《神様との賭けに勝ったので異世界で無雙したいと思います。》第26話 偽

「え?」

リリアを見る。

見てしまう。

そこには何を言われたのか理解できていないリリアの姿があった。

「…………え? な、なにを……?」

その様子を見る限りリリアも知らなかった事実なんだろう。

いや、待て……まだ事実と決まったわけじゃない。

虛言という可能も―――

心、というスキルを私は所有しています」

「え? え……え?」

リリアの慌てぶりは見ていて気の毒なほどだった。

涙を浮かべて子供のように僕へと魔族へと視線をかす。

が落ち著かず、強く混していた。

「リリア、騙されるな。ブラフだ」

「ほう? なぜそんなことが?」

僕は何とか頭の中を整理。

そして、言葉を絞り出す。

「リリアの心がれるなら……わざわざ彼に命令をする必要なんてない」

カルラのステータスはほとんどが見えなかった。

だけど、一つだけ。

『伝心』という単語だけは見えた。

それはつまりこいつがリリアに命令を出していた魔族なんだろう。

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「なるほど、馬鹿ではないようですね」

ですが―――と、カルラが言う。

「スキルには相や狀況によって様々な変化をもたらすものがあります。発條件なども存在する。ならば常にっていることができないというのはあり得る話では?」

「……拠は? その言葉には、拠がない」

僕はそう言いつつも、魔族に顔に浮かんだ確信的な笑みを否定することが出來なかった。

拠? そうですねえ……例えば」

そして、魔族カルラがそれを言った。

言ってしまった。

「なぜセラ・グリフィスのスキルやステータスを私が知っていたと思いますか?」

通者が調べた。

リリアは魅了スキルを持っていた。

奪われる前なら調べることは容易だろう。

「なぜ私が召喚されたばかりの勇者である貴方の名前を知っていると思いますか?」

通者がいたから。

王城に住み込んでいるメイドであるリリアには容易い。

「なぜこれほど簡単に王城に進できたと思いますか?」

通者が手引きしたから。

転移門が設置できるならそれもできる。

それを設置できるような人のいない時間もリリアなら知っている。

「なぜ人族の王城なんて場所で設置に時間のかかる転移門をこれほどの數仕込めたと思いますか?」

通者、通者、通者。

「…………っ」

僕は否定することが出來なかった。

だけど、それでもと必死に言葉を紡いだ。

言い訳のような言葉を。

「リリア以外の通者がいた可能は……」

「それ本気であり得ると思いますか?」

無理だ。

ありえない。

リリアは本當に偶然の中の偶然。

その中から正を知られることなく拾い上げられた存在。

と同じような魔族がそう多くいるとは思えなかった。

「なら、隷屬の命令はどうやって?」

リリアには僕に不利な行をとるなと言っていたはずだが。

「不利な行だと自覚させずにることで解決できました。まあ、さすがに直接危害を加える暗殺などは無理でしたけどね」

リリアが知らなかったという事実が。

それが何よりも彼られていたということを証明してしまう。

もしも心というスキルにデメリットや発條件が存在した場合。

ることができる時間が短かった場合。

リリアがそれを知らなかったとしても不思議ではないからだ。

そして、れない時間は……例えばり油斷をわせる。

生きの脳は一度思い込んだらそう思うようにできている。

長時間……それが無理だったとしても、仮に短時間しかれなくても……思い込みでを勘違いし続けるというのは十分可能があった。

「噓……噓です、私、え? 私は……悠斗、様を……え? え?」

カルラが今までで一番の笑みを浮かべる。

會心の笑み。

醜悪さが一際際立つ……その表のままに言ってくる。

ごっこは楽しかったですか?」

パリンッ―――と。

心が砕ける音が聞こえた気がした。

「イヤぁああアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!?!?!??!?!?」

リリアが膝から崩れ落ちた。

子供のように泣き喚く。

噓だ……噓だ……と。

現実をれることが出來ずに……ただ泣いていた。

そのは偽だったのだと。

僕を殺すために植え付けられたものだったのだと。

「リリア」

びくり!? と、リリアが震える。

怒られることを恐れている子供のように。

許しを請う。

リリアは、必死に僕に対して……ごめんなさい、ごめんなさい……と。

僕はリリアの頭に手を乗せた。

震えていた。

も、そして……僕の手も。

「ごめん、待ってて」

え―――? と。

リリアが顔を上げる。

泣いていた。

僕に好意を抱いてくれていたの子が。

だから、僕は……

「あの糞野郎ぶっ飛ばしてくる」

そのこみ上げる激のままに、決意した。

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