《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第67話
ゼーレ専用魔法変換武「月兎げっと」
ゼーレの背中に設置されている月兎には変換魔法を組み込んである。
それにより本來風魔法しか扱えないゼーレでも、この月兎を通して魔法を放つことで、風屬を他の屬に変化させて放つことが可能となる。
大地は當初ゼーレの火力不足を補う為に、他の屬も扱えるようになる武として、この月兎を作したのだが、ゼーレはその優れたイメージ力にて複合魔法まで扱うレベルにまで月兎を使いこなしていた。
先程ゼーレが放ったのは風、火、闇を組み合わせたゼーレオリジナルの黒煙気流という魔法だ。
竜巻に火を纏わせることで火力を上げ、闇魔法を纏わせることで指向を持たせ、貫通力を上げた竜巻の強化版である。
ゼーレは背中の裝を見せながら、敵であるはずのグラに何故か丁寧に説明をしていた。
「そんな武がこの世に存在するわけが・・・・」
ゼーレの説明を聞いてもいまだ信じられないといった様子を見せるグラ。
「信じられない気持ちはよくわかりますが。本當にこの裝のおかげなんですよ。」
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いまだに信じようとしないグラを見て、初めて裝をもらった時の自分を思い出すゼーレ。
大地さんから渡された時、私もこの人と同じ顔をしていたんだろうな・・・・
ゼーレはそんな事を考えながら、グラの大の戦力を把握すると、驚きと困を混ぜ合わせたような顔を見せるグラに降伏を進め出す。
「あの出來ればこのまま引いてはくれませんか?」
「はぁ? 獣人相手に負けを認めろっていうのか!?」
「正直言わせてもらいますが。これまでの戦いからあなたが私に勝つのは不可能だと思います。引いてくれるのであれば追うことはしませんから。」
「舐めやがって! 俺は生兵開発局第二室長だぞ!? 室長が獣人相手に逃げ帰ったとあればとんだお笑い者だ! そんな事出來る訳ないだろ!」
グラは怒りの表を浮かべ、両手を上に突き出すと、周囲に大きな竜巻を作り出す。
竜巻に囲まれその姿が見えなくなるグラ。
竜巻は地上の草花を巻き上げながらその規模を大きくしていくと、手足を模したような新たな竜巻が四本生えてきた。
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まるで人のような形に変化した竜巻からグラの聲が響いてくる。
「これが俺の最大にして最強の魔法だ! お前にこの魔法が防げるかぁ!」
グラの聲が響いたと同時に手を模した二つの竜巻をゼーレに向ける。
二つの竜巻は両サイドから挾みうちするようにゼーレへと迫っていく。
「やっぱり戦うしかないんですね・・・」
ゼーレは両手から黒煙気流を放ち、迫ってくる二つの竜巻を散らしていく。
「ちっ・・・この程度じゃ駄目か。ならば!」
グラが全を包んでいる竜巻ごとゼーレに向かおうとした時、周囲が霧に包まれた。
「なっ!?」
濃い霧に包まれ、ゼーレの姿を見失うグラ。
「何処に消えやがった! 姿を見せろ!」
グラは霧を晴らそうと、周囲に竜巻を放っていくが霧が晴れる様子は見られない。
「くそが! 霧如きで俺を倒せると思うなよ!」
グラは周囲を囲む竜巻に再度魔力を込めると、竜巻の周囲に暴風を発生させる。
発生した暴風により徐々に晴れていく霧、そして暴風を発生させて間もなくして霧が晴れると、グラは目の前にいたはずのゼーレがいないことに気付く。
「あいつ何処に隠れやがった。」
「ここにいますよ。」
真上から聞こえた聲に上空を見上げるとそこにはゼーレの姿があった。
ゼーレは真上の位置からグラに対して黒煙気流を放つ。
竜巻の唯一の四角ともいえる真上から攻撃に、グラはを右に反らして避けようとするが・・・
「なっ!? 結界魔法だと!」
竜巻ごと周囲を結界魔法で閉じ込められていることに気付いたグラは焦った様子で迫ってくる黒煙気流に目を向ける。
獣人如きに俺が負ける?
