《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》お泊り
暗い意識の中、意識がしづつ浮上していくのをじる。意識が浮上するに連れて、の上の暖かい重みが気になり、俺は目を開けた。
目を開けると、よく見知った天井があった。どうやらここは俺の部屋のようだ。
えっと俺は......そうだ、ゴーデンの決闘で俺は攻撃を喰らって気絶したんだった。
「負けたのか...........」
そう自覚すると、俺は悔しくて歯を食い縛る。
圧倒的な差。どれだけ足掻こうが屆かない才能スキルを見せつけられた。
俺は、負けたのだ。
これが今までの決闘ならいい。負けたのならまた練習してもう一度挑めばいいのだから。けどスキルを得てからはそうではない。
スキルを得てからははっきりとした差が生まれるからだ。
けどスキルでの決闘でなら、まだ良かったかもしれない。
俺のスキルは【加速】。あいつの【剣】、とは全く土俵が違う。俺はそもそも同じ土俵に立つことすらできないのだ。
「.......どうして俺は、こんなスキルなんだろうな.......」
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ポツリと溢れる。悔しい気持ちが押し寄せてくるが、そこはグッと抑えて、先程から気になっていたの上の溫もりを確かめるべく、視線をし下に落とす。
そしてドキッとする。そこにはフィアが可い寢顔で俺のを枕にして眠っていたからだ。
シミひとつない白磁のような白いに、長いまつ。稲穂のように鮮やかな黃金の髪はサラッと顔を流れる。
そんなフィアが俺のの上で無防備な寢顔を曬している。その事実に俺は心臓がうるさいほど鼓しているのをじる。というかなんんでこいつがここにいるんだ?
顔だけかして辺りを見回すと、どうやら今は夜らしく、窓から見える空はし薄暗い。
取り敢えずこのままにしておくのは心臓に良くないのでフィアを起こすとしよう。
「フィア。起きてくれフィア」
「.......うにゅ........んっ........イクス.......?」
うにゅとかいう可い寢言で薄っすらとフィアの目が開く。まだ寢ぼけているのか、焦點の合わない瞳でこちらを見ている。
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「イクス!?」
「ああ。おはよう。いや、今はこんばんわか?」
「よかったイクス!」
俺の聲で意識がはっきりしたフィアが、俺に抱きついてきた。ってまずい。非常にまずい。フィアのらかい二つのが薄著を通しでダイレクトに伝わってくる。
「ふぃ、フィア!取り敢えず離れてくれ。々と當たってるから」
「〜〜!!ご、ご、ごめん!」
ふぅ、危なかった。もうし遅かったら俺の理が飛んでたかもしれないぞ。........にしても、あのは惜しかった......。
「フィアがここまで運んでくれたのか?」
「うん。あの後ゴーデンが逃げ出して、コーサと二人でイクスの家まで運んできたの。コーサは家の手伝いがあるから帰ったけど」
「そうか......。その、ごめんなフィア。俺のせいで嫌な思いさせて。おまけにあんなカッコ悪い姿曬して」
フィアに嫌な思いをさせるのが嫌で挑んだ試合なのに、俺はボロボロに負けた。正直言ってゴーデンに負けたことより、フィアに無様な姿を見せたことの方が悔しい。
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するとフィアがを乗り出してきて、
「そんなことない!!」
そう言って俺の両頬をバチンッ!と両手で挾むと、グッと顔を引き寄せてくる。
「イクスは、カッコよかった!本當なら勝負にならないような戦いでも、逃げずに最後まで戦って!ゴーデンから私を庇って前に立った時なんか嬉しかった。だから......イクスはカッコよかったの!」
まるで子供が意地を張るみたいに頬を膨らませフィアが言う。
