《普通を極めた私がに転生ってそれなんて生き地獄!?》06 外に出れば出るほど普通じゃなくて泣きそう。

───心地の良い朝だ。

青く澄み渡り、雲ひとつない空を見上げる。こんな日には剣を振りたい。しかし、今日は休日だ。父として他にせねばならん事も有る。

だがしかし、やはり剣が振るいたくてウズウズしている自分が心の奧底に住み著いているようだ。

もうし息子が大きくなれば稽古だと銘を打ってやれるものだが、まだ6歳だ。よくて、安全な訓練用模造品しか使えぬとなると心もいまいち昂らない。

こんな事だから妹達にも妻にも想を盡かされるのだと母は言うが、これは最早、筋の呪いみたいなものだろうがと訴えたい。

幸いにもまだ息子にはその兆候は見えてないようだが。

「貴方、アリシアから手紙が來てますよ。」

「ん?そうか、すぐ読もう。」

書いてるのはアリシアだけか。珍しいな、いつもなら二人分纏めて送ってくると言うのに。……もう二児の母になったというのに相変わらず子供っぽいというかなんというか……全く、これではエミリーも苦労が絶えんだろうな。

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「……それでアリシアはなんと?」

「ん、私たちに合わせて帰ってくると書いてある。」

「まぁっ!リリィちゃんもルティスくんもきっと可いでしょうねぇ……」

「まぁ、あいつらの子だ。間違いない。」 「……相変わらずのシスコンですこと」 「ばっ!ちがっ!そう言うことではないだろう!?」

いやしかしなんだ、こんな日は剣が振るい── 

ーーーーー

ルティことルティスくんとご対面を果たしましてはや2週間が経ちました。あれからエミリーさんがお仕事しに來ている時は基本的にルティスくんと一緒にいるようになりました。エミリーさん1日しか休みとってないみたいだから日中は殆ど一緒にいるって事なんだけどねー!

最初よりは意的に私にも反応してくれるようになったルティくんですが、やっぱり本的な彼のルーティンポジションは口ぱかぁんのぽやぽやさんみたいです。

私がアクションしなかったらどうなるのかなぁって思って昨日ずっとルティくんのこと観察してたんだけど……なんだろう。この子、本當にかないの。

ぽやぁってるでしょ?たまにお外覗いたりするけどそれもぽやぁってしてるのね。時折ハイハイで2、3歩くんだけれど、また座って口ぱかぁのぽやぽやぁってじでよだれダラァ。この子大丈夫かしら、普通に大丈夫じゃない気がします。え、私よりマシって?

──ぶっとばしますよ?

そして、今日のお話ですが私達は珍しくお外にいます。今までも定期的にお散歩してもらった事はあるけど、今回はちょっと遠くまで行くみたい。荷がたくさんあったからお泊まりかも知れぬ。わくわくだぬ。

なんと馬車に乗っています。すごい揺れる、馬車ってすごい揺れる。

「うーやぁうあー」

今日は私とアルスお兄ちゃんとルティスくんにエミリーさんにママさんっ!

パパさん、ルティスパパは多分お仕事ですね。ここ最近パパさんを見てませんので出張かも?ルティスパパはそもそも會ったことないや。

アルスお兄ちゃんは普段稚園に行ってるみたいで、お兄ちゃんが帰ってくる時間帯はいつも睡魔に負けて睡してるからね、実はあんまり絡みがないんですよねー。

私がもう長したら、沢山遊んであげるからねっ!あ、いや遊んでもらうからねっ!普通に!

それにしても、すごく揺れる。

ルティスくんなんて揺れるたびに顎ぱかんぱかんなってますもん、くるみ割り人形みたいね君。

お兄ちゃんは……そうね、ずっと私の頭をでてくれます。飽きないのかなぁ、嫌じゃないからいいけど。

私は景見てると酔っちゃうタイプの普通の人間なので、ママさんのおに隠れてます。かなり息苦しいけど、酔うよりマシだもんね………

「今日は一段と甘えんぼさんねぇ ♪」

「あぅ」  ああんっ!?なんだ、何かいいたいかっ!

