・? 四つの屬を扱う奴なんて神話の世界ぐらいなもんじゃなかったのかよ。」

グラは目の前で起こっている現象を信じることが出來なかった。

ゼーレはグラが困していることなど知らず、大地から授かった武の試運転とばかりに今度は闇球と土球を出現させグラへと放つ。

「六屬全ての魔法を使えるだと!?」

思考が停止していまいそうな程の衝撃をけたグラは回避行に移るのが遅れ、左肩に土球をけてしまう。

グラがそのような狀態になったのも無理はない。

これまで六屬すべての魔法が使えた者など存在しなかった。

魔法の適正が高いとされる妖族でさえ、四屬を扱う者が昔存在したという程度で、六屬を扱える者はいなかった。

そんな狀況の中、魔法の適正が低いはずの獣人が六屬を使ってきたのだ。

それを目撃したグラの思考が止まってしまった事は必然とも言えるだろう。

「ぐっ! 俺としたことが驚いて回避が遅れるなんざダサいことを・・・」

左肩を押さえながら、冷靜さを欠いていたことに気付いたグラは気持ちを一度落ち著かせると、これまでのゼーレの攻撃に関して研究者らしく分析していく。

どういった方法でそれを可能にしているのかはわからないが、相手は六屬の全ての魔法を使えることが出來るらしい。

しかし使われた魔法は基本中の基本である魔法球を作して放つというものだった。

もしかしたら六屬使えても各屬練度は低いのでは?

グラはゼーレが六屬扱えるものの、風魔法のように上手く扱えていないのではないかと考えた。

「魔法球程度ならどの屬が來ても怖くない。なら注意するべきは風魔法だけって事か。」

グラはゼーレの風魔法以外の屬魔法に関しては大した脅威にならないと考えると、攻勢に出るべくゼーレよりも高い位置に陣取る。

するとグラは両手から大きな竜巻を発生させ、それをゼーレに向けて放った。

「所詮獣人。風魔法での打ち合いなら負ける訳がない。」

グラは自の風魔法に絶対的な自信を匂わすと、更に竜巻に魔力を注ぎ込みその威力を上げていく。

獣人にこれ程の威力の風魔法を放てるわけがない。

そんなグラの算段はこの後ゼーレの放った風魔法により大きく崩されることになる。

ゼーレがグラの放った竜巻を迎え撃つ為に放ったのは、グラと同じ竜巻であった。

しかしその竜巻はグラがこれまで見て來たものとは大きく違い、黒炎を纏ったような仰々しい姿をしたものであった。

「なんだあれは・・・・?」

ゼーレの放った竜巻はグラの竜巻を軽く蹴散らし、グラへと襲い掛かる。

グラは向かってくる異形の形をした竜巻に驚きながらも、飛行魔法を駆使してその竜巻を回避していく。

「もしかして複合魔法か?」

グラはゼーレの放った竜巻を見て、ゼーレが複數屬を組み合わせることによって発出來る複合魔法を使ったのだと察した。

基本である魔法球しか使えないどころか、複合魔法という魔法に知していないと使えない魔法を放ってきたゼーレ。

「お前は一何者なんだ!」

グラは狼狽した様子を見せながら、複合魔法を放ったゼーレに対して上った聲で問いかける。

「ただの兎人族ですが・・・」

「六屬全て使える奴がただの兎人族な訳ないだろ!」

「それは私の力ではなくてこれのおかげですよ。」

ゼーレはそう言うと自分の背中に設置されている裝備をグラに見せた。

ゼーレが見せた裝備。それは金に輝く三日月の形をしていた。

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