《ファルダーミール -明日の世界-》第23話 模忌 【改訂最終】
「よう、遅かったなカヤト」
夜の街を駆け抜け、目的のT公園につくと、西城さいじょうが暖かそうなココアを飲みながら話しかけてきた。
「すまないな、思ったよりも時間を食ってしまった」
「可いの子でも聲をかけられたのか?」
「馬鹿か、お前じゃあるまいし、俺がの子に聲をかけられるなんてこと、あるわけあるわけがないだろ」
「そうか」
カヤトと西城の間に微妙な空気が漂う。
「そんなことより、模忌(もしき)は発見できたのか?」
「ああ、模忌に追跡式を打ち込んでおいたから大丈夫だ」
「そうか、いつの間にお前、追跡式を覚えていたんだよ。先週まで「無理だ~!」とかぬかしてなかったか?」
「ん、何のことだ?」
「......はぁ、まあ、いいや」
「お、おお?なあ、カヤト」
「なんだ、西城」
「なんか、模忌が凄い速さでここに近づいて來るんだが……」
「は!どっちの方向からだよ」
「南口方面から……」
西城が言い終える前に、南口からけたたましいび聲をあげながら黒い影が飛び出してきた。
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「GoooooooooO!!」
 公園の街燈にうつし出された模忌は、全が白い人の形をしていた。顔の部分にある口のような黒い線が赤黒く脈うっている。
「なあ、カヤト、気持ち悪いんだがあいつ」
「同だが、気おつけろよ。あんなタイプの模忌(もしき)は見たことがない!」
カヤトはそう言いながら刀を構え、臨戦態勢をとる。
カヤトに引き続き西城も自分の武を懐から取り出す。
「じゃ、支援頼むぜ西城!」
カヤトは言うが早いが、モシキに向かって斬りかかる。
その速さは、常人であれはなんの反応も出來ずに斬り伏せられるであろう速さだった。
「Go?GoooooooooO!!」
カヤトの攻撃は、モシキの腕にしの切り傷を付けただけだった。
「いな」
そこそこ力は込めたんだがな。あれでかすり傷程度のダメージしかないなんてな。
「カヤト大丈夫か?」
西城がカヤトの後ろから聲をかける。
「大丈夫だ!お前は早く罠をはれ!!」
モシキがカヤトに対して右拳を放つ。
「あぶな!」
ガン!とまるでい金屬同士がぶつかるような音が響き渡る。
「どんだけ、馬鹿力だよ!」
「GooO!!」
 「グォグォ!五月蝿(うるさ)いわボケ!
」
「GoooooooooO!」
 「だからうるせっ!ての!」
カヤトは文句を言いながら、モシキと斬り合う。
「カヤト準備できたぞ!」
10 分ほど斬り合い続け、西城がカヤトに向かって式の構築が完了したこと告げる。
「GoooooooooO!」
  「はぁ!」
カヤトは黑刀を逆刃に持ち、力を込めて叩きつける。
「GA!」
「よし、いいぞ西城!」
「北方の玄武げんぶ、南方の朱雀すざく、東方の青龍せいりゅう、西方の白虎びゃっけ、われむ、その強大なる神罰ちからにより我が敵を滅せよ!激震雷」
西城が式を解放した瞬間、四方に埋め込んだ式、木杭からモシキにむかって赤、白、蒼、翠のを放つ鎖が絡み付いていく。
「Ga!?ぎザマ、いっだい何をした!」
喋りやがったか、しは普通のモシキと似てるのか?
「悪いがお前を封印させてもらう」
「がぁ、させるが!?」
「カヤト!ヘルプ!」
モシキが封印の鎖を引きずりながら西城に向かって行く。
「雷刀」
黑刀に雷の霊を宿らせ、モシキの口を目掛けて突く。
「Goooo〜、ぎざまぁ〜許、さん!」
流石に口の中はくなかったか。
のようなを口から滴らせながらモシキは怒りの聲をあげる。
「足元がお留守だぜ!」
カヤトはモシキに足蹴をかます。
足蹴によってバランスを崩したモシキが地面に倒れ込む。
「せい!」
すかさずカヤトはモシキの口に向かって黑刀を差し込む。
を黑刀が貫通し、脊髄を切斷する。
「あが、がが、ぎざ……まぁ……」
「やっと死んだか、ダルいなまったく」
(なかなかの強敵じゃったの〜?まあ、わしの敵ではないがの)
「調子の良いやつだな」
黑刀をモシキの口から抜き、を食べさせる。
(久しぶりじゃの〜こんなに味い霊骸レイガイを食べるのは)
「そうか」
モシキのが無くなった(味しく食べられた)。
「おい〜カヤト〜!大丈夫だったか?」
西城が駆け寄ってくる。
「あぁ、大丈夫だよ西城。お前こそ大丈夫だったのか?」
「あ?あぁ、このとうりピンピンしてるぞ」
「そうか、じゃ帰るか」
「そうだな!」
その後、リアの家により、モシキを倒したことを報告し、俺と西城もそれぞれ帰宅した。
ーーーーーーー
カヤトたちが立ち去った後の公園……
黒い人影がモシキがトドメを刺されたであろう場所に立っている。
「ふむ、失敗か……」
「……、………………」
「ふむ、そうは言うが君はどうだったのかね?」
「…………、……………………………………」
「ほう、君は功したのかい」
「……」
「帰るか」
「…………」
公園に蟲たちの鳴き聲がが戻る。
この2人が何者なのかをまだカヤトたちは知らない。だがいずれ會うことになるだろう。
 
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