《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》王都グーレンバッハ
遠くからでも一目でわかる大きな城壁。綺麗な白亜の壁は一切の穢れがなく、眩しい太のを反している。
ファングランド王國首都グーレンバッハ。その城壁に俺たちはいる。
「す、すげぇ........」
これほど立派で大きな建は地球でも見たことがない。地球のように機械工學の進んでいないこの世界でこれほどのを作り上げようとなると相當なお金と労力が必要だ。
「イクス。俺たちすげぇところにきたな?」
「ああ。王都はまだ行った事なかったからこんなに大きいなんてびっくりだ」
「うわー、見て見て。あんなに人が並んでる」
フィアの指す方ではグーレンバッハに國する為の國審査の列に多くの人が並んでいる。
列は軽く1キロはありそうな勢いだ。
「一どれだけ待てばいいんだ」
今はちょうどお晝前。あの列だと夕方か、あるいは夜に國はできないらしいから明日の朝か。
「そこは大丈夫ですよ。大手商會には優先的に審査をける権利があるので、あのり口とは別の専用り口で國審査できますから」
そういうルーアテさんの手には一枚の巻。
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「じゃあ早めに著いたら宿を探さないとね!」
「試験は明後日だから々と見て回りたいな」
「それなら街の観スポットを紹介しますよ」
「え!本當ですか!」
初めての王都と言うこともあってフィアのテンションが高い。楽しそうに笑うフィアの橫顔は可い。
突然だがここ最近俺の心に変化があった。
それは阿澄優としての記憶が無事馴染み、イクス・アーラスの人格がすこし変わったからだ。幸いにも違和は全くじず、基本はイクスのままだ。
だけど所々阿澄優としての人格も表面化し、し落ち著きができた。まぁ大學生の優22歳と15歳のイクスでは考えがし大人になる。
そしてそのせいか、最近はフィアに対する気持ちを思春期真っ盛りの中學生みたいにムキになって否定することがない。
前はそういう風にハッキリと自分の気持ちに向き合った事はなかったが、今は
ーーー俺はフィアが好きなんだ、
とハッキリと認識している。
別段それで何か変わったという事は特にないのだが、一度そう認識してしまうと、フィアの仕草一つ一つにドキッとさせられる事が多くなった。
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今もこうして隣で嬉しそうに俺の手を取ってはしゃぐフィアにドキドキしていたりもする。
「イクス?どうしたの?」
「んや、王都に著いたら何しようかなーなんて」
「もう、私たちは観にきたんじゃないんだよ?試験をけにきたんだから!」
もっとしっかりする!と言ってくるフィアだがその目はとてもキラキラしていて待ちきれないと行った様子。
「確かにそうだけど、今から張してたら試験まで保たないだろ?息抜きくらい必要だと俺は思う」
「そ、それなら。.......まったく、イクスはしょうがないんだから!」
腕を組んで一見呆れた様子だが、頬が紅してたりソワソワしていたりして面白い。
コーサはルーアテさんに々と味しい食べを聞いてるみたいだ。俺も後で教えてもらおう。
♢
無事街にるとまずその人の多さに圧倒された。
當然村以上の人がいて、コーサとフィアは驚いている。俺もビックリはしているが、東京なんかはもっと多いのでそこまでではない。
そして驚く俺たちを乗せて馬車がついた場所は、街でも相當大きなレンガの建。
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するとレンガの建の立派なり口には複數の同じ格好の人たちが。
「さて三方。著きましたよ。ようこそグリノーツ商會へ。改めて、私はグリノーツ商會代表ルーアテ・ファルモットーです」
ルーアテさんの綺麗な禮の後後ろに控える職員の人も一斉に禮をした。なかなかの迫力。
「ルーアテさんってなにもんなんだろうな.....」
「そこそこ大きな商會って言ってたけど、コレどう見てもそこそこのレベルじゃねぇぞ」
「す、すごいね......」
周りの建より高くしっかりとした作りの建と優先券を持っているあたりかなりの大手商會だと思っていたんだが、その予想を遙かに上回る。
てか、こんな偉い人が直々に村に來て俺たちを運ぶって、父さんなにやってんの.......?
