《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》ランクSの向こう側

ーーーお前を、殺す。

そう父さんに言われて、俺は激しく揺した。そしてその言葉が偽りでないことは父さんの放つ殺気でわかる。

ナイフのように鋭く研ぎ澄まされた殺気は、いつでも俺を殺しにかかるだろう。あの一振りで俺は負ける。いや、殺される。

そう自覚すると足が震える。膝が笑い、呼吸がうまくできなくて苦しい。

「どうしたイクス。死にたいのか?」

「くっ.....!!」

倒さなきゃ殺される。いやそうじゃない、

.......殺さなきゃ殺される。殺す気でなければ相手にすらならない。

ーーー俺は今、『死』を相手している。

「もう一度言う。剣を取れイクス。そして、俺を殺しにこい。でなきゃ、ーーー死ぬぞ」

「ーーッ!」

霞のように摑めないきで、いつのまにか父さんが目の前にいた。その目には殺気が宿り、その瞳は俺の死を寫している。

そしてその手には、俺を死に導く冷徹な一刀。

「うぁああああああああああああああーーーーーーっ!!!!」

自分の死を前に恐怖に駆られた俺は、剣を取り、予想される軌道上に構えて、け止める。

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次の瞬間、ズバァンッ!!と破裂する音と共に、俺は後ろに吹き飛んだ。

「かは.....っ!!」

木にぶつかって肺の空気が絞り出される。剣でけたが、父さんの一撃を俺はけ止めきれなかったのだ。

幸い剣は折れていない。木剣でなければ剣ごと俺も折れていただろう。

「立てイクス。相手に隙を見せるな。倒れてもすぐに立ち上がれ」

「っ.......!いわれなくとも.......!!」

剣を杖にして立ち上がると、の節々が痛みを訴える。今の一撃で俺の中では決まっていた。

.........殺らなきゃ殺られる。だったら、

殺らなければならないのだと。

「っああああああああああああああ!!!!!」

空気を吸って吐き出せる限界まで聲を吐き出した。決めた覚悟をやめないために。決めた覚悟から逃げないために。

「行くぞ父さん!!」

「はっ、!しはいい面構えになったじゃねぇか!來いイクス!」

剣を水平に刺突の構えを取る。勢いに乗せて一気にたたく。

「【加速】!!」

ぐんっと後押しされる覚の後、俺は一瞬でトップスピードに近い速度で父さんに薄する。

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そしてそのまま握った剣を突き出そうとして、........怖くなった。

「っ.....!」

ギラリと輝く冷たいが、木剣ではない本本當に命を刈る兇だと自覚したら、思わず剣先が狂った。

腹をくくっても、心の底で迷いが生じたんだ。

そしてその迷いが父さんに絶好の隙を見せた。

「ふっ!」

「ぐぉ!がはっ!!」

父さんは一歩引いて迷いのある俺の剣を避けると、そのまま無造作に剣を叩きつけて來た。無造作に振るった一撃も、俺には致命的。腹に喰らって無様に吹き飛ばされた。

「おいおいイクス。腹決まったんじゃねぇのか?さっきの威勢はどうしたよ?今更何を迷う。さっきの俺の一撃で理解したんじゃねぇのか。殺さなきゃ殺されるってな」

「う、......うるせぇ.....!」

「それとも何か?お前はそれで俺を傷つけるのが怖いのか?確かに本の冷たさを知ったら怖いだろう。だが、お前は一つ大きな間違いをしてる」

「間違い.....?」

すると父さんは言い切った。

「お前なんかが俺に傷つけられると思い上がってることだ。お前みたいな半端者の剣なんざ、俺には屆かない。一生な」

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「ーーーッ!!!!」

俺は歯をくいしばった。それは俺が心のどこかで思っていたことだから。それを読み取られ、悔しかった。でも父さんは気にせず続ける。

「いつまでもスキルなんかのことで悩んで自分の限界を勝手に決めつけ、覚悟もないまま剣を取り、剣を振るう。その剣には想いも、覚悟も、信念も何もない。ただ迷いを抱えて無機質に振るう。そんな空っぽで半端な剣なんざ、クソにも劣る」

吐き捨てるように父さんは俺の剣を暴いてく。

「お前は弱い。コーサやフィアちゃん、ゴーデン。ティアよりも。お前は心が弱いんだよ」

わかってる。そんなこと俺が一番わかってる。

「今のお前が俺に傷をれるなんざ絶対に無理なんだよ。無様に足掻いて、無様に飛ばされ、無様に挑もうとも、どれだけやっても不可能なんだよ」

そういうと父さんは俺に一歩づつ近づいて來る。俺は足腰に力をれ無理やり起き上がって、剣の構えを取る。

わかってる、俺が誰よりも弱いことを。スキルだけじゃなく、心が弱いことも。だけど....