グラの頭の中に敗北という二文字が浮かぶ。
「俺が獣人に負けるだと・・・そんなこと斷じて許容出來るわけないだろうが!」
グラは周囲に展開させている竜巻を一度自分の両手に収束させ、高度に圧すると黒煙気流に向けて放った。
「ぐぉぉぉおお!!」
貫通力の高い黒煙気流はグラの放った竜巻を切り裂き、徐々にグラへと距離をめていく。
しかしグラは帝國幹部としてのプライドから負けじと竜巻に魔力を注ぎ、黒煙気流の勢いを削いでいく。
そしてグラの目の前まで差し掛かろうという距離まで黒煙気流が迫ったところで、なんとか押し返すことに功させるグラ。
グラは呼吸を荒げながらも、勝ち誇った顔をゼーレに向ける。
「お前の奧の手も通用しなかったようだな!」
しかし顔を上げたグラが目撃したゼーレの姿は、周囲に黒煙気流と思われる竜巻を五つ修一に旋回させている姿だった。
「おい・・・噓だろ。あの魔法はお前にとって一つの攻撃手段でしかなかったっていうのか。」
自分がやっとのことで防ぐことが出來た魔法を涼しい顔で周囲に旋回させているゼーレの姿を見て、グラは初めて自分の葉う相手ではなかった事を悟る。
「私にも守りたいものがあるんです。ごめんなさい。」
ゼーレは悲しそうな表を浮かべながら、五つの黒煙気流をグラに向けて放った。
「ちっ・・・まさか俺が獣人に負けるとはな。」
迫りくる黒煙気流を前にグラは抵抗する素振りも見せず、自分の不甲斐なさに微笑を浮かべると、そのまま黒煙気流に飲み込まれた。
その後グラを飲み込んだ黒煙気流はそのまま上空へと上昇していき、そこで弾けるように消えていった。
黒煙気流が消えた先にグラの姿はなく、空中の塵と化していた。
ゼーレはグラとの決著をつけると地上で戦っているはずの犬斗の姿を探す。
城門前付近やその周囲を上空から見渡していくが、犬斗の姿が見えない。
『犬斗さん。こちらの戦いは終わりました。今から加勢に向かいたいのですが、何処にいますか?』
ゼーレは姿の見えない犬斗の事が心配になり犬斗に念話を飛ばす。
するとすぐさま犬斗からの返事が屆く。
『すみません。だいぶ押し込まれてしまって。今はペンタゴンの北側辺りにいますが加勢は大丈夫です。それよりも西北の城門をお願いしてもいいですか? 當分そちらには戻れそうにありませんので・・・』
ゼーレは犬斗からの返事が屆いたことで、ひとまず犬斗の無事を確認し安堵すると、犬斗の心配をしながらも犬斗の指示通りに西北の城門で戦闘している兵士の加勢へと向かった。
ルル、フィア、ケンプフ、ゼーレが生兵開発局の室長達との戦いを優位に進めている頃、ガランとマヒアは第一室長のナーシェンと第五室長ルーメルとの戦闘で苦戦を強いられていた。
「どうしたガラン? ボレアス領地の時とは違って防戦一方じゃないか?」
ナーシェンは全を囲うローブの隙間からうっすら笑みを見せると、ガランに土槍による攻撃を加えていた。
ガランは飛んできた土槍を虎鉄で捌こうとするが、何故か土槍によって虎鉄が弾かれてしまう。
「ぐっ! 虎鉄で切れないだと? しかも魔力も吸収出來ている様子もない・・・一どういったカラクリだ。」
先程からガランはナーシェンの土魔法を虎鉄で切り裂こうとしていた。
しかしナーシェンの放つ土魔法はボレアス領地で戦った時とは違い、いくら虎鉄で斬りかかっても、虎鉄の方が弾かれてしまっていた。
ガランの全には捌き切れなかった土魔法により出來た切り傷やかすり傷が多數存在している。
マヒアの方に目線を向けると、マヒアも相手の特異な魔法により苦戦している様子が窺えた。
このままではまずいと思ったガランはナーシェンの魔法にどういったカラクリがあるのかを考えていた。
ガランの思案にふける顔を見て、ナーシェンはガランが今何を考えているのかを嬉しそうに告げる。
「今なんでボレアスの時は切れていた僕の魔法が切れないのかって考えているでしょ?」
「あぁそうだな。」
「そうか。では僕に一度勝った君に敬意を表して、そのを教えてあげよう!」
ナーシェンは全を纏っていたローブを剝がすとそのをガランに披する。
「お前その姿は・・・!?」
ガランはナーシェンの姿に思わず眉をしかめた。
披されたナーシェンの姿は、左半が紫に変し異形の形に変形している姿だった。
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【12/15にコミックス第1巻が発売。詳細は活動報告にて】 聖女モモを虐めたとして、婚約者の公爵令嬢クロエ=セレナイトを追放した王子レッドリオ。 だが陰濕なクロエが大人しく諦めるとは思えず、愛するモモへの復讐を警戒してスパイを付け監視する事に。 ところが王都を出た途端、本性を表す『悪役令嬢』に、監視者たちは戸惑いの嵐。 ※本編完結しました。現在、不定期で番外編を連載。 ※ツギクルブックス様より書籍版、電子書籍版が発売中。 ※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」でコミカライズ版が読めます。 ※世界観はファンタジーですが戀愛メイン。よく見かける話の別視點と言った感じ。 ※いつも誤字報告ありがとうございます。
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