《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》學試験
試験當日。俺たちは今日試験の行われる會場である、ファングランド王立冒険者學園を訪れていた。
それぞれの學園はそれぞれ區間ごとに分かれており、冒険者學園は王都の南側にある。騎士學園は東側。魔法學園は西側。そして北には王城がある。
今日は三學園同時に試験を行うから、騎士學園と魔法學園のも多くの験者がいるはずだ。
そして冒険者學園の方も多くの験者がひしめき合っていた。
「うわぁ、広い。それに綺麗」
冒険者學園は日本の大學くらいの広さはある。俺にとってはし懐かしい気もする。外裝や歩道も整っていて、道の端には花壇が置かれている。
「冒険者って荒くれ者が集まるイメージが大きいけど、どうやらそうじゃないっぽいな。ほら、上級生が導してる」
門のり口では黒を基調とし青の線や刺繍がった制服を著ている男子生徒と、線や刺繍が男子の制服とり違いの赤で短めのスカートをはいている子生徒が看板を持って導している。
しっかりと聲を張って丁寧に導しているところを見ると、しっかりとした教育が行き屆いているのはわかる。
「さて、俺たちも行くか。ティア、コーサ......コーサ?」
振り返って後ろを見る。
「.......Aランクの代表的なモンスターはーーー........冒険者組み合いでのランクの昇格條件はーー.......」
後ろではコーサがブツブツと一心不に本を読んでいた。2日前の元気はどこに行ったんだ......てか、目が若干狂気じみてて怖い。
「これなら試験は大丈夫.......か?」
「なんかコーサが不憫に見えてきちゃった.......」
この二日間コーサは別室でみっちりと勉強漬けだったらしい。というのもこの二日間俺とフィアはコーサに會っていない。今朝あったばかりなのだ。
食堂で會った時は誰なんだと思ったほどだ。コーサをここまでにするなんて、一どんな家庭教師なんだろう......
そんなコーサと連れて俺たちは試験の付を済ませる。
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名前や歳なんかの簡単なものだったが、そこで先天スキルを記する欄があったので俺は素直に【加速】と書いた。流石にランクはEXじゃなくてSだけど。
でも俺の記用紙を見て付の人もビックリしてたけどね。まぁもう慣れた。
試験開始は1時間後。でも今からっても大丈夫なようなので、ここで2人と別れる。それぞれ試験會場が違った。
「それじゃあ筆記試験が終わったらあの噴水前に集合ね?午後の実技試験の為にお弁當作ってきたんだから!」
ティアの手には大きなバスケットがある。朝食堂の調理場を借りて作ってくれたらしい。これは頑張らないとな。
「それじゃあまた後でな2人とも!」
「うん!またね!」
「........冒険者ギルドでの依頼発行と依頼注はーーー」
.........よし!行くか!!
俺はなるべくコーサを見ないように會場へ急いだ。
♢
「それでは始めてください」
試験開始と共に験生が一斉に用紙をひっくり返してペンを持つ。
懐かしな。このじセンター試験を思い出す。あの時は俺も張したな。
試験容をザッと一通り最後まで見る。試験の時間配分や解ける問題、解けない問題の判別は基本中の基本だ。
一通り見たけどどうやらどれもそこまで難しい問題はない。これなら全部解くことができそうだ。
『次の植の生育條件を答えなさい』
これは簡単な薬草の生育條件を答えるだけだ。冒険者になりたての新人冒険者がける薬草採取なんかのクエストでよく見かける代表的な薬草ばかりだ。
(えーっと。回復ポーションによく使われるヒルカ草は日當たりの良い高所で。解毒ポーションのカルメン草は日の當たらないった場所っと)
『ロックウルフの特徴を答えなさい』
これも新人冒険者がよくける討伐クエストで見かけるモンスターだ。
(がネズミで若干い程度だが、尾のは巖のようにく尾のを飛ばして攻撃してくる)
『次のうち最もーーー』
その後も比較的簡単な問題や計算問題が続き、特に悩むことなくスラスラと進んでいく。計算は日本の大學までの數學を終えている俺にとっては楽勝だった。
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そしてとうとう最終問題だ。
(えーっと、最終問題は.....)
