《神様との賭けに勝ったので異世界で無雙したいと思います。》第24話 襲撃

「これは……」

城のあちこちから黒煙が立ち上っている。

が焦げる臭いが鼻を突く。

「セラ団長! よくぞお戻りに!」

するとこちらへ駆けつけてくる兵士。

この城を守っていた門番の男だった。

「狀況はッ!?」

セラさんが切迫した聲で簡潔に問う。

それに対して門番の男が答える。

「現在魔族の襲撃をけています! 城の殘っていた勇者の方々が國王様をお連れして東へ向かいました!」

「城はどうなってる!」

「死者、怪我人多數! 自分は殘って城に怪我人がいないかを確認したところ、逃げ遅れている者が數……」

門番の人は焦りを顔に浮かべながらけ答えする。

僕は狀況をセラさんに伝える門番の彼の言葉を聞きながら必死に頭をかしていた。

東……確か授業で習った周囲の地形は……

「東……確か東には王國軍の基地があるんでしたっけ」

「ああ、その通りだ。それが本當なら追手もいるだろう。國王たちに追手が追いつく前に私たちも向かうとしよう」

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しかし、そこで門番の人が僕に待ったをかける。

セラさんも苛立ちを込めながら足を止めた。

「悠斗様は確か治癒スキルを使えるのでしたね、まだ逃げることのできていない怪我人を治療して頂けないでしょうか?」

「………」

「悠斗様……?」

僕は門番の男の人に違和じていた。

「名前……教えてませんよね?」

僕はこの日初めて王城の外へ出た。

この門番の人と會うのは今日が初めてだった。

その際にもセラさんが対応したため自分の名前を伝えてはいない。

確証はなかった。

人伝手に聞いた可能もあったし、門番だったら別に名前を知ってることもありえるんだろう。

僕の予が正しかったとしてもまた別の違和が出てくる。

だけど、勇者のスキルをただの門番が知っているだろうか?

匿していないと言われればそれまでだけど……

それに怪我人を救出していたはずの人の服が全く汚れていないなんてありえるんだろうか?

何より―――僕の神眼は確かにその男の言葉の揺らぎを知していた。

「そ、それは―――ッ!?」

次の瞬間にはセラさんの剣が門番を裝った男のを一閃していた。

ずるり……と、青紫を吹き出して゛魔族゛の男は絶命した。

「ッチ、どうやら私も冷靜じゃなかったようだな」

「騙し討ちでもしようとしたんですかね」

「あるいは戦力を遠ざけたかったのかもしれないな」

仮に僕が魔族の立場だったならセラさんを遠ざけてまだレベルの低い勇者を殺す。

この男もそれが目的だったのだろう。

セラさんを東へ……そして、怪我人の治療のために別行をとらせた僕を後ろから……ってところか。

僕たちはそのまま魔族の死を放置したまま本當の狀況を確認するために城へと急いだ。

「悠斗様!」

「リリア!」

近付く前に神眼で確認。

間違いない、リリア本人だ。

「皆は?」

「玉座の間へ向かわれました」

予想通り皆は王様を守るためにそちらへ向かったらしい。

「狀況を説明してくれ」

セラさんが聞くとリリアはこんな狀況にもかかわらず冷靜に答えてくれた。

まず侵したのは男の魔族が二人らしい。

そのの一人はさっきの男だろう。

小人數だけどその後転移門のようなものを出現させて魔をそこから召喚し始めたらしい。

リリアはつい先ほどまで怪我人を助け出していたようだ。

他に殘っている人はいないかと探していたところで僕たちがやってきたらしい。

「森に魔がいなかったのはそのせいか……」

「どういうことです?」

「転移というのは膨大な魔力を消費する。そして、それは転移させる者とされる側の力量と距離に大きく影響をける」

「森の魔をここへ?」

「おそらくな」

セラさんが頷く。

つまり魔を多く転移するのに都合がいいのがその森だったのだろう。

「だが妙だな……そんな大量の転移門を設置するには相當な時間が……」

セラさんの呟きが気になったけど、今は時間が惜しい。

僕たちは遭遇したリリアと共に玉座の間に向かった。

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