目があったその綺麗な瞳からは微塵も噓はじられず、俺はどこかのがし軽くなった気がした。
「ありがとフィア」
「どういたしまして。カッコ悪いなんて自分を言っちゃダメだよ?」
「わかったよ」
「うん!それでこそイクスね」
ふにゃりと笑った表は可らしく、俺は顔がし赤くなるのをじた。てか、いつまでこの狀態なんだろうか。フィアにじとられるくらい顔が熱くなりそうだ。
とそんな時、部屋の扉から聲がした。
「そろそろいいかお二人さん?惚気すぎて、おじさんいい加減聞くのがしんどいんだが」
「うおっ!?父さん!?」
「おじさん!?いつからそこに!?」
「いつからって、フィアちゃんがイクスの頬をバシンッ!ってして見つめ合ったところからかな?」
「〜〜!!」
父さんの言葉で改で狀況を理解したフィアが真っ赤になってサッと離れる。
そうして部屋にってきたのは一人の大男。
ドッシリとした大木のような格に、右頬にある深い切り傷が特徴的。けどそのはだらし無く著こなしたシャツでを包み、髪は適當にナイフで切っただけで、顎には無償ヒゲがびっぱなし。
一見だらしないただの人間だが、その瞳は力強く鋭い。
これが俺の父親、ヴィラン・アーラス。村一番のSランク【剣】スキルの持ち主。
「かぁ〜っ、若いっていいねぇ〜」
「おじさん!べ、別にそう言うのじゃないから!?私はただイクスが気絶して心配なだけで!」
「心配いらんいらん。イクスはただフィアちゃんにカッコいいところ見せようとしただけだろ?良かったなイクス?フィアちゃんみたいなにカッコいいって言ってもらえて」
そう言って父さんが俺とフィアを互に見てニヤニヤしながら、俺に話しかけてくる。うぜぇ。
「あなた〜?イクスは起きたかしら?」
すると今度は穏やかなのんびりとした聲が聞こえて、一人のがってきた。
ふわっとした金髪に穏やかな優しい瞳のは俺の母親、フィオーレ・アーラス。昔は父さんとパーティーを組んでて、ランクAの【風魔法】スキルの使い手として名を馳せていたらしい。
すると母さんは俺と顔が真っ赤になってるフィアを見ると、ぽんっと手を打って、
「もうっ、ダメじゃないあなた。二人だけの時間を邪魔して。ごめんねぇフィアちゃん。この人は私が連れて行くからごゆっくり〜」
「「だからちがぁああああああああうっ!!!」」
母さんが父さんの腕を抱いて連れ去ろうとするのを俺とフィアは全力で阻止する。母さんは見た目通り天然で、夫婦揃ってこんなボケをかましてくるもんだから疲れる。
「兄さん!起きたんですね!」
て、今度はティアか。ティアは俺を見るとダッシュして抱きついてきた。
「よかった。心配したんですよ?コーサくんが兄さんを背負って來た時は心臓止まるかと思いました!」
目に涙を浮かべ、ぷくぅ!と頬っぺたを膨らませて見上げてくるティア。普段はしっかり者のティアがこうして抱きついてくるのは珍しい。よっぽど心配させたんだろうな。
「ごめんなティア。心配させて」
「本當です!しっかりと反省してください!」
「悪かった。悪かったって」
ポカポカと痛くもない攻撃を続けてくるティアは可いんだが、いかんせが痛い。あれかな、無茶な加速したせい?
「ほらほら。そのくらいにして、ご飯を食べましょ。フィアちゃんも食べて行くわよね?お母さんの方には言っておいたから。今日はうちに泊まるって」
「あ、ありがとうございます。.......って、え!?泊まる!?」
「母さん!?何言ってるの!?」
「え?何って、昔はよく泊まって一緒にお風呂にもってたじゃない」
いつの話をしているんだ。確かにフィアはよく泊まっていたがそれは昔の話。今はもう俺たちもいい年頃だし、そういう機會は減ったけど........。
「ははぁ〜ん。さてはイクス。張してるのね?そうねー、フィアちゃんこんなに人になったし。イクスも放っておけないものね?」
「ち、違う!!別に俺はそういうつもりで言ったんじゃなくて!!」
なんてことを言うんだこの母親は!?ほら!フィアの顔も真っ赤じゃないか!恥ずかしいのは心のを暴された俺のほうだよ!!