『スキルをあなたはどう考えますか?』
今までとは違って答えのない問題。これはその人がどう考えるかを知るための記述式問題。まさか最後にこんな問題が來るとは思わなかった。
し考えて俺はペンを手に取り、
「.............」
そしてーーー
♢
「試験終了です!験生の皆さんは用紙を置いて教師が用紙を回収するまでその場で待機していてください」
「ふぅ〜。意外と早かったな」
結局全部終わった頃にはすでに終了5分前だった。他の験生は頭を抱える者ややりきった満足げな表の奴もいる。
「それではこれより2時間の休憩を設けます。次は実技試験がありますので、晝食を食べた後戦闘準備を整えて験生の皆さんは闘技場に集合してください」
そう言って試験監督の先生は出て行った。他の験生は速さと外に出て行く。俺も早くフィアとコーサと合流しないと。
そういえばコーサは大丈夫だっただろうか?
「しゃああああああああーーーッ!!!終わったぞぉおおおおおおおおおーーーッ!!」
うん。大丈夫そうだ。
外に出ると大聲でんでるコーサが見えたので取り敢えずシバいて黙らせる。
「どうだったんだ試験?」
「おう!キャスリンさんに教えてもらったところがほとんどだったぜ!これなら絶対に大丈夫だ!」
ほう、家庭教師はの先生だったのか。コーサがこれほど自信満々に答えるんだから、相當の腕利き教師なんだろうな。一度會ってみたいもんだ。
「それでイクスの方は?」
「俺もバッチリだ」
「だろうなぁ〜。で、この後どうすんだっけ?」
「2時間後に闘技場って案あっただろうが。聞いてないのか」
「おう!言ってた気がするけど聞いてなかった!」
もう一発毆るべきだろうか。
「はぁ、先に晝飯だな。フィアと合流しないと」
フィアの試験會場の方が噴水に近いからきっともういるだろう。
そう思ってし早歩きで校舎を曲がって噴水のある広場に向かう。
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すると、噴水前でなにか人だかりができているのが見えた。
どうやら誰かが言い爭ってるみたいだ。
そして嫌な予もする。
「あ、イクス!」
コーサが呼びかけてくるが、俺は人だかりをうようにして走る。
噴水近くまで來るとすぐにわかった。
「もう!しつこいです!」
フィアの聲だ。そしてフィアの前には太った男がいる。外見的に俺たちと同じ歳で験生だろう。だが、なりがやけに綺麗だ。
「良いではないか!私はチュンデル家のフット・チュンデルであるぞ!私のものになればお前みたいな平民ではできない暮らしをさせてやるというのに!」
どうしたことか相手はどうやら貴族のようだ。なりがいいのも貴族の息子だからだろう。
冒険者學園にどうして貴族の息子がとか。チュンデル家とか。気になるところはいくつかあるが、今はどうでもいい。
あいつはなんて言った。
「だから嫌です!私はあなたの妻になんかなりません!!」
「なんだと!下手に出ていればこの平民めっ!!私はクローレス大鉱山の領地を収める大貴族だぞ!!ええい!とにかく私が妻にすると言ったら決定だ!!」
フットとか言う貴族の息子は顔をブタみたいに赤くしてフィアに詰め寄る。
そしてその脂ぎった手でフィアの腕をろうとして、
「ふざけるなよお前」
その手を摑んで強引にフィアとフットの間にる。フットは突如現れた俺に目を見開いていたが、俺がフットの腕を握り締めると悲鳴を上げて腕を振り払った。
「いだだだだだっ!?お、お前誰に手を上げていると思っている!?私はチュンデル家の嫡男フット・チュンデルであるぞ!!」
「だからどうした。お前こそフィアになに手ェ出そうとしてんだ。しかも、フィアを強引に連れ去って妻にするだと?........ふざけたこと抜かすんじゃねぇぞッ!!!」