「だったら........だったらどうしろって言うんだよ!!!!」

怒りに任せ俺は聲をあげ、構えを取った意味もなくただただ剣を振る。そんな攻撃父さんに當たるわけもなく、ひらりひらりと躱される。

「ずっと夢見て來たスキルは役立たずのクズスキル!!友達の誰よりも頑張って來た剣は簡単に追い抜かれた!!コーサとフィア、みんなは學校へ行ける!!でも俺は騎士學校にも魔法學校にも行けない!!」

振るう。とにかく剣を振るう。當たるわけないが、振るってこの想いを吐き出したい。

「みんなみんな!夢に向かって歩いて行ける!!でも!俺は何にもなれない!!夢も努力も、可能も!全部失った!!」

ありったけのびで想いを吐き出す。自然に涙が溢れて、気づけば俺は泣いていた。視界が歪んで見えなくなっても、剣を振るう。

振り返ればここ數日でなにもかも変わった。あの日、あの時、【加速】スキルを手にれてから。だったら、だったら......!

「こんなスキル、無ければよかった!!」

キンッ

俺が振った剣は父さんに弾かれ、宙を舞い離れたところに突き刺さった。

俺は弾かれた衝撃で後ろに倒れた。

「ぐっ.........!」

倒れた俺に父さんはなにも言うことなく、ただただ俺を見る。

それがさらに悔しい。手ぼ著いた地面を握り、土を摑むと父さんが目の前までやってきた。

「イクス、お前は先天スキルは絶対だと思ってるか?」

「.........?」

父さんの言っている意味がわからない。スキルは自分の才能であってそれは絶対だ。後天スキルが増えることはあるが、先天スキルが増えることやましてや変わることはない。

「當たり前だろ?一なに言ってんだよ?」

そういうと父さんがし考えるように顎に手を當てる。なにに悩んでいるんだろうと考えていたら、父さんが話しかけてきた。

「いいかイクス。これから言うことは真実だ。それを踏まえて俺の話を聞け」

「う、うん。わかった.......?」

なにを言うのか、戸った俺だが父さんは俺の前にどかっと座って俺の目を見て話し出した。

「まず最初にイクス、お前は先天スキルは絶対だと言ったな?まずそれは間違いだ。正確に言うなら、先天はランクのレベルアップできる」

「...............は?」

先天スキルは変わることはない。それはスキル自はもちろんのこと、スキルのランクもだ。

後天スキルは確かに長すればランクはCまで上がる。だが先天スキルはランクが上がることはないと言われている。だから先天スキルのランクは重要なのだ。

だが父さんはランクが上がると言った。それは常識ではありえない。

「ありえない、って顔してるな?だが事実だ。ランクは上がらないって言われてるが、実際は上がりにくいだけだ。そしてその証拠が俺だ」

「え?父さんが......?」

「ああそうだ」

父さんはランクSの【剣】スキルの持ち主だって言ってた。でもそれが噓なら父さんのスキルは一.........?

「イクス、お前には言わなくちゃならないな。この真実がお前の可能を導いてくれるかもしれない」

そう言って父さんは「ステータス」と言ってステータスプレートを呼び出すと、俺にも見えるように可視化して弾いてきた。

「なっ........!?」

そこに記されたステータスを見て俺は思わず聲を上げた。

名前:ヴィラン・アーラス

年齢:45

別:男

筋力:7800

力:7000

俊敏:6700

:7400

魔力:5000

先天スキル

【剣SS】

後天スキル

強化C】【覚強化C】【気配遮斷C】【怪力C】【地C】【理耐C】【魔法耐C】【異常狀態耐C】【天翔C】【威圧C】【C】【気配知C】【魔力知C】【先見C】【騎乗C】【栽培E】

能力値は全て4桁で、後天スキルも全て最高ランクのCランク。大人のステータスは見たことないから比較ができないけど、俺のステータスの差から見てもはっきりと規格外だというのはわかる。

だけど、そこじゃない。

「ランク、SS...........!?」

ランクはSが最高ランクのはず。

でも父さんのステータスにははっきりとそう書いてあった。

「これが俺のステータスだ。そしてお前の可能でもある」

そういうと父さんは弾いたステータスプレートを閉まって俺に説明してきた。

「いいかイクス。まず最初にステータスで見た通り、先天スキルはランクが上がる。俺のスキルは最初【剣S】だった。けどある戦いで俺は瀕死の重傷を負いながらも、どうにか勝利した。その時ランクが上がったんだ」

