《【書籍化】男不信の元令嬢は、好殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)》〈番外編〉騎士カーティスの波萬丈な二日間⑦

本日2話目です。

ノアを後ろに乗せて、街道沿いに馬を走らせること數刻。

カーティスは、彼の実家である侯爵家の屋敷と負けずとも劣らない立派な屋敷の前に到著した。

鉄の柵の向こうに見えるのは、薔薇の香りが漂う手れの行き屆いた広い庭園と、堅牢そうな石造りの屋敷。

彼は眉を顰めた。

(まさか、ここか? 探し人ってもしかして貴族なのか?)

馬に乗ったカーティスとノアを見て、門番が近づいてきた。

「おい。何か用か」

馬から軽に飛び降りるノア。

小さなリュックサックを下すと、中から紙切れを取り出した。

「これ」

差し出された紙切れを怪訝そうな顔で開く門番。

見るなり表が変わった。

「コ、コンスタンス様のお知り合いの方ですか。こ、これは失禮致しました。すぐにご案いたします」

丁重に門の中に案される二人。

庭園を橫切って屋敷の中にると、執事らしき白髭の男が出迎えに出て來た。

「當館に何か用ですかな」

訝し気な顔をする彼に何か耳打ちする門番。

執事らしき男が二人に笑顔を向けた。

「なるほど。お嬢様のお知り合いでしたか。ようこそ。スタリア侯爵家へ。ご案いたします」

「ん。よろしく」

コクリと頷くノア。

カーティスは心した。

この狀況に落ち著いていられるなんて、ノアの度はなかなかのものだ。さすがノアちゃん!

そして思った。

俺、ここに居ていいんだろうか。と。

通常、貴族が他國の貴族の家にることは、ほとんどない。

ってもせいぜい嫁に行って里帰りした娘くらい。

後は洩防止や謀反の嫌疑をかけられないため、人の目がある公共の場所で會うのが一般的だ。

カーティスは四男とはいえ侯爵家の人間。

しかも隣國の騎士。何の連絡も回しもなくこの國の貴族の家にるのは、あまり好ましい狀況ではない。

(うーん。どうしようかな)

とりあえず、ノアの付き添い的な立場なことをアピールしよう。と、彼の座るソファの後ろに立つカーティス。

ノアが首を傾げた。

「何してる?」

「あくまでノアさんの付き添いだということをアピールしています」

「ふうん。はずかしがりやさん?」

と、その時。

ノックの音と共にドアが開いて。淡い水のドレスを著た細が、眼鏡をかけた男にエスコートされてってきた。

長くしい金髪に、空のような青い瞳。

なかなかお目にかかれないような可憐なだ。

はノアを見て嬉しそうに微笑んだ。

「よく來てくれたわね。ノアちゃん。……そちらは?」

「カーチン。はずかしがりやさんだから、そこに立ってる」

いや、々違うんだけどな。と心苦笑しながらも、丁寧にお辭儀をするカーティス。

何か察したらしい男が、にこやかに手を差しべた。

「はじめまして。カーチン。君は『ノアさんの付き添いに過ぎない』という解釈でいいのかな」

「はい。察して頂いて謝します」

話が分かる人間がいて良かった。と、カーティスはでおろした。

こういった場合は偽名を名乗るところだが、幸い名前もカーチンということになっているので、そのままにしておくことにする。

優しい仕草でを先にソファに座らせる男

もその橫に座ると、穏やかに尋ねた。

「さて。それで、今日はどういったご用件なのかな? 薬はまだ殘っているから、もしかして遊びに來てくれたのかい?」

ノアがあっけらかんと言った。

「ん。クレアを探してる。忘れものを屆けにきた」

まあ、クレアさんに忘れを。

と、驚いたような顔をする

そして申し訳なさそうに溜息をついた。

「ごめんなさいね。ノアちゃん。実は彼。今朝ここを出てしまったのよ」

ノアは、コンスタンスの家に到著した!

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