殺気混じりの大聲で俺は睨む。父さんの剣圧に比べてあいつの怒聲など蟲ケラ以下だ。まだまだ未な俺の圧でも吹き飛ばせるくらいに。
「ひ........っ!?」
俺の圧にフットが聲を竦ませる。俺の怒聲に周りで見ていた野次馬も同じようにすくみあがっていたが、唯一フットの後ろでは控えていた従者と思われる老紳士は全く反応を見せなかった。
「フィア。大丈夫か?」
「う、うん。平気。ありがとうイクス」
幸いフィアのには何もないようだ。さて、じゃあ後はこのブタ野郎をブン毆るだけか。
「ひいいいいいいい!?!?來るな!來るな!!私はチュンデル家の長男であるぞ!?私に手を出せばどうなるかわかっているのか!?!?」
なんか言ってるが聞く耳を持たない。一発くらいブン毆らないと気が済まない。
そうして俺はフットを一発ブン毆る為に一歩踏み出すと、ーーー
「ーーー待ちたまえ」
一つの聲が響く。騒がしいこの場所であってもよく通る芯のある男の聲。
その聲が聞こえた方向を見ると、人垣が割れて1人の男が歩いてくる。
歳は同じくらい。スラッとした格に、見る人を魅了するような銀髪と甘いマスクの男子。なりも白と金の上等な生地だと一瞬でわかる服裝。作一つ一つに滲み出る育ちの良さがわかる。
そんな男は俺たちのところまで來ると立ち止まり口を開く。
「今の會話聞かせてもらった。いきなりを連れ去ろうとするなどあまりにも橫暴が過ぎるのではないか?フット卿?」
男がそういうと呼ばれたフットはみるみる青ざめていき、慌ててこうべを垂れる。
「こ、これは!シドニス閣下!!ご機嫌麗しゅう.......!!」
「閣下って.......もしかして......」
四大公爵家の一つじゃないか!?
四大公爵家は國王や王族の次に偉い立場で、実質この國の行政や軍事を扱う四つの公爵家のこと。
そんな大がどうしてこんなところに。
「フット卿。貴殿の振る舞いは目に余るものがある。貴族たる者がその権利を振りかざし、民を脅すなど許されることではない。ましてはここは國の定めた國立機関。貴族の権利を振りかざすことは、學院は一切認めていないはずだか?」
「そ、それは.......」
「まさか學院が貴族を裁けるものかとでも思っていたのか。ーーーふざけるのも大概にしろ。貴族の格を下げるような言は謹んで即刻立ち去れ」
「は、はいっ!!」
シドニスと呼ばれた男の言葉にフットはすぐに立ち上がって去って行った。従者の老紳士もお「大変お騒がせいたしました」と一言俺たちに言ってフットの後を追った。
「まったく。奴の言は前々からどうにかせねばと思っていたが、今回のは行き過ぎだ。厳重に警告しておかねば」
「あの、あなた様はもしかして......」
俺はし躊躇いがちに言うと「ああ、すまない」とこちらを向いて優雅に挨拶をする。
「私はシドニス・フォウ・クロマティス。クロマティス家の次男だ。今回はフットが迷を掛けた。謝罪する」
「いえ、勿無きお言葉」
俺は顔を伏せその場に片膝をつく。本當なら俺みたいな平民が言葉をわせるような存在じゃない。
父さんに習った騎士形式の禮ではあるが、しないよりかはマシだ。
俺に続きフィアと合流したコーサも同じようにする。
すると閣下は慌てて言葉をつなぐ。
「表を上げてくれ。ここでは皆同じ冒険者學園を目指す験生という立場。それにさっきも言っただろう?ここでは貴族の立場も関係ないと。私.....いや、僕のことはシドとでも呼んでくれ。親しい人はみんなそう呼ぶんだ」
「......そう言うことなら。わかりました」
「敬語もなしだ」
「じゃあこれでいいか?シド」
「うんうん!僕のその方が友達ってじがしていいな」
あまりにもアッサリとシドと俺が呼んだことに周りは騒然とし、未だ膝をついているフィアとコーサも唖然とした表だ。
だけどシドの方は嫌な顔一切せず、むしろ喜ばしそうに俺の手を握る。
