《【書籍化】男不信の元令嬢は、好殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)》〈番外編〉騎士カーティスの波萬丈な二日間⑥

漫畫版の配信がスタートしたので、記念に連続投稿したいと思います!

<これまでの話>

忘れをしたクレアを追って、ノアとカーティスは旅に出ることになった。

ノアと一緒に馬に乗るに際し、カーティスには一つ懸念があった。

それは「乗馬」。

馬の二人乗りと言えば、する者が同乗者を抱えるように乗るのが一般的。

平たく言えば抱っこである。

ノアを前に乗せて馬に乗る己を想像し、カーティスは思った。

俺、平靜でいられるだろうか。

が止まらなくなって、出死するんじゃないだろうか。と。

しかし、いざ実際に乗馬するという段になると、それは杞憂であることが分かった。

ノアが、カーティスの後ろに立ち乗りすると言い出したのだ。

幾ら獣人が能力に優れているとはいえ、さすがに危険だ。

そう心配するカーティスを目に、「やってみれば分かる」と涼しい顔のノア。

先にカーティスを馬に乗せると、手助けなしに飛び乗り、鞍の後ろ部分にバランス良く立った。

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「ん。これでいい。前が見えるから道案もできる」

カーティスは心の底から心した。

(す、すごい! さすがノアちゃん! 最高かよ!)

そして、思った。

強引に高い鞍借りて來たけど、意味なかったかもしれないな。と。

しかし、そんなことはおくびにも出さず、彼はにっこり笑った。

「なるほど。素晴らしいアイディアですね。でも、馬は予想外のきをすることもありますし、し危なくないでしょうか」

ノアが得意気に言った。

「ん。問題ない。こうする」

「……っ!」

その瞬間。カーティスの肩に、小さな手がかけられた。

大きく目を見開くカーティス。

一瞬遅れて心の中で絶した。

(ぐ、ぐあああ! ノ、ノアちゃんの手が肩に! ち、小さい! らかい! 暖かい! お、お、落ち著け! 俺!)

堪えるような表をするカーティスに、ノアが「どうした?」と首を傾げる。

「いえ。なんでもありません」

そう微笑みながら何とか自分を立て直すと、カーティスは手綱を持ち直した。

「では、最初しゆっくり進みましょう。慣れてきたら速足にします」

「ん。了解。あっち」

森の出口と思われる方向を指さすノア。

ガチガチに張しながら、馬を走らせ始めるカーティス。

そして、ようやくノアの手のに慣れ、一息ついたところで、彼は改めて森を見回した。

張で気が付かなかったけど、この森、見たことない木とか花が多い気がする)

気が明らかにないし、気溫がし高い気がする。

(……ここって、本當に王都周辺なのか?)

カーティスがそんな疑問を抱いていた、その時。

目の前が急に明るくなり、森の出口が見えて來た。

「出口が見えてきましたね。あそこから出ますか」

尋ねるカーティスに、「ん」と背後から返事が返ってくる。

そして、ようやく深い森の中から出て。

目の前に広がる景に、カーティスは目を丸くした。

(え! ちょっと待って! ここって、まさかの隣國⁉)

目の前を蛇行しながらびているのは、夜石を使った立派な街道。

石をここまでふんだんに使った街道を作れるのは、原産國である隣國以外ありえない。

驚愕するカーティスを目に、軽に馬から飛び降りるノア。

トコトコと丘の上に歩いて行くと、鼻を上に向けてクンクンとかし、森のり口と反対側を指さした。

「あっちが王都」

王都って隣國の王都だったんだな。と、妙に納得するカーティス。

「では、王都に向かいますか?」

「ん。ちょっと待って」

小さな手でカーティスを制すると、ノアが再び鼻を上に向けてクンクンとかす。

目をつぶってし考えた後、王都のやや南を指さした。

「あっち」

あっちには何があるんだろう。と、首を捻るカーティス。

(でも、下手に聞くと、さっきの『ラームの家』みたいな、とんでもない弾が隠れてる可能があるからな……)

自分の任務はあくまでノアの付き添い兼警護。無用な質問は止めよう。と、心に決める。

「はい。分かりました。では、急ぎあちらに向かいましょう」

「ん。よろしく」

二人を乗せた馬がゆっくりとき出した。

森を抜け、街道を走り、金の麥畑の中を軽快に進む。

そして、休みをれながら馬を走らせること數刻。

カーティスは、彼の実家である侯爵家の屋敷と負けずとも劣らない立派な屋敷の前に到著した。

鉄の柵の向こうに見えるのは、薔薇の香りが漂う手れの行き屆いた広い庭園と、堅牢そうな石造りの屋敷。

彼は眉を顰めた。

(……まさか、ここか? 探し人ってもしかして貴族なのか?)

本日夜に続きを投稿します。

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