《悪魔の証明 R2》第162話 095 スピキオ・カルタゴス・バルカ(1)
それにしても、ジョン・スミスだ。
これまでに幾度となくに抱いた彼への賞賛を、心の中で吐した。
彼と出會えたことは、それほど運に恵まれていない私やクレアスにとって天啓ともいえる出來事だった。
初めてジョン・スミスのことを私が認識したのは、國立帝都大學へ行った日の帰り、彼の方から聲をかけてきたときのことだった。
怪しいと思い無視しようとしたが、彼もクロミサが見えているといきなり言い出したので、驚いた私はすぐに彼と會話を始めた。
とはいえ、私は彼をどうすれば良いか対処に迷った。
まさか口封じのために殺すわけにもいかず、かといって、第六研の人間が様々な悪道を行ってきた私の話を信じてくれるはずもない。
だが、私がそう思うのと相反するかのように、彼の私に対する態度は友好的だった。
警戒を解かずそのまま會話を続けたがその最中、第六研のメンバーであるはずの彼は、自ら協力を申し出てきた。
一瞬罠かと思ったが、第六研の報を渡すとレイたちのデータが詰まったノートパソコンを見せてきたので、私はその申し出をけることにした。
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彼がどのような人であれ、第六研はトゥルーマン教団を破滅に導く鍵となる存在で、その報はから手が出るほどしかった。
その後、私はジョン・スミスとに連絡を取り合うようになった。
初めはその風から彼の能力に懐疑的だったが、ネットワークやアイ・モスキートについてやたら詳しかったことから、彼が有能なハッカーであることはすぐにわかった。
そして、しばらくその彼と付き合った後、彼であれば私たちの最大の懸念事項が解決できるのではないかと次第に考え始めるようになった。
トゥルーマン個人用のデータベースにクレアスの個人報がおさめられていることはかなり前から判明しており、予定通り彼を殺害したとすれば死後その報を手にれた青年活部がクレアスを襲ってくるのは目に見えていた。
それはわかっていたのだが、バックアップサーバを含めて膨大な數のコンピューターがあるせいでどれをどうやって消去すればよいかわからず、ずいぶんと長い間私たちは途方に暮れていた。
今回の作戦に先だち、クレアスは仕方がないと自分の命を諦めていたが、もちろん私にとってそれは到底けれられることではなかった。
このような経緯もあり、私は藁にもすがる気持ちでジョン・スミスに相談したのだが、彼は無表で「了解」と短く述べた後、すぐにその問題に取りかかった。
結局のところ、ジョン・スミスはそう時間をかけず、同じ第六研のメンバーであるジゼル・ムラサメの友人――シロウ・ハイバラを使い、トゥルーマン寺院にのすべてのパソコンに無線LANを仕込んで、それらすべてを自分の範疇に置いた。
その手際の良さは、私とクレアスが悩んでいたことが噓かのように鮮やかなものだった。
もちろん私の手引きがあったこともそれに寄與してはいたが、よく誰にもバレずそのようなことができたものだと心した。
その後、レイの前ではトゥルーマン教団の報を出し彼に報を教える振りをしながら、ジョン・スミスは、次々とクレアスの個人報をすでに死亡している本のスピキオ・カルタゴス・バルカの報へと書き換えていった。
トゥルーマンのパフォーマンスが始まる前にけ取った彼からの電話によると、既に書き換えは完了しており、クレアスの報は一切殘っていないとのことだった。
これでラインハルト社に消されたエリシナの痕跡のように、完全にトゥルーマン教団におけるクレアスの痕跡が消えた。
それを知った私は、そのときそう確信した。
シロウ・ハイバラを裏切り者のダミーにするアイデアも、ジョン・スミスによるものだった。
彼はジゼルに第六研にシロウをわせる前に彼を私に紹介して、トゥルーマン教団のスパイにさせた。
レイにシロウというダミーを追わせたのは、もちろん真のスパイである自のカモフラージュにするためだ。
これはほんの一例で、彼はその後私たちと自分の正を隠すため、様々な畫策を実行に移し頭脳明晰なレイをコントロールしていった。
レイが、シロウをスパイであることをいち早く暴けたのも、本のスピキオとクレアス――ふたりのスピキオにたどり著いたのも。
すべて一時的に彼を安心させて、私たちの本來の目的に支障がないようジョン・スミスが裏で手を回し、それとなく彼に虛実ないまぜにした報を吹き込んだ結果だった。
ジョン・スミスが私に協力した理由は、トゥルーマンのパフォーマンスの最中、私が引用した彼の言葉――ほとんどの人が見えないものはそれは存在しないということ――これを周知させるためであると私は踏んでいた。
おそらく、それ以上でも以下でもないだろう。
事実、彼はそのためだけに行をしたのだから、そう推察しても間違いではないはずだ。
以前、彼になぜレイを裏切ったのかと尋ねたことがあった。
その際、彼は自分の思い通りにいてくれたらすべてが上手くいくとだけ返してきた。
これを聞いた私は、そのとき直した。
レイへの裏切りは、ジョン・スミスにとっては裏切るという行為ではなく、ただ単にレイのやり方では目的を達できないと判斷しただけのことであると。
私もまったくの同意見だった。
外部から攻撃するというレイの方法では、トゥルーマン教団のような政治にまでを下ろした組織を破滅させることはできない。
それにより、潰れて行くのは外殻だけで、それではを固めた本陣を落とすことはできない。
私たちがしたように、部から本を斷ち切らなければ、実態のない世界の事は何も解決することはないのだ。
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