えぇっ!そうですよっ!それだけじゃないですよっ!酔うだけなら橫見なきゃいいだけとかいうんでしょっ!はぁんっ!わかってますよっ!だってほら、見て見たらっ!?外見てみなさいよっ!

「おああぁああっ!」

──見渡す所のあらゆる場所に點在するノット普通、アン普通なの數々っ!何あのっ!見た事ないもんっ!なんかドラゴンみたいなのさっき飛んでたもんっ!なんかっ!なんかっ獣耳ついてる人いたもんっ!!もっといえば、島みたいなのがいっぱい浮いてるんだもぉおおおんっ!こんなの見てたら普通の世界がしくて泣いちゃうよっ!  

──ここは異世界なの!

し忘れかけてたけどここは異世界なのっ!というかもう異なる世界と書く時點で普通を全否定してるのよっ!わかるっ!?私の気持ちわかるぅっ!?※獨り言です。

うわああああんっ!もうやだぁっ!!

「うやぁ……あぅぅ………」

「ままーっ!リリィがなんかいってる、なきそう!」

「えーどうしたの?大丈夫、しんどいのー?」

「うゃぁああああっ」

貴方達にはわからないのよっ!ママさんっ!お兄ちゃんっ!……みんなに當たっても仕方ないからこうやって、の中にうずくまってるんですー!わかった?わかったら黙っとけやもうっ!バーカっ!※獨り言です。

「うーん……馬車嫌いなのかしら。顔隠しちゃうし」

「眠たいんじゃない?ルティもウトウトしてるもの」

「そうなのかなぁ……」

ルティくんと一緒にはしないでほしいなぁ。私は普通だもの、あの子はちょっと違う、うん。※本気で言ってます。

「実家も久しぶりよねぇ。リリィが生まれて以來だから、半年ぶりくらい?」

「う、張して來た……」

「ぼくねーっおじいちゃんとあそぶっ!」

「ふふふ、そうねー。」

ほぇ?実家ですか?

あ、お出かけって里帰りなんだっ!じゃあ私のおじーちゃんとおばーちゃんに會うんですねぇ……普通な私にきっと驚いちゃうねっ!いや、普通だから驚かないか。うっかりうっかり。際どいラインで普通じゃない所を突かないとねぇ。普通に生涯を終えるために……

ああ、ダメやっぱり私も眠たい。し眠ります。

ーーーーー

「そういえば兄さん達、先に帰ってきてるよ」

というか、兄さんから今度実家に帰るって手紙が來てたからじゃあ私達も帰るっ!て話だったんだけれど、エミリーにいうのに忘れてたや。

「えーっ!?そういう事はもっと早く行ってよっ!」

「えー、別に困る事とかないでしょ?」

「テレスくんのおさがりとかあるかもしれなかったのにーっ!」

あー、そっか、おさがりとかあったなぁ。

「そんな事、全然考えてなかったなぁ、てへ♪……そもそも、アルスのお下がりだけじゃダメなの?」

「もらえるものはもらっとく!主婦の基本っ!」

ほぇー……なんだか、この子も逞しくなったなぁ。やっぱり親になると一皮剝けるものねぇ。

「ママ、テレスってだぁれ?」

「あー覚えてないかぁ。アルの従兄弟だよ従兄弟。アルより3つ歳上だから遊んでもらおうね」 「うーん……うんっ!」  

多分、従兄弟が何かわかってないよね、この子。

兄さんここ最近ずっと忙しかったからリリィとルティスは初めて會うんだよねぇ……アルスですら會ったのは1歳の時だもんなぁ。

テレスくん、あの時から兄さんに似てしっかり者だったから今はもっと頼もしいお兄ちゃんになってるんだろうねぇ。バトルジャンキーな所まで似てないといいけれど………

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