《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》俺のスキル
この世界には生まれると一人につき一つのスキルが與えられる。
戦士系だと【剣】スキルや【槍】スキルなんかがあったり。
日常系だと【農耕】スキルや【料理】スキルなど、人は何かしらスキルを持つ。しかしその中に役に立たないスキルがある。
それは【加速】スキル。
【剣】スキルは剣の扱いが上手くなる。【農耕】スキルは作が育ちやすくなる。しかし【加速】スキルはただ速くなるだけ。
こんなスキルは役に立たない。ただ速く走りたいのなら馬にでも乗ればいい。
スキルで職業を選択する世界でこのスキルで活躍できる職業はない。
だから【加速】スキルは使えないクズスキルと言われる。
こんなスキルで何ができる。こんな役立たず。
そう思っていた。
あの日、【加速】スキルの可能を見つけるまでは。
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重い。何かが俺の上にあるようで、その重さで目をし開ける。
「兄さん。起きてください兄さん」
そう言って來たのは俺の妹のティア。肩まであるさらさらの綺麗な金髪が眩しく、大きな瞳はくりっとしていて可らしい。歳は9歳で可さの中にもちゃんとしさもあり、びいきを除いても文句なしのといえるだろう。
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そして俺はティアの兄のイクス。ティアと同じ金髪で顔もまぁまぁといったところ。よくもまぁこんな兄にこんな可い妹がいるよなと不思議に思う。
「ん、..........おはよティア。今日も元気だな。あと重い」
「の子に対して重いとはなんですか!そんなこという兄さんには村中に『兄さんは妹と一緒じゃないと寢られない』と言いふらしてやります!」」
「悪かっただからそれだけはやめてくれ......!」
そんな事を言いふらされては村で生活できない。第一たまに一緒に寢るのだってティアの方からってくるのに。
「ほら!早くおきてください!今日は大切な『選定』の日です!」
「て、やばい!そうだった!」
ティアに言われてすぐに俺はベットから飛び起き服を著替える。その際ティアが熱にうなされたような目でこちらを見ていたが今はそれどころではない。
選定とは15歳を迎えた子供が、そのに宿る一つのスキルに目覚めるための儀式だ。
これによって俺の人生がほぼほぼ決まると言っていい。
男なら騎士には憧れ、やはり【剣】なんかのスキルがしい。
そんなスキルでなくとも、俺は料理も好きなので【料理】スキルや、【栽培】スキルなんかの日常で役に立つスキルでもいい。
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とにかくそんなスキルに心が躍る。一俺はどんなスキルがあるんだろうか。
「よし!著替え終了!悪いティア、メシを食ってる時間がなさそうだ。帰ったらちゃんと食べるよ!」
「あ!兄さん!また窓から!!」
そう言い殘して窓枠を蹴り、二階まで屆く大きな木に飛び乗り、そのままスルスルーっと著地。
全速力で村の教會に急ぐ。
教會続く道を走ってると、隣の家のネスばぁちゃんが畑から聲をかけてきた。
「おや、イクス。もう他の子らは集まってるよ?」
「マジ!?やばい!いそがねぇと!!またね!ネスばぁちゃん!」
「あらあら、ふふふっ、気をつけるんだよ!スキル、あとで知らせにおいで!」
「わかった!」
ネスばぁちゃんに元気よく返事して俺はすぐに走り出す。
息が荒くなってきたが、これからの事を思うと苦しいどころか爽快が込み上げてくる。
(ようやく待ちんだ選定の日だ!これで俺も立派な大人になれる!父さんみたいな立派な騎士に!)
期待にを任せひたすらに走る。するとようやく教會が見えてきた。
教會にはもう二十四人の子供が集まってる。
俺は急いで教會に走り込む。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ........な、なんとか、間に合った......」
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「よう、イクス隨分と遅かったな?またティアちゃんに起こされたんだろ?」
俺が荒い呼吸を繰り返してると、馴染の男コーサがやってきた。そしてまたとか言うな。
「それはそうとよイクス!ようやくこの時がきたな!」
「ああ!どんなスキルがあるかな?」
「俺は戦闘系スキルがしいな。イクスもだろ?」
「父さんみたいに【剣】スキルか、戦闘全般で便利な【】スキルもいいな」
「まぁ、イクスは多分【剣】スキルだろうなぁ〜。お前の父さんメチャメチャ強いしな」
父さんはこの村の自衛団の一人で、村一番の剣士。昔は王都の騎士団にいたという話だ。
スキルは個人によって様々だが、親のスキルをけ継ぐことも多くある。その辺は研究されてるらしいが今のところよくわかっていないらしい。
まぁそんな分からないことより今は目の前の選定が重要だ。この選定で俺の人生が決まるのだから!
