《異世界チートで友達づくり(仮)》獣人奴隷フォック③

その日は晩飯を食べ終わってすぐに寢る事にした。

ベットにはフォックとベルが寢て俺は機の椅子で寢た。

「アオイ?起きてる?」

「んあー?」

寢ぼけたような気の抜けきった聲を出すとベルがクスクスと笑っていたのが分かった。

「……なんだよ…」

「いや〜…フォック君の事でちょっとね」

「…………」

ベルは隣で寢ているフォックの頭を優しくでながら続けた。

「アオイはどうか分からないけどさ…なくとも私には村長や村の人、それにケイルもいた。でもフォック君にはを注いでくれるような人はそばにはいなかったんだよね…」

「…人は運命には逆らえない。いくら悔やんだとしても変えられない事だってある。大事なのはこれから何をするかだ…」

正しく自分に言い聞かせているようだった。

俺も前の世界では散々自分の目つきが悪い事を恨んだ。

だからってなんにも変わらなかった。

だからこそ今の世界でのチャンスを無駄にせずに生きようと思っているのだから。

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「そう…だよね。私たちがこれからいっぱい楽しい思い出をフォック君と一緒に作っていけばいいんだもんね。これからは…わた…し……」

ベルが眠りについた。突然の寢落ちだった。

「ベル?」

おかしい。そう思った時うっすらと部屋に蔓延する白いガスのようなものが見えた。

「睡眠ガ…ス……か…」

俺も眠りに落とされた。

目が覚めるとそこまで時間は経ってなかった。

ベルはまだ寢ていた。

そして俺はすぐにある事に気づいた。

“フォックがいねぇ!!!!”

拐か!?それならどうしてフォックを狙う!?訳が分からねぇ!

しきった狀態でベルを揺すって起こしてフォックがいないことを伝える。

ベルも慌てた様子だったがすぐに俺と一緒に落ち著いた。

それからベルがを使った。

一方その頃、フォックは手臺のようなものに仰向けに縛り付けられていた。

目を覚ましたフォックが自分の狀況を把握して恐怖した。

手足がガッチリと固定されかす事はかなわない。部屋は狹く手臺しかないが上が吹き抜けて夜空に浮かぶ満月が見えていた。

恐怖に怯えていると一人の足音がゆっくり近づいてきているのが獣人の耳で分かった。

「フォックく〜ん、ひっさしぶり〜♪」

やけにルンルンな男の聲だった。

聲のした方を咄嗟に見ると暗闇の中から白のようなものを著てメガネをかけた40代くらいの人族が現れた。

フォックはその男を知っていた。

「…ナグナルト……」

「おぉーよく僕の事覚えててくれたんだね。嬉しいよ」

ニコニコしながら言ったがどこか底知れない恐怖を纏っていた。

「さて、気を取り直して…仕上げの時間だよ〜。最後だから昔みたいに暴れて逃げたりしないでね」

そう言ったナグナルトの手には注があった。

俺達は走っていた。

ベルのに引っかかった場所はラルズ王國から北の『カース跡』という場所だった。

俺は神の姿になりベルをおんぶして走っていた。

恥ずかしい。こんな所誰かに見られたら俺は確実に死ぬ…。

まぁそれはありえないけどな…。

なんせ俺の速さはとっくに人の上限を超えている。現に俺の通ったあとは地面がえぐれている。

そのままにしておくわけにもいかないため背中にいるベルが土屬魔法«マークアース»で土を元の水平の狀態にしてもらっていた。

自分でもはた迷なヤツだと思う…。

仕方ないだろ!加減が出來ねぇんだから!

そんなこんなで通常馬車で半日程の距離を1分も経たずに走り抜けた。

『カース跡』は石ブロックをいくつも重ねたような壁で出來ていたのだろうがそのほとんどが崩れ落ち中途半端にたたずんでいた。

しばらく歩いていると階段を登った所に中にれそうな口があった。

所々欠けてはいるが何とか形を保っていた。

その中は暗く下に続く石階段だけがあった。

「暗くてよく見えないな、俺はがあるから暗い所でもはっきり見えるけどベルは危ねぇな」

「私たちなら大丈夫だよ。ちょっと待ってね」

ベルが火屬魔法の«マイルポット»を唱えると小さな火の玉が空中に現れた。

大きさ的には握りこぶしひとつ分くらいだ。