多分四大公爵家という立場から誰もがかしこまって友達のように接する人間がいなかったんだろう。今のシドの口調や表も歳相応の笑みを浮かべている。
俺は貴族制度のない日本に住んでいたから公爵というのもあまり実がない。それでもちゃんと貴族制度については理解している。他の人に比べし貴族に対して臆さないだけだ。
「そうだ、よければ君の名前を聞いてもいいかい?」
「ああ、そうだった。俺はイクス・アーラス。こっちはコーサとフィア」
「ッ!コーサ・マルフェスです!」
「フィア・マグナリアですっ!」
ガチガチに張していた2人がはっと名前を名乗る。
「よろしく。アーラスくん。マルフェスくん。マグナリアさん」
「俺たちのことは名前でいいよ。俺たちもシドって呼ぶんだから」
「じゃあそうさせてもらうよ」
コーサとフィアは何か言いたげな視線を向けていたが無視だ。
そうこうして周りの注目を集めていると、1人のメイド服を著たの子が現れた。
「あっ、シド様!こんなところに居たんですね。突然居なくなられると困りますっ」
歳は俺たちと同じくらいか。長い金髪に同じく金の瞳。し顔だが全的に纏う洗禮された雰囲気が高い教養をけているのをじさせる。
「すまない、サーシャ。し友達と話をーーー」
「え!シド様にお友達が!?噓ですよね!?」
「お前にはもう一度教養というものを教えてあげようか」
「い、痛い痛い!?シド様痛いです!?」
なんだかいきなりコントみたいなやりとりが繰り広げられた。シドがサーシャと呼んだの子の頭をグリグリしている。
「うぅ〜......いたいですぅ........」
「いきなりごめん。彼はサーシャ。僕の従者だ」
「さ、サーシャと申します。シド様の専屬従者でございます。以後お見知り置きを」
さっきまでの涙目はどこに行ったんだと言わんばかりの優雅な一禮。
そしてぴょこっとく、ネコの耳。
驚いたことに彼は貓の獣人らしい。
それに何よりまさか貴族のそれも公爵家の人間の従者が獣人ということに俺は驚いた。
昔は人間と多種族で爭いがあったため、今では相互不可侵條約によって平和が維持されているが、未だに多種族を良く思わない人も多いと聞く。
そんな中で獣人を従者にするというのは聞いたことがない。
俺たちに対して普通に接したり、サーシャを側に置くことなどシドはかなり特異な立ち位置にいる。
「サーシャさんでいいか?俺はイクス。たった今シドと友達になったばかりだからよろしく」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!よかったぁ、シド様お友達がないから學園に學してボッチになるんじゃないかと心配していたんですよぉ。なにぶん公爵という立場と奇抜な考えのお方ですのでなかなか他の同い年の貴族の方とも折りが合わずーーーって、いひゃい!?いひゃいですぅ!!」
「余計なお世話だ!!それにサーシャ、お前僕のことそんな風に思っていたのか!」
「ほ、ほんなことはいですよぉ〜!」
頬っぺたとむにーっするシドとされながら必死に抵抗するサーシャを見ているとなかなか仲のいい主従関係だな。
「そ、それより!晝食の用意ができてますから早く行きましょう!せっかく朝早く起きてシド様の験合格を祈りながら作ったんですから!」
「わかった。それじゃあすまなかったイクス、コーサ、フィア。僕はもう行くよ。3人の合格祈ってる。次は學式で會おう」
「またな。シドも頑張れよ」
こうして俺とシドはい握手をわして別れた。
♢
午後はいよいよ実技試験。評価の200點もが決まる試験だ。気を抜けない。フィアの弁當も食べたし気合い十分だ。
.........パイが無くて本當に良かった。
途中、フィアは別の會場なので別れた。魔法使いは魔法使い用の試験があるみたいだ。
そんなわけで俺とコーサは闘技場にいる。
