《普通を極めた私がに転生ってそれなんて生き地獄!?》5000PV記念番外編 フランディルド家と私

『エミリーちゃん、初めまして。』

『誰?』 

『ああ、そうね。私の名前はエレノアっていうの。今日は夫……ガルドノックの代わりに私が來ちゃった。それでね、今日は私から一つ提案があるの』

『むすめはやだ』

『あ、はは……やっぱり変わらないかぁ。そうね、だから、貴にはアリシアの侍として一緒に暮らしてほしいの』

『じじょ?』

『うん、の回りのお世話をする人の事よ。ごめんね、本當は養子として迎えれたかったのだけれど………』

『それはおしごと?』

『うん』

『やくにたてる?』

『もちろんっ。あっ!でも私の事はママって呼んでね ♪』

『え”っ』

それが私がアリシアと共に過ごす事になった時、彼の母であり表面上では私の義母にあたるエレノア・フランディルドと初めてわした會話だった。本當に気の抜ける會話だと今でも思う。

私は5歳の時に落石事故にあったらしい。その時、馬車に乗り合わせていたのは運転手と私の両親と私。奇跡的に生き延びたのは私一人だったそうだ。

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私にそれ以前の記憶はない。

事故の時に頭を打ったのか、それともショックによるものかは定かではないけど、私は記憶喪失になってしまったそうだ。まったくこれっぽっちも、何も覚えていなかった。

自分の名前も、そして両親の事も。

 記憶がない為、私からは元がわからない。その上、発見された時點で両親のは損傷が激しく外見では元を特定する手段が見つからず捜査は難航していた。

私は騎士隊に救助された後、一時的にクラスタスという街の教會に預けられる事になり1週間ほど経った頃、教會にこの街の騎士隊の隊長と名乗る人が現れた。

それがガルドノック・フランディルド。アリシアの父親だった。

『エミリーっ!……間違いない、やはり君はノイエの娘に違いない。』

『えみりー?』

『そう……こちらへおいで。』

大きなでとても大きな聲を出すその人は、私の事を優しく包み込んでくれた。

ガルドノックは私の父の友人だったそうで、まだ私が赤子の頃に一度だけ會ったことがあるらしく、事故の報告書にあった私の似顔絵に両親の面影をじ、彼はすぐさまと所持品の確認に向かった結果、私がエミリーであると確証を得て訪れたらしい。

母は孤児院育ちで、父は貴族の出。所謂駆け落ちというやつだったらしく、二人は小さい村で暮らして親族の類との繋がりを完全シャットアウトしていたと。そんな狀態で生まれてきた私を父の家が快くれてくれるはずはない。下手をすればその事実をみ消そうとするかもしれない。

──だからウチの娘にならないかと言ってくれた。

だけれど私はそれを斷った。この人はいい人だ、それに私の名前を教えてくれて、それにぎゅっと抱きしめてもくれた。だからこそ、この人達に頼るだけでいるのは嫌だと思った。

それから何度もガルドノックは私の元を訪れたけど、養子の話は最初の一度だけでそれ以降はいつも娘のアリシアという子の話をしてくれた。

アリシアは元気が良く、お転婆な子で一人にすると危なっかしくていつもひやひやする。妻に似て滅茶苦茶可い、だとか。そんな惚気話をいつも聞かされた。

その子の側にいるのは楽しそうだと思った。一緒に遊んだりしてみたいと思った。それでもやっぱり私は頼るだけの関係は嫌だったから意思が変わる事はなかった。

だけれど、エレノアがガルドノックの代わりに私の元にやってきてアリシアの侍になってほしいと頼まれた時、彼の世話をする事が彼らへの恩返しになれば私の人生はそれだけでも価値のあるものになるのでは。私が生き殘った理由がそこにあるんじゃないかとじて承諾した。

『あなたがエミリー?』

『そうです。あなたのじじょです』

『やだ』 

『えっ……!』

『やーだよっ!エミリーは私のお友達になるんだーっ!あっ妹でもいいよーっ?』

『じ、じじょだもん……ですっ!』

だというのにアリシアはちっとも私の事を侍扱いしてくれず、妹ができた、友達ができたとはしゃいでいた。

ユルト兄さんも似たようなものだし、お母様とお父様もパパ、ママとよべと毎日うるさい。

それから2年は私も頑張ってはみたけれど、その頑張りも虛しく私の侍という扱いは完全に形だけになってしまい今では完全に次り上がってしまった。

それでも正式な場での扱いや、の回りのお世話は斷固としてやり通すと誓ったので今でもそこだけは譲っていない。

「ねぇ、アリシア」

「んーっなぁに?」

「貴にとって私はなに?」

「うーん……妹でー、親友でー、あっ!あと運命共同かなぁっ!」

もう、いつも侍だと言っているのに全然聞きやしないんだから……

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