《神様との賭けに勝ったので異世界で無雙したいと思います。》第41話 ドラゴン

「僕たちの目的はアルテナさんに會うことです」

「ふぅん? 誰か怪我でもしてるの?」

怪我を聞いてくるということはの能力に関してはガリウスさんの言う通りで間違いないらしい。

「怪我をするというよりかは怪我をするかもしれないから仲間になってほしいってことですね」

「ああ、それはちょっと無理だね」

「む、無理なんですか……」

秋山さんの落ち込んだ聲。

だけど僕の中では予想通りだった。

ここまでの流れでアルテナさんの地位はエルフ達の中でも相當高いことはすぐに分かった。

それならついてきてくれというのは無理があるだろう。

しかし、クドさんは「あ、でも」と、続けた。

「転移石でいいならあげるよ?」

栗田さんと秋山さんがなんだっけと首を傾げる。

どうやら二人は記憶にないらしい。

「転移石……ってたしか石の所有者同士の間で転移できるようになるアイテムでしたよね」

と、優等生の姫木さん。

姫木さんはちゃんと覚えていたらしい。

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「それも頼みを聞いてくれたら、ですよね?」

「うんっ」

快活な笑み。

僕は仲間たちと相談する。

「どうしましょう?」

容くらいは聞いてもいいんじゃ?」

「うん、僕もそう思う」

「危ないことじゃないといいですけど……」

と、容くらいは聞く方向で決まった。

クドさんに聞くと教えてもらえることに。

「ドラゴンに會ってほしいんだ」

「ど、ドラゴン!?」

ドラゴンと聞いてテンションを高める秋山さん。

ファンタジーと言えばドラゴンだもんね。

そういう僕もその単語にはワクワクさせられる。

「なぜドラゴンに?」

テンションが上がってる僕たち2人は気にせずに質問をする姫木さん。

「ドラゴンに頭を下げてほしいの」

「? なんでですか?」

聞けばこういうことらしい。

アルテナさんは時折発作が起こるらしくて、それを抑えるための薬を作る必要があるらしい。

その素材がドラゴンの鱗。

だからエルフ達に代わって僕たちに頭を下げてほしい、ということだそうだ。

その他にもドラゴンの鱗は様々な薬の材料になるらしい。

それが足りなくなっていると……

「……別にそれくらいならエルフの人たちでもできるんじゃ?」

「皆プライド高いからね……頭を下げることがストレスになってるの」

ああ……と、僕は納得した。

勝手な上に失禮なイメージだけど確かにエルフの人はプライド高そうだ。

でも僕たちにできないと思うってのはなんだったんだろう?

素材を貰うために頭を下げるくらいならできそうな気がするけど。

「ドラゴン……って言ってもまだ子供でね。私たちが頭を下げてるうちに年々調子に乗り始めちゃってて……」

「調子に乗るとは、どういう風に?」

「ちょっと前までは土下座を強要されたって鱗を貰いに行った人が文句言ってた」

……それは嫌だなあ。

なんかドラゴンの威厳があって格好良いイメージが崩れていく。

秋山さんも同様だったようで、微妙そうな顔をしていた。

「……あ、それなら無理矢理剝ぎ取ればいいのでは?」

栗田さんが中々えぐいことを言う。

確かにその手もなくはないけど……

すると周囲のエルフの一人が慌てた様に言ってくる。

「馬鹿を言うな! ここから住処を移されでもしたら困るのは我々なんだぞ!」

うぐ……っと、し怯む栗田さん。

うん、だよね。

「最近では知識自慢したいらしくてね、何かと問題を出してくるんだけど……子供とはいえ世界中を飛び回ってたドラゴンの知識に勝てるエルフがいないのよ」

そして、僕たちは再度相談タイム。

けてもいいと思います」

と、姫木さん。

「そうですね、けましょう」

「い、いいと思います……」

え、皆ける方向で固まってるの?

「問題なら……な、なんとなく佐山さんが何とかしてくれる気がして……」

「そうですね、いざとなれば頭を下げればもらえるかもしれませんし」

「聞いた限りでは危険もないじですしね」

まあ……できるできないは置いといて確かにその通りだ。

こちらが相手の機嫌でも損ねない限りは危険はなさそうに思える。

戦うわけでもないし、それでアルテナさんのところに転移できる転移石がもらえる。

そうなれば誰かに何かあった急事態でも安心だ。

「分かりました、けることに―――クドさん!?」

クドさんはを抑えていた。

呼吸が荒く顔が真っ赤だ。

「どうしました!? 大丈夫ですか!?」

「ああ……うん、私もお母さんと同じ発作がたまに起きるんだ……」

え、クドさんってアルテナさんの娘さんなの?

と、こんなときなのにし驚いてしまう。

だけど不思議はない。

周囲の人たちのクドさんへの態度は確かにアルテナさんの娘だと言われても違和はない。

「はーっ、はーっ」

呼吸を整えるクドさん。

僕はその発作について何も知らない。

元の世界の病気かもしれないし、この世界特有のものかもしれない。

何にせよ迂闊な行をとることは出來なかった。

「だ、大丈夫……すぐ収まるから……」

周囲のエルフの人たちは不安そうにしているが、それでもそこまで慌てている人がいないってことはその通りなんだと思う。

本當によくあることなんだろう。

「――――――」

その時何か聞こえてきた。

僕は栗田さんを見る。

「? 何か言った?」

「なにがですか?」

きょとんとする栗田さん。

空耳……だろうか。

「ふう……収まってきたわ。それで、けてもらえる?」

を見ると顔はもう赤くない。

まだ僅かに火照っているようなをしてるけど、先ほどよりは白いように思える。

本人が大丈夫というなら大丈夫なんだろうか?

「分かりました。引きけさせて頂きます」

「ありがとう! 君たちならそう言ってくれると思ってたよ!」

「はい、でも鱗を持ってこれたら約束は守ってくださいよ?」

僕がそう言うとエルフの人たちが口々に言う。

「ほんとにできるのか?」

なんて聞こえてくる。

「まあ頑張りますよ、ちなみにその問題って毎回違うんですか?」

するとエルフの人たちが教えてくれる。

『この世で最も強い生きは何か?』

『この世で全てのを併せ持つ生きがいる、それは何か?』

『晝の間だけ涼しくなる熱砂の砂漠はどこにある?』

んー……聞いた限りでは知恵というより本當に知識が必要になってくる問題だな。

この世界に來たばかりの僕たちが分かるとは思えないが……

「そのドラゴンはどこに?」

まあ戦闘にはならないとのことらしいので會ってみてもいいだろう。

……ならない、よね?

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