周囲をグルリと囲む高い客席と柱が立っている。なんでも柱は結界の支點らしく、客席への衝撃や魔法をかき消す力があるらしい。
そして闘技場には十數個のコートが作られている。新しく作られているところから見て試験に関係するんだろう。
闘技場には多くの験生が集まっている。その中にはシドの姿もあった。立場上近寄りがたい存在な為か周りが避けているのですぐわかった。
なんか若干悲しそうな顔してるぞ。大丈夫か。
「おい、イクス。あいつ.....」
「ああ......」
コーサに促された視線の先にはあのブタ、フットもいた。俺に対して嫉妬や怒りの視線を向けてきているのが丸わかりだ。
『それではこれより実技試験を始めます。試験容は本校代表生徒とそれぞれ一対一の模擬戦を行ってもらいます。勝敗によって合格不合格の判定はありません。試験が戦い方を観察して、それによって點數をつけます。それではくじ番號に従ってそれぞれのコートに別れてください』
闘技場にるときに引いたくじによると俺は3コート。コーサは6コートだった。
「それじゃあな!行ってくるぜ!」
あれほど筆記試験で疲弊しきっていたのはどこへという様子でコートへ行った。あの調子なら大丈夫だろう。父さんと母さんの特訓を乗り越えたコーサならやれるはずだ。
俺も自分の心配をしよう。相手は學園の代表だ。
俺の相手は格の良い戦斧を持った男だ。正直戦斧にはいい思い出はないが、逆にこれはあの時の経験が活きるチャンス。
俺の前には何人かの験生がいて先に戦斧使いの生徒と戦っている。せっかくの機會だから戦闘を観察させてもらおう。報収集は戦闘の基本でもあると父さんから教わった。
戦斧使いの生徒はその巨から繰り出すパワーのある一撃が厄介だが、スピードはあの時の山賊のリーダーほどではない。
だけど戦斧を扱う小手先の技は生徒の方が上なようで、普通なら戦斧を振りにくい間合いでも用に戦斧の柄の先を使ったりして攻撃を防いでいる。
「こっちの方が厄介かもな.......。スピードとパワーだけならそれ以上の速度でけば良かったんだけど」
どうやらこの試験。なかなか簡単にはいかないようだ。
「では、次。イクス・アーラス」
「はいっ!」
試験に呼ばれてコートにる。前の験生はコート外まで吹き飛んだけど大丈夫か?
「よろしくお願いします」
「よろしく頼む。私はグロン・サークレッド。冒険者學園3回生で生徒総會の副會長を務めている。君が學することになれば再び會うこともあるだろう。それでは試験を始めさせていただく」
なんだか武人のような堅だ。それに3回生ということは最高學年か生徒総會ってのはおそらく生徒會のようなもので彼は副會長。相當の手練れか。
「それでは両者構え!」
俺は腰後ろの鞘から二本の剣を抜く。ここの學園は治療設備も完備されていて怪我を気にせず試験に挑める。一応刃引きはしているが本気で打ったら骨折くらいはする。
一方副會長のサークレッド先輩もその巨大な戦斧を構える。長と同じくらいの戦斧を片手で持つとは大した筋力だ。
「それではーーー始めッ!!」
まずは小手調べ。俺は加速は使わず能力のみで走る。攻撃が當てずらい地面すれすれを這うように素早くく。
「ふっ!」
右に行くと見せかけて一気に左に回り込み二本の剣を差するように振るう。サークレッド先輩の視線は右に導されたので左からの俺のきについていけてない。
「ぬっ!?」
だかそう簡単には終わらず。咄嗟に背を逸らして攻撃をかわすと戦斧を薙ぎ払う。
「危ねっ!?」
ゴウッ!と空気を抉り取る一撃を戦斧の下にり込むようにして回避。前髪が數本持ってかれた。
戦斧の一撃一撃は振ってから次の一撃への連結が遅い。しかも今の一撃は咄嗟の判斷で振り切った大振り。仕掛けるなら今がチャンス。
「おおっ!」
剣の間合いに持ち込めれば二刀流という手數の多いこちらに有利。今はとにかくガンガン攻める!