「でも、先天スキルのランクが上がるなんてきたことない」

「そりゃそうさ。先天スキルのランクを上げれるような奴がそもそもないからだ。先天スキルのランクを上げれることのできる者は限られる。強い想いや決死の戦い。そういう狀況で始めてランクを上げることができる。そしてランクSを越えた先のスキルは、はっきり言って次元が違う」

「次元が、違う.......?」

「ああ、見てろ」

そういうと父さんは立ち上がって木剣を構えた。

「通常の【剣】スキルは、頭の中で自然とどこにどう振るえばいいのかわかるようになって、例え適當に振るおうとしても、考えが最適解の軌道を導き、が最適の剣筋を自で斬る。そしてランクが上がるほどその度は増す。ここまではいいな?」

「うん。そこはなんとなくわかるけど、でもじゃあSSランクは?」

「それを今から見せてやる」

そこまで言ったら父さんは腰を落として、剣を橫に構える。だけど木までの距離が遠すぎる。

でも父さんはゆっくり目を閉じて一呼吸。

ーーーそして木が失くなった。

「...................................え?」

直後ズゥウウウウウウン!と元から伐採された木々が凄い音を立てて倒れた。しかも斬られたのは奧の數本だけで、どの木の前にあった木は一切の傷がない。

「い、いったいなにが........」

「これが俺の剣。俺の【剣】スキルは間合いを無視して、目標のみを斬ることのできる【概念スキル】だ」

「が、概念スキル?」

「そうだ」

父さんが剣を置いた。

そして気づいた。最初の攻撃もこのスキルの仕業だったんだ。

「概念スキルはその名の通り概念に干渉するスキルのことだ。全ての先天スキルはランクがSランクを超えると概念スキルになる。概念スキルは同じスキルでも個人によって能力が違う。俺の場合は『間合いを無視して目標のみを斬る』って言う“斬る”と言う概念を強化したものだ」

つまり父さんのスキルなら、たとえ建の壁を挾もうとも壁の向こうの敵を斬ることができるということだ。

「そんなの、反則じゃないか........!?」

「そうなんだよ。言ったろ?超越したスキルは次元が違うんだってな。だから概念スキルを得た者、俺たちは『超越者』って呼んでるが、そいつらは自分が概念スキル持っていることを隠す。強すぎる力は無用な爭いを生むからだ」

「でもそれならランクが上がるってとこを広めれば隠す必要はないんじゃない?」

「確かにそうだが、そもそもスキルを超越することのできるランクSスキル保有者は滅多にいない。ただでさえ珍しいランクSスキル保有者の中からさらに超越できる奴となるとほとんどいないんだよ」

確かに言われてみればそうだ。ランクSから、さらに超越できる人を探そうと思ったら、どれだけ大変なことか。

でも、一つ疑問がある。なんで父さんはそんな大事なことを俺に話したんだ?

「父さんはどうしてそのことを俺に話したの?」

「..........ほんとは勝手に話すのはいけないんだ。昔母さんと同僚の石頭神父に説教されてな...........。でも、これはお前に言わなければならないと思ってな」

「それって、俺の【加速EX】のこと?」

「ああ、そうだ」

そこで一旦間を置くと、父さんが俺の瞳を見つめてきた。その目はさっきまでの冷徹さはなく、でもどこまでも真剣な眼差しだ。

「俺の知り合いには超越者が何人かいる。けどそいつらのランクはSSランクだ。そして、伝説の大賢者カイン。大賢者カインは知ってるな?」

「え?もちろん知ってるけど。なんで英雄カインが出てくるの?」

大賢者カインは今も話で語り継がれる伝説の英雄だ。子供なら1度は聞かされるほど。

今から千年以上もの前に話しで、當時世界を滅ぼそうとしていた、魔王を邪神を倒し世界を救った剣と魔法を極めた大賢者だ。

そんな大賢者がなんで出てくるんだ?

「これは一部の者にしか語り継がれていないが、大賢者カインのスキルはSSSランクだったそうだ」

「ら、ランクSSSぅうううううー!?!?」

父さんのランクSSでこれだけの強さなのに、一もう一つランクが上がるとどうなると言うのか。

「でだ、イクス。お前は俺の知り合いのでも、大賢者カインのランクでもないランクEXだ。と言うことは..........そのランクは大賢者カイン以上のランクである可能がある」

「...........へ?」

一瞬何を言われているのかわからなかった。俺が、大賢者カイン以上のスキルランク?

「でもそれって」

「ああ」

俺の問いに父さんは頷いて、答えた。

「イクス。お前は、生まれつきの超越者である可能がある」

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