「はいはい。それはそうといい加減ご飯にしましょ」
「そうだな。でも父さんはフィオーレも食べたいな〜」
「もう、あなたったら。子供たちが見てるんですよ?........私を食べるのはまた後で」
そう言って父さんと母さんがイチャイチャしながら先に下に行く。おい両親よ、そう言うことは見えないところでやってくれ。幸いティアとフィアには聞こえてなかったみたいだが、息子には聞こえてるぞ。
..........今日は早く寢よう。
「ほら二人ともご飯にしよう。とゆうかティアいい加減離れてくれ。立ち上がれない」
「嫌です。どうしてもと言うのなら私を倒してからにしてください!」
そう言ってガシッと両手で俺のに抱きつく。こいつ意地でも退かないきか。
「なに娘をしければ私を倒していけって言う父親みたいなこと言ってるんだ。可い妹に暴力なんか振るうわけないだろ。ほら、これで我慢してくれ」
可い妹を毆れるわけもなく、ティアのその綺麗な髪をでてやると、し恥ずかしかったのか頬を赤らめてプイッとそっぽを向いてしまった。でも渋々と言ったじで手を放してくれる。
その間なぜかフィアがこっちを恨めしそうに見ていたんだがなぜだろう?
「よし、行こう。ほらフィアも。母さんの飯食べるの久しぶりだろ?」
「うん、おばさんの作るご飯味しいよね。なにかなー?」
3人で部屋を出て萬年イチャイチャ夫婦の待つリビングへ向かう。
リビングにはティアの好なグムクー鳥の唐揚げが並んでいた。
ちなみにこのグムクー鳥、こいつは素速い速度で相手の死角をつきその兇悪な爪で相手を切り裂く兇暴な危険指定の鳥で、普通は出會ったら死を覚悟しろって言われるほどなんだが.....また父さん森で暴れてたな。
あ、味自はとても味しく、高級食材でもある。
父さんと母さんが反対側の席で、両隣にフィアとティアが座る。なぜか二人とも俺が真ん中であることが決定していた。
「よし、それじゃあ。地の神ドーラスに謝を」
『謝を』
みんなで右手をに當てて目を瞑る。地を司る神ドーラスに作をいただく謝を示すのだ。
うん。うまい。流石高級食材ということもあるが、下ごしらえがいいのか表面がパリッとし、中からがこれでもかというほど溢れてくる。
今度作り方教えてもらおう。
「んん〜っ!味しい!おばさん!今度この作り方教えて下さい!」
「いいわよ。イクスの胃袋摑むためでしょ?しっかり教えてあげる」
「むぐっ!?んんっぅ!......ち、違いますっ!!」
フィアがに唐揚げを詰まらせてむせてしまう。俺も思わずむせてしまった。
「むっ........お母さん!私も教えて!」
「あらあらティアまで。イクスも罪ねぇ」
「イクス、フィアちゃんはともかくティアは嫁にはやらんぞ」
「俺は、あんたの、息子だっ!!」
頬に手を當ててニコニコしている母さんと、その橫で鬼の形相で息子を睨んでくる父さん。しかも俺の両隣ではなぜかフィアとティアが火花を散らしているし。なんだこの空間。
「........うん、うまい」
唐揚げ味しい。
夕飯を終えて風呂もった後部屋に戻って就寢。........のはずなんだが、
「.........母さん。これはいったいどういうことだ.......!」
俺の部屋に戻って來てみれば、ベットの上に仲良く二つ••枕があった。
「それがね。フィアちゃんが來たの久しぶりでしょ?フィアちゃんの布団洗ってなかったから、枕だけでも取り敢えずと思って」
「だからってなんで俺のベットなんだよ!ティアのベットでもいいだろ!?」
「ティアのベットに二人寢るには小さいの。イクスのはこの間大きいのにしたばかりで二人でも十分寢られるでしょ?」
そう言って年甲斐もなく「えへっ」とウィンクを決める母さん。そんな母さんとは対照的にフィアが顔を真っ赤にしてもじもじしている。いや、一番恥ずかしいのは俺だ。
フィア同年代のの子の割には出るところは出て引っ込むところは引っ込んでるし、風呂上がりでなんかすごくいい匂いするし、おまけに著てる寢巻きは薄いし。
なんて考えていると、部屋にティアが駆け込んでくる。そしてベットの枕を見てティアが言う。
「フィアさんずるいです!兄さんと一緒に寢るなんて!わ、私だって最近一緒に寢ていないのに!」