【斬撃加速】と【処理能力加速】、で【雙剣】のステージを強引にあげる。
「速いっ!」
相手はおそらくランクAの【斧】スキル。ランクSほどの絶対的なセンスや技の差がないからだ。ランクSの領域はそれくらい違う。
「はぁあああああああッ!!」
「ぉおおおおおおーーッ!!」
俺の雙剣と戦斧が激しくぶつかる。ガキィイイイイインッ!!と甲高い音を立てて火花を散らす。
ぶつかった衝撃で一度離れる。まずい、今までの攻防で剣に小さなヒビがってる。俺の攻撃速度とサークレッド先輩の戦斧のパワーに剣がついていけてない。
一方サークレッドの先輩戦斧は刃こぼれ一つない。サークレッド先輩の筋力に耐える特注品の戦斧だろう。
このままでは武破壊で俺が負ける。
だったら、
「シッ!!」
一瞬【加速】を使い鋭く跳びかかる。
「なにっ!ッ!!」
矢のような速度で飛び込んでくる俺に流石にサークレッド先輩も反応が遅れた。速さなら誰にも負けない。
俺は二刀を振り上げて上から強襲する。
「甘い!」
サークレッド先輩は戦斧の腹で俺の剣をけ止める。
ガキィイイイイインッと再びぶつかる両者の刃。そして、俺の二振りの剣が弾かれ空中へ舞い上がった。
サークレッド先輩は勝利を確信した目。
俺は剣を弾かれたことによってはーーー弾かれてはいなかった。
前に倒れるように戦斧の下に潛り込む。
「なっ!?」
そこでサークレッド先輩が驚く。そして気づいた。俺がわざと剣を手放したということに。
戦斧を掲げて今のサークレッド先輩のはガラ空き。
「ぬっーーーぉおっ!!」
しっかりと腰を落として踏み込む。力の流れを意識して腰を捻り右拳を突き出す。
父さんやコーサのような一撃ではない形だけの一撃だけど、撃ち込む所によっては十分!
ズンっと重い一撃。だけどい!まるで巖を毆ったようなさが腕に返ってくる。父さんやコーサなら完全に力を加えるんだろうけど、俺にそんな蕓當はできない。
だが確実に腹にり手応えもじた。これなら......
「かっ........!!ーーーッツ!!」
倒れない!?
サークレッド先輩は數歩下がるだけで倒れない。いくら俺の技が未とはいえ、確実に腹にったし普通の大人でも倒れるくらいの力はある。
それなのにサークレッド先輩は二本足で立っている。顔をしかめてをし丸めてるからノーダメージってわけではないだろうが驚異的な耐久力だ。
「っ!見事な一撃だ.......。闘いに慣れているな。まだスキルを得て數ヶ月だろうに」
「両親が厳しいもんで」
「アーラス。もしや君の父親はあの【寶竜騎士】ヴィラン・アーラスか?」
寶竜って多分というか確実にラフネスのことだろう。父さんの二つ名は聞いたことがないけど、名前は合ってる。
「ええ、まぁ」
「なるほど。まったく、今年はとんでもない者がってくるものだな」
「れるかどうかはこの試合次第ですけどね」
俺は地面に刺さっている二本の剣を引き抜く。
だがサークレッド先輩は逆に戦斧を地面に突き刺すと、腕を振る。
「いいや。これでおしまいだ。試験も評価は終わっているようだしな。それにお互いにこれ以上戦うのは得策ではないと思うが?」
実際その通りだ。打ち込んだ右腕が痛い。軽く骨にヒビがっている可能がある。どんだけいんだあの腹筋。
「それではこれでイクス・アーラスの試験を終わります。サークレッド君は一度治療室で治療をけて來てください。試験は控えの生徒と代でお願いします」
「ありがとうございました」
尊敬の念を込めて禮をする。おでいい勝負ができた。
「こちらこそありがとう。いい勝負だったぞ。ぜひ學したらこの続きをやろう」
「もちろん。むところです」
先輩が手を差し出してきたから俺も握手で応じる。
こうして俺の試験は終わった。さて、コーサとフィアの方はどうなっただろうか?二人なら多分大丈夫だと思うが、とりあえず腕の自己治癒能力を加速させて治療しながら待つとしよう。
聖女が來るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】
