《ファルダーミール -明日の世界-》No/13
「それで、お前のことは何て呼べばいいんだ?」
「そういえば、名乗っていなかったの~。わしの名前は、海雨カウ。海を見つめ、海の平穏を保つ神じゃよ。まあ、今となっては単なる廃れ神じゃがの~」
どこか遠い目をしながらそんなことを言うカウ。
こんな顔をするのもしょうがないだろう。
つい、數十年前までは大みそかやお盆になれば沢山の人が神社に訪れていたのだから。
地方の神社でも大晦日になればある程度人が集まるのだから、こんな大きな神社であればなおさら集まっていただろう。
「そうか」
「おっとすまんの~辛気臭い雰囲気を出してしまったの~気にしないでくれると嬉しいぞ、お主」
自分が視られていることに気づいたのか、すこし恥ずかしそうにしながら話す、カウ。何処となく狐耳もソワソワといている。
「わかった……ッ!!」
自分の後ろにある林の中から何か不気味な気配をじたカヤトは後ろを振り返る。
「……」
橫目でカウのことを確認すると、カウも俺と同じ方向を見ていた。
「……」
両者ともしばらくのあいだ林の方向を見ていたが、気配が消えたため元に戻る。
互いに見合う。
どちらが口火を切るのが先か……
「……これは、悪意じゃな。それもかなり強力な部類の」
さきに口火を切ったのは、カウだった。
「わかるのか?」
「それはそうじゃろう、何年神をやっていると思っているのじゃ?あのような、不気味な悪意をかんじないはずがあるまい」
 「さすが神さまだな」
  心でカウの評価をあげるカヤト。
 「たいしたことではあるまい、こんなこと、神なら誰でもできることじゃ」
 カウの耳はどや!というじでピン!と、立っていた。
  ……あの耳、カウに応じてくのか?
  カヤトはピン!と立ったカウの耳をみて、そんなことを考えつつ、先ほどの気持ち悪い悪意をじた方向に式紙を飛ばしていた。
 「……なんじゃ?その目は」
 「いや、別に……」
  思ったより早く気づいたな。
 「そうかの~怪しいの~」
  訝しげな顔をしながらこちらを見つめてくるカウ。
 「……まぁ、よい。そんなことよりもお主、先ほど式紙を放っておったじゃろう?どうじゃ、様子は」
 「あ、ああ、誰もいないぞ。今のところは」
  カヤトは心でし驚いていた。
カヤトの放った式紙は攻撃式や防式が発できない変わりに、かなり強力な隠滅効果が付與されており、普通の人間はもとより、かなり高位な霊能力者でも知は不可能であるのだが、カヤトの目の前で腕を組んでいる狐耳は普通に気づいている。
「なんじゃ?お主の放っていた式神に気づいていたことがそんなに驚きかの?」
「あ、まあ、正直なとことな」
「素直じゃな」
「噓をついてもしょうがないしな」
もうつかないことにしたさ、どうせ、バレるし。
「そうかの~」
のほほんとした、口調でカヤトの返答に答えるカウ。
「ところで聞きたいんだが、俺の式紙にどうやって気づいた?」
「なんじゃ、そのことか、簡単なことじゃよ。お主の放った式紙は確かに隠滅の力によって気配が消えておった。しかし、じゃがの~隠滅の力が強すぎて逆に違和があったのじゃよ。まるで、必死に人ごみに紛れようとしている犯罪者のような異質さが。気配が消えすぎてしまい、逆にその場に不思議な空間ができていたのじゃよ」
カヤトは式紙にどのように気づいたかを説明するカウの言葉を聞き、頭の中で隠滅の式紙の改良案を考えていた。
「なるほどな、ありがとう。ためになった」
「な~に、たいしたことではない」
とは言っているものの、狐耳がピンと立っている。ついでに、尾も。
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