「おはようみんな。よし、全員揃っとるな、それじゃあ一人づつってきてくれ」
神父のカーフおじいちゃんの號令で一人づつ中にって行く。俺は遅れたので最後らしい。
そして一人目の男子がって行って、5分くらいしたら喜びの聲を上げながら出てきた。自分がしかったスキルだったみたいで、その場ですごくはしゃいでいる。
「すげー喜んでるな。まぁ當然っちゃ當然か」
「くそーっ、遅刻なんかするんじゃなかった。俺も早く知りたい!」
「ははーん!殘念だったなイクス。俺は5番だ」
「くそぉおおーーー!!」
1人5分だとして、24人いるから合計で2時間待たないといけない。くそうっ、周りでみんなのスキルを見ながら俺は2時間も待たないといけないのかよ。コーサ許すまじ。
そうこうしているうちに続々と全員のスキルがわかってくる。大は喜んでいるが、中にはあんまり嬉しそうじゃない奴もいる。しかったスキルじゃなかったみたいだが、それでも初めての自分のスキルに素直に喜んでいる。
「よっし!それじゃあ俺の番か!行ってくるぜイクス!」
「おう!行ってこーい!」
コーサの番がやってきて、意気揚々とコーサが教會にって行く。
俺はそんな後ろ姿を眺めながら、2時間もあるので取り敢えず木の草原に寢転ぶ。
風が心地よくて、寢坊して睡眠たっぷりなはずなのに眠気が襲ってくる。
「ふぁ〜.........暇だな......」
うーん、コーサがいなくて暇だ。5分くらいで戻ってくるけどでも暇だ。
なんて考えていると、頭上から聞き慣れた聲が。
「寢坊したのにまだ寢るの?」
「なんだフィアか」
「なんだとは何よ失禮な」
そう言って上を見ると、黃金の髪のと目が合う。
彼の名前はフィア。俺の馴染で、稲穂のように綺麗な黃金の髪に、エメラルドグリーンのパッチリとした目。型も出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる正直言って將來人になること間違いなしのだ。
そんなフィアはその整って顔を寄せて綺麗なエメラルドグリーンの瞳で俺の瞳を覗き込む。俺はしドキッとする。
「もう、暇だからお話しようとしたのに。寢ちゃダメ!」
「うるせ〜俺も暇だから寢るんだ〜.......おやすみ」
「あっ!もう!」
フィアが何か言ってくるが無視無視。今は睡眠こそ至高。
と、目を閉じるとフィアが何やらごそごそしている。
一何をやってるんだと思ってうっすらと目を開ける。
そして飛び込んできたのはーーーフィアの太もも。
「っ!!??」
スラリとした、しかし程よくつきの良い太ももに思わず目を奪われる。そしてその上の絶対領域は微妙にスカートが邪魔して覗くことのできない。
「ちょっ!おま、何やってんだ!?」
「ふ、ふふふっ、や、やーいイクスのへんたーい。そ、そんなに気になる?」
“見えそうで見えない”という狀態を作り出したフィアはそう得意げに挑発してくる。けどその顔は恥ずかしいのか赤くなっている。恥ずかしいのならやらなければいい。
「お前他の奴が見てたらどうする気だ!?」
「ちゃんとイクスにしか見えないようにしてるもん」
他の奴らは反対側の草原で喋ってるし確かにこれなら見えない。
「だけどな、もしなにかあったらーーー」
と言葉を続けようとしたところで、ブワッと風が頬をで、フィアのスカートを捲り上げた。
「ーーーーーッ!!」
突如のスカート捲りにボッと顔を赤くするフィア。しかし俺はその顔を見ることはなく、自然とそのスカートの中に視線がいく。
そして目に飛び込んできたのは、真っ白な逆三角形と、ーーーしなやかな右足。
ゴスッ
「ぎいやぁあああああああああああああああーーーーーっ!!!!」
純白のパンツが見えた瞬間、顔面にとんでもない衝撃が走る!