「私は聖女を愛さなければいけない。だから君を愛することはない」 夫となるユーリ陛下にそう言われた私は、お飾りの王妃として靜かに日々を過ごしていくことを決意する。 だが、いざ聖女が召喚されたと思ったら……えっ? 聖女は5歳? その上怯え切って、體には毆られた痕跡が。 痛む心をぐっとこらえ、私は決意する。 「この子は、私がたっぷり愛します!」 身も心も傷ついた聖女(5歳)が、エデリーンにひたすら甘やかされ愛されてすくすく成長し、ついでに色々無雙したり。 そうしているうちに、ユーリ陛下の態度にも変化が出て……? *総合月間1位の短編「聖女が來るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、夫と聖女の様子がおかしいのですが」の連載版となります。 *3話目だけ少し痛々しい要素が入っていますが、すぐ終わります……! *「◆――〇〇」と入っている箇所は別人物視點になります。 *カクヨムにも掲載しています。 ★おかげさまで、書籍化&コミカライズが決定いたしました!本當にありがとうございます!
8 142【書籍化】幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった
【コミカライズ決定しました!】 一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。 毎日えげつない言葉で俺を貶し、尊厳を奪い、精神的に追い詰めてきた。 身も心もボロボロにされた俺は、ついに彼女との絶縁を宣言する。 「颯馬先輩、ほーんと使えないですよねえ。それで私の彼氏とかありえないんですけどぉ」 「わかった。じゃあもう別れよう」 「ひあっ……?」 俺の人生を我が物顔で支配していた花火もいなくなったし、これからは自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の生徒から賞賛を浴びて、學園一の人気者になっていた。 しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい隣の席の美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。 って花火さん、なんかボロボロみたいだけど、どうした? ※日間ランキング1位(総合)、日間・週間・月間・四半期ランキング1位(現実世界戀愛ジャンル)になれました 応援いただきありがとうございます!
8 152【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔術師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ
第一部完結。 書籍化&コミカライズ決定しました。 「アンジェリカさん、あなたはクビです!」 ここは獣人は魔法を使えないことから、劣等種と呼ばれている世界。 主人公アンジェリカは鍛錬の結果、貓人でありながら強力な魔法を使う賢者である。 一部の人間たちは畏怖と侮蔑の両方を込めて、彼女を【劣等賢者】と呼ぶのだった。 彼女はとある國の宮廷魔術師として迎えられるも、頑張りが正當に認められず解雇される。 しかし、彼女はめげなかった。 無職になった彼女はあることを誓う。 もう一度、Fランク冒険者からやり直すのだ!と。 彼女は魔法學院を追いだされた劣等生の弟子とともにスローな冒険を始める。 しかも、どういうわけか、ことごとく無自覚に巨悪をくじいてしまう。 これはブラック職場から解放された主人公がFランク冒険者として再起し、獣人のための魔法學院を生み出し、奇跡(悪夢?)の魔法革命を起こす物語。 とにかくカワイイ女の子+どうぶつ萬歳の內容です。 基本的に女の子同士がわちゃわちゃして、ドタバタして、なんだかんだで解決します。 登場する獣人のイメージは普通の人間にケモミミと尻尾がついた感じであります。 ところどころ、貓や犬やウサギや動物全般に対する獨斷と偏見がうかがえますので、ご注意を。 女性主人公、戀愛要素なしの、軽い気持ちで読める內容になっています。 拙著「灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営」と同じように、ギャグベースのお話です。 評価・ブックマーク、ありがとうございます! 誤字脫字報告、感謝しております! ご感想は本當に勵みにしております。
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