《神様との賭けに勝ったので異世界で無雙したいと思います。》第28話 噓
思えば々と適當な人生だった。
基本的に緩いことが好きで。
オタク趣味だったこともあり、外で遊ぶような友達もいない。
高校にってようやく何人か話ができるような人ができたけど……
その後はなぜか異世界で勇者をやる羽目に。
我ながら何もない人生だったように思う。
何もし遂げず……最後に父さんに謝ることもできなかった。
だけど、適當に生きてきた僕だけど。
今更ながらもっと生きたかったなーと、遅すぎることを思った。
スローになった視界の中で、人形が指令を出す瞬間がやってきたんだろう。
それと同時に人形がボロボロと形を失って崩れ落ちた。
そういえば生命力使うって言ってたっけ……一人につき日に一度……あれ人形だけど一人って言うのか。
だけど、そうだな……々適當な人間ではあったけど、せめて最後にリリアには何か言ってあげたかった。
僕を好きでいてくれたの子。
思えば僕にあれほど好意的に接してくれたの子は彼が初めてだった。
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それが偽だったとしても。
僕が死んだあと彼はどうするんだろうか。
魔族に植え付けられただけのだと知った彼はどう思うんだろう。
何とも思わない……とかだったらちょっと寂しい。
だけど―――
しでも泣いてくれたら嬉しいな、ってのは僕のエゴなんだろうね。
そして、その瞬間は―――終わりはやってきた。
「悠斗様ッ!」
リリアが僕を呼ぶ聲が聞こえる。
橫から押し飛ばされる……けど、無理だろう。
それで當たらないならセラさんが躱せてる。
百発百中の魔槍は間違いなく僕を貫くはずだ。
だけど……なぜだろう。
こんな時くらいは彼の聲が聴きたかった。
なぜかその聲は―――僕の聲と同じものだった。
ッッ!!!!!!!!!
閃。
僕は倒れ込みながら目を瞑った。
痛くないといいなーとか思ったけど、いつまで経っても痛みはやってこない。
もしかして即死だったとか?
だけど、の覚がある。
倒れ込んだ時にぶつけた箇所が痛む。
あれ? と思いながら目を開ける。
そこにはにを開けた自分がの海に伏していた。
ああ、もう僕幽霊になってるとか?
でも……やっぱりの覚はある。
「?」
僕は倒れている自分に近付いた。
幽霊……? いや、僕には今も足がある。
よく狀況が理解できない。
死んだらこういうよく分からない狀態になるのかな? なんて思った。
「ゆ゛ゆう、と……っ、さま……」
「え―――?」
僕の聲で僕を呼び、の塊を吐いたもう一人の僕。
にを開けたもう一人の僕は……ゆっくりと顔の形を変えていく。
リリアだった。
「は?」
よく狀況が分からない。
いや、ほんとにわからない。
なんで? 今何が起こったのかも僕には理解ができない。
「ふ、ふふ……っ、私のスキルも、最後に、役立って……く、くれましたね……」
スキル?
なんのこと……?
「……あ」
僕はリリアのステータスを思い出した。
――――――――――――
リリア(魔族)
Lv29
15歳
生命 700
攻撃 130
防 50
魔力 550
俊敏 100
幸運 160
スキル 変裝、偽裝、変換
加護 魔王の加護
――――――――――――
「……変裝、スキル?」
もし、もしも……あのグングニルの槍が使用者の狙い定めた人を攻撃するとして。
槍の所有者が使用時に死亡した後の標的の判斷基準は何なんだろう?
姿? 聲?
もしも全く同じ人間がいるとしたら……どちらを攻撃するんだろう?
槍自が意思を持ってるなら、間違えたりするとか?
あるいは他の判斷基準でもあるんだろうか?
いや、そこを考えることに意味はない。
だって、今現実としてこの魔槍はリリアを貫いた。
その結果が全て。
そして、その結果として―――彼は死ぬ。
「ッ!」
僕はリリアに駆け寄った。
この時ばかりは何も考えることなく。
「治癒! 治癒!」
急いでスキルを使用する。
だけど、悟ってしまった。
無理だ、傷が大きすぎる。
「へ、変換、スキルで……ほかの、ステータス、を……生命、力に、変換しています……長くは、ないでしょうが……」
リリアがごぽっとの塊を吐いた。
「この、気持ちは……紛い……だったのかもしれません……」
「後で聞く! 今は喋るなリリア!」
何度も治癒をかける。
が洪水のように溢れ出している。
僕はリリアののを抑えて必死にを止める。
だけど、それをリリアの手が止めた。
「い゛え……き、聞いて、ほしいん、です……」
僕は何も言えなかった。
頭が真っ白になってごちゃごちゃする。
「ま、ぞく、だった、私を……悠斗、様は、殺さなかった……その時の……気持ち……確、かに……私の、好意は……紛いだったのかも……しれません……今抱いている……こ、このも、偽……なのかもしれな……わ、私にはそれを……否定、することは、で、できません」
ですが―――と、リリアが続ける。
が溢れるのにも構わず、何とか間に合わせるために、言葉を紡いだ。
僕はそれを黙って聞いた。
「ゆ、悠斗、様は……私の、ために……怒って、を……流して、くれた……戦ってくれた……んです……この、この気持ちが噓……だったのだとしても……そのことだけは、本當なんです」
リリアは言う。
それが事実で、それだけは真実なんだと。
自分が偽でも。
それだけは本なんだと。
「私、の……が噓だったのなら……私は……噓つきに……なって、しまいますね……」
だから、と。
リリアは言った。
「一つ、だけ……噓をつきます……」
ごめんなさい、と。
彼は一言謝る。
最期に、振り絞るように……リリアがその言葉を僕に聞かせた。
最高に幸せそうな笑顔を浮かべながら。
「あ……して……おります……悠斗、様……」
リリアの瞳がを失う。
が力を失くし完全に力する。
は止まることはない。
リリアは……もうかない。
僕を好きだと言ってくれた―――リリアは死んだ。
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