「私はこの後用事がありますが、イクスくんたちはどうしますか?學試験までの宿ならこちらで既に用意してますから安心ですよ」
「イクス!街を見て回ろうぜ!」
「それもいいんだが........コーサ。お前、試験は大丈夫なんだろうな?」
「(ギクッ!!)」
明後日行われる學試験は主に二つ。
一つは実技試験。もう一つは筆記試験だ。
実技試験は父さん達からみっちりと教わった。これ以上訓練しても調を壊したら意味ないので、軽く運する程度で十分だ。
だが問題は筆記試験である。
筆記試験は別に難しい問題ではなく、社會のルールやマナー、冒険者になるための最低限の知識や規則、そしてモンスターについて問う問題だ。
これは特に重要視するものではなく、普段普通に過ごしたりしていればわかる問題。モンスターも勉強すればわかる問題だと聞いた。実際配點も実技200點筆記100點の合計300點満點だ。
そんな筆記試験。俺達は母さんから勉強を教わり、俺とフィアは余裕なのだが、コーサが非常にまずい。
「コーサ。お前........」
「【強化】ッ!!」
「あっ!テメェ!!」
コーサが兎の如く逃げ出す。大通りはやめすぐに脇道にった。あまりの鮮やかさに周りの見人たちもしばし放心。普通の相手ならこれで十分逃げられるだろう。
だけど、あいにくスピードは俺の領分だ。
「【加速】」
コーサの倍以上の速度で俺は疾駆する。人並みを父さん直伝の捌きでかわす。
そしてあっという間にコーサを捉えた。コーサを追い抜き、すれ違い際に足を払い転倒させた。
「ぐっ!くそぉ.......っ!?」
「スピードで俺に勝てると思うなよ?加速は俺の専売特許だ」
「チッ!さすがイクス。だが........お前をぶっ潰してでも、俺は前に進む!!」
「そこまでするか!?」
よほど勉強がしたくないコーサ。実技で200點満點取ればいいこと!みたいなことを考えてそうだ。
「行くぞイクス!俺はお前を超えて、食べ歩きするんだ!!」
拳を構え、「うぉおおおおお!!」と突っ込んでくるコーサ。
俺はその行力に呆れつつ、一歩後ろに下がる。
途端、俺のいた場所から巨大な水柱が立ち上りーーー
「グホッ.......!?」
ーーーコーサを天高く打ち上げた。
打ち上げたこの水はフィアの水魔法。駆けつけたフェアが俺のうきに合わせて水柱を全力で打ち上げたのだ。
ゴンッ
「ぐはっ.......!!」
あ、コーサが落ちてきた。
落下の痛みで、打ち上げられた魚のようなきで悶絶するコーサを目に、呆れた目でフィアがやってくる。
「なにバカなこちやってるのよ」
「ナイスフィア。ロープある?」
「はい」と渡された野営テントのロープでコーサの両腕と腰を縛る。これなら【強化】で無理矢理引きちぎることもできない。
「ぐっ!?なっ!?解けねぇ!?」
「よーし、コーサ。今日は街に著いたばかりだからし厳しめで我慢してやる。取り敢えず基本モンスターの生態は覚えてもらうぞ〜」
「噓だろ!?」
「心配すんな。みっちり教えてやるから」
日本とこの世界では教育水準に大きな差がある。圧倒的に遅れているのだ。だからモンスターの生態といってもそこまで難しいものではない。
俺の大學レベルの知識と経験があれば中學生かもしくは小學生レベルの問題など敵ではない。実際フィアの勉強も見てやっているくらいだ。
「さっ、とっとと戻るぞー」
「クソッ!クソォオオオオオーーッ!!」
泣き喚くコーサを引きずってルーアテさんの所まで連れて行く。
「よほど嫌みたいですね」
「こいつが逃げないよう外から鍵を掛けられる部屋はありますか?」
「一つだけありますよ。危険人を相手するときに使う部屋が空いてます。なんでしたら腕利きの家庭教師も紹介しますよ?」
「じゃあお願いします。あと気を付けてください。こいつ、最悪壁を破壊してでも逃げ出すと思うので」
「ご安心を。その部屋は全て壁の中に鋼鉄の板と城壁に使われる衝撃吸収の魔法陣が描かれてますので、ヴィランさん並みの人間でなければ破壊は不可能です」
「なら安心だ」
「なにも安心できないんだけどっ!?」
コーサが何か言ってるが気にしない気にしない。これ以上抵抗するようなら、フィアのパイでも食べさせよう。スキル【鉄の胃袋】がフィアのお菓子にどこまで通用するか実験してないし。
「じゃあ俺たちは適當に街をぶらつくか」
「賛!」
「クソ!ずりーぞお前ら!」
「じゃあコイツお願いします」
「わかったよ。あ、コレ街の観名所の地図ね。それじゃあ楽しんで」
「くそぉおおおおおおおおおーーー!!!」