「はぁ〜いティア。邪魔しちゃダメよ?ティアはお母さんと寢ましょうね?《風よ。其の役は縄》」
母さんが人差し指と中指を揃えてティアに向けて素早くスペルを唱えると、ティアの周りに風が纏わりつきティアを拘束して浮かせる。
「いーやー!兄さん!助けてー!」
「それじゃあ二人ともお休みなさい」
「え!?あっ!ちょっ.......!」
ティアを連行していった母さんを引き止めようとしたがバタンと扉を閉じられた。
「「............」」
き、気まずい........。
「............ねぇイクス」
「な、なんだ」
「お互い背中合わせで離れて寢ない?」
フィアも恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながらもどうにか言葉を紡いでいく。
「そ、そうだな。じゃ、じゃあ先にってくれ」
「うん.....」
先にフィアがベットにって壁際に寄る。
「.......いいよ」
「あ、あぁ......」
俺は張しながらも部屋の明かりを消してベットにる。うわぁ.....なんかすげぇいい匂いがする。自分のベットじゃないみたいだ。
「「............」」
き、気まずい.....。こういう時は何か別のことを考えて気を紛らわすしかない。
と、そこで俺は気が付いた。ティアのベットじゃ二人で寢るのは狹いからって理由だったが、そのティアは母さんに連れていかれたし、よくよく考えればフィアがここで寢る必要なくない?
はめられた!!くっ、気が付かなかった俺も悪いがだってしょうがないじゃん?突然の子と一緒に寢るってなったら正常な判斷なんて無理だって。
ここはいまからでもティアのベットに行ってもらうか?と俺が考えていると、
「......ねぇイクス?もう寢た?」
「......い、いやまだ」
「私も。イクスと一緒に寢るなんて久しぶりだからかな?目が冴えちゃってるの」
「そ、そうか」
ぬぉおおおおおお!!そんなこと言われたら余計気にしちゃうし今更ティアのベットに移ってとは言えないじゃないか!
俺の心を知ってか知らずか、フィアは話しかけてくる。
「イクス、ちょっとお話しない?子供頃のこと。そしたら眠くなるかも」
「そうだな。よし、話ししよう。話」
「.......なんでこっち向かない」
背中からジトっとした聲が聞こえる。仕方なく諦めて俺は後ろを向く。
そこには月明かりを背にこっちを見てくるフィアがいた。月明りで綺麗な黃金の髪が照らされ、お互いの距離は本當に近くて、目の前にフィアの整った顔がある。
俺は顔が赤くなるのをじる。でもそれはフィアも同じなようで、白のようなに朱がさしている。
「なんかこうしてると懐かしいね」
「そうだな。あの頃のフィア雷が怖くって泊りのときなんかよくベットの中で泣いてたもんな」
「う、うるさい!忘れてよ!もうっ!」
「ハハハ、いやだねー」
攻撃のつもりなのかフィアがポカポカとをたたいてくる。まったく痛くもない。
しばらくフィアの好きなようにさせていると、攻撃になっていないと気が付いたか疲れたか、フィアがおとなしくなった。ついその髪をなでたくなり手をばすと、一瞬ビクッと震えたがなでさせてくれた。
「昔もこうやってフィアが泣いてたらでてやったっけ」
「........うるさい」
そうは言うが語尾に力がない。俺はフィアの抗議を気にせずそのまま川のようにこぼれる髪をなで続ける。
ずーっとそうしてるから眠気がしてきた。今日はいろいろと疲れたな。フィアも同じようで瞼がし落ちてくる。
半分夢の中にるというところで、フィアがかすかに口を開いた。
「......イクスは、かっこいいから.....ずっと、ずっと......だから、私は.......」
そのあとの言葉は小さすぎて聞こえなかったし、俺もよく覚えていない。
だけど、俺はその時思った。
俺はかっこよくありたい。
自分にも、父さんにも、母さんにも、ティアにも、コーサにも、誰にも誇れるくらいに。
そしてなにより、---フィアに。
誇れる俺になりたいと。
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