「イクスの変態!!!」
「理不盡っ!!どう見ても不可抗力だろ!!」
「う〜〜〜っ!!うるさい!イクスが私の下著を覗いた!!」
「誤解だっ、『グボッ』ぬぉおおおおおおおおおおおお!!!」
顔面がっ!ひび割れるような衝撃がっ!!
悶絶する俺にフィアは容赦なく足を落としてくる。こいつ人か?
俺の悲鳴と斷末魔に他の連中が何事かとこちらを向く。しかし俺はそんなことを気にしている余裕はない。なぜなら現在進行形で命の危機に瀕しているからだ!!
その後フィアも落ち著いたのか、衝撃が襲ってこなくなる。俺は目の前が明點する世界でどうにか景を見ると、フィアが橫に座っていた。
「..........おい、なにしてくれやがる」
「ご、ごめんなさい。イクスに見られたのが恥ずかしくて、つい」
つい、で俺は殺されかけたらしい。世の中もうし命を大切にすべきだと思う。
「はぁ、とにかく今後こういうことするなよ?俺じゃなかったら死んでたぞ」
「.........イクス以外にこんなことしないもん.......」
「ん?なんだって?」
「うん!ごめんなさい!二度とこんな恥ずかし真似しない!」
「お、おう」
なんだか分からないが反省してくれたならまぁいいだろう。にしても下著をチラリと見ただけでこの仕打ちとは.......
『いよっしゃあああああああーーーーーー!!』
おっ、どうやらコーサが終わったらしい。教會の中からすげー聲が響いてくる。
そしてバタンッ!と教會のドアが開きコーサが俺達の方に向かって一直線に走ってくる。
「やったぜ!イクス、フィア!!戦闘系スキルだった!」
「おぉ!!やったじゃん!」
「おめでとうコーサ!」
「それでなんだったんだ?」
「おう!今見せてやる!」
そうしてコーサがある言葉と共に右手をバッと払う。
「ーー“ステータス”!」
その瞬間コーサの目の前に半明の板が現れる。
ステータス、これはその人の能力を數値化したもので、『選定の儀』を終えることによって開くことができる。
コーサはそのステータスが書かれた板、ステータスプレートを俺達に向けて弾くと、俺達の前にステータスプレートが移してくる。
そこにはこう書いていた。
*
名前:コーサ・マルフェス
年齢:15
別:男
筋力:60
力:50
俊敏:50
耐:50
魔力:50
先手スキル
【拳闘A】
後天スキル
なし
*
これがステータス。ステータスは筋力・力・俊敏・耐・魔力の5つが表示され、能力値以外にも名前や年齢などの個人報も表示される。
もっともステータスは自分しか見えず、相手に見せようと思えば思った相手にだけ見えるように可視化できる。
そして能力値以外では二つ。
それはスキル。
スキルには二つ種類があり、一つは先手スキル。もう一つは後天スキルだ。
後天スキルは後から修練することで習得するスキルで、スキルにはH〜Sまでのランクがあり、後天スキルはどれだけ経験値を積み重ねてもCランクまでしか上がらない。
逆に先手スキルは、生まれた時點で持ったスキルで、このスキルで人生の道が決まるよ言っても良い。
なぜなら先手スキルは最初からBランク、稀にAランク、そして本當に希なSランクと努力では屆かない領域にあるからだ。
BランクとCランクの壁は大きく、同じスキルでも先手と後天では全く別次元のもの。
だから先手スキルで【剣】スキルの人は騎士に、【料理】スキルの人は料理人にと言った合に、スキルでその人の人生がほぼほぼ確定するのだ。
そしてコーサはAランク、しかも【拳闘】という戦闘系スキルの中でも強いスキルだった。
「凄いじゃないか!これなら騎士団団も夢じゃないぞ!」
「やったねコーサ!」
「へへっ!まぁな!」
予想以上の結果にコーサは大満足のようで、何度もステータスを見ている。
今のところランクAはコーサだけだ。くそぅ、ランクAとか羨ましい........。
「早く二人のステータスも見せてくれよ!」
「待ってろよ、必ずランクA以上の戦闘系スキルを引き當ててやる......!!」
「私は【栽培】スキルがしいなぁ〜。綺麗なお花とか味しい野菜を育てたい」
フィアが【栽培】スキルか........。案外似合ってるかも。
そんなこんなで三人でし駄弁っている。するとししてからかフィアの番がやってきた。
「じゃあ行ってくるね!」
「「行ってらっしゃい!」」
俺とコーサで送り出してやるとフィアが教會にって行った。
ーー5分後、俺とコーサが腕相撲しているとフィアが帰ってきた。その顔はあまり浮かない表だ。
「.........【栽培】スキルじゃなかった」
「あぁ、まぁそういうこともあるさ。それに【栽培】スキルはそこまで習得に苦労するスキルでもないから後天スキルで手にれればいいじゃないか。それで、先手スキルは何だったんだ?」
「ステータス」
そうしてフィアが見せてきたのは、
*
名前:フィア・マグナリア
年齢:15
別:
筋力:40
力:40
俊敏:40
耐:50
魔力:100
先手スキル
【水魔法S】
後天スキル
なし
*
「「ら、ランクSッ!?!?」」
俺とコーサは同時にんだ。
「お、おまっ、何でこれで落ち込んでるんだ!?ランクSだぞ!?」
「だって、栽培スキルじゃないし」
「だってじゃないだろ!?ランクSの魔法系スキルとか宮廷魔法技師団や教會の神にだってなれるぞ!?」
「私はゆっくりここで野菜とか育てていたい。私暴力苦手だし」
さっき俺の命を斷とうとしていたのは誰だっただろうか?
でもそれを指摘したらまたグーが飛んできそうなので心にしまっておこう。
おっと、そうこうしていたら周りのみんながフィアのスキルを聞いて集まってきた。
ランクSは千人に一人くらいの確率で、この村でランクSのスキル持ちは神父のカーフおじさんと父さんしかいない。なのでみんな相當羨ましそうにしている。
けど本人は不服そうだがな。
「ほらほら散れ散れ。フィアが鬱陶しそうにしてるだろうが」
「へいへーい。みんな戻ろうぜー旦那が切れるぞー」
「誰が旦那か!!」
よくフィアと遊ぶからかよくこうやって茶化される。
「まったく、いい加減にしろっての。俺がフィアと結婚とかありえないだろ。な?フィア」
「.............そうね!わ、た、し、となんかありえないわよね!ふんっ」
そう言って怒って頬を膨らませてそっぽを向くフィア。フィアと俺じゃ俺がフィアの容姿に釣り合わないだろって意味だったのに、なぜ俺が怒られる.......
にしてもコーサは戦闘系のランクAでフィアは魔法系のランクSか、くぅううう!羨ましいっ!絶対に俺もランクSを當ててやる!!
そう、その時の俺はそう思っていた。
その後に起こることも知らずに。
「それじゃあ最後にイクス。お前で最後じゃ」
「よっし!」
長いこと待ってようやくやってきた俺の番。
自然と高揚する心臓の音と共に教會の中にる。
「そこの魔法陣にってし待て」
杏壇の前に來ると、そこにステンドガラスを抜けた鮮やかなが照らす魔法陣が描かれている。
いよいよだ。いよいよ俺のスキルがわかる!
俺は魔法陣に足を踏みれ真ん中に立つ。
「それじゃ始めるぞ」
カーフおじさんが大きな本を持ってページを開き、いくつかの言葉ーー魔法を使うためのスペルーーを唱えると、途端に魔法陣がしい白銀にりだす。
すると途端に俺の中に白銀のが流れ込み、中に力が湧いてくる。
そしてそれはあっという間に終わり、気がつけば5分経っていた。
「これで終了じゃ。さぁ、イクスよ。心の中に念じ、唱えるのじゃ」
「わかったよ、カーフおじさん」
目を閉じてカーフおじさんに言われたように心の側に意識を向けると、右手に魔力の流れがじ取れる。
さぁ、行くぞ
「ーー“ステータス”!!」
右手を振り、現れたステータスプレートを覗く。
そして........
*
名前:イクス・アーラス
年齢:15
別:男
筋力:50
力:50
俊敏:60
耐:50
魔力:60
先手スキル
【加速EX】
後天スキル
なし
*
「...............................」
思わずフリーズする俺。
たっぷり待ってようやく、
「な、なんじゃこりゃああああああああああああああああーーーーーー!?!?!?」
そうんだ。
その日俺は先手スキルでクズスキルと呼ばれる【加速】スキルを手にれたのだ。
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