ひょいっとコーサが擔がれて連れていかれた。いとも簡単にコーサを連れて行くところを見るとやはり只者ではない。
「それじゃあ街を見て回るか。フィアは何処か行きたいところあるか?」
「うーん。わかんない。地図見せて」
俺の手元の地図をフィアが覗き込んでくる。そのせいでフィアの顔が俺の顔のすぐ橫にあってドキッとする。なんだかいい香りもするし。
「あ、ここ!このお店ケーキを売ってるんだって!」
「じゃあそこに行くか」
お金は父さんと母さんから貰っているので大丈夫だし、さらに俺には収があった。
それは山賊のリーダーを倒した懸賞金だ。
この世界の通貨は日本円で大
銅貨=百円
大銅貨=千円
銀貨=一萬円
大銀貨=十萬円
金貨=百萬円
大金貨=一千萬
という価値らしい。
大金貨の上には白金貨などの通貨も存在するらしいが、基本一般人の俺たちが目にするお金はせいぜい大金貨までだ。
そして今回山賊のリーダーを倒した事によって俺は國から懸賞金金貨2枚をけ取った。日本円だと二百萬円という大金だ。
流石に二百萬もの大金なんて持つもの怖い庶民覚なので、百萬は村の復興に使ってもらった。殘りは家に預けて、今の俺の手持ちは五十萬程度だ。
「ケーキ!ケーキ〜!楽しみだね、イクス!」
「おう。ついでにコーサの分も買って行ってやるか」
「うん、そうしよう!」
歳相応な様子ではしゃぐフィアはその容姿も相まって周囲からだいぶ注目されている。でも本人は全く気にしないようで、あっちこっちと珍しいに目移りしている。
王都だから治安は大丈夫だと思うけど、ナンパくらいしてくる奴はいるかもしれない。しっかりとフィアを守らないと。
「あ、」
そうこうしているうちにフィアが通行人とぶつかって倒れそうになる。
サッとり込むと腰を支える。
「大丈夫か?」
「ひゃっ!?あっ、う、うん.........」
「しっかり前見て歩けよ」
なんだか借りてきたネコみたいに大人しくなった。まぁこんな往來でコケて支えられるのは恥ずかしいだろう。
「よっし。ケーキ屋はあそこを曲がったところにあるみたいだ」
再び歩こうとするとフィアが俺の袖を摑む。
「あ、あのね。.......こ、ここって人通りが多いでしょ!だから、その.........手、繋いだ方がいい、と思うの.........」
顔を赤らめて手を差し出すフィア。まさかの提案に俺も赤面する。
子供の頃は手を繋ぐなんてどうって事なかったけど、今になるとすごく照れくさいし恥ずかしい。
ましてやそれが好きなの子となると尚更だ。
「じゃあ、その..........繋ぐか?」
「.............うん」
差し出されたフィアの手を取る。男の手を違って小さくてらかい手。握ったら潰れてしまうのではと思うほどで上手く力加減がわからない。
「...........行くか」
「..............!」
気まずい雰囲気をどうにかするため取り敢えずケーキ屋に向かう。
この時はケーキ屋までの道のりがとんでもなく長くじた。
ーフィア視點ー
(や、やっちゃったぁ..........っ!!)
イクスに手を引かれながら私は自分の行に困していた。
あの時咄嗟に袖を摑んじゃったけど、自分でもよく分からなかった。
イクスを見る。ずっと子供の頃から一緒にいる馴染。
ずっと見てきたからわかるけど、最近のイクスは変わった。
正確にはあの時。村が山賊に襲われた時私を庇って山賊のリーダーと戦った時から。
あの時は本當にもうダメだと思った。でも斧が振り下ろされる寸前
ーーー助けて、イクス。
頭の中はそれで一杯だった。そしてイクスはちゃんと私たちを守ってくれた。
あの時の後ろ姿は語に出てくる勇者様そのもの。私にとってのカッコイイ勇者様だった。
事件が終わってイクスが起きた時、どこか大人びた雰囲気がじられた。同時にがキュッと締め付けられるような覚も。
今もこうして手を繋いても顔が熱くなる。さっきコケたところと支えてくれた時なんかは息ができないくらいだった。
(イクス...........)
目の前の男の子は。
不用でよく悩むことが多いけど、いざとなったら真っ直ぐで危険を顧みず助けてくれる優しくて誰よりもカッコいい勇者様。
「.........ありがと。イクス勇者様」
「ん?なんか言ったか?」
「うんん。なんでも。ほら!行こっ!アレだよケーキ屋さん!」
「お、おいおい」
今度は私イがクスの手を引いて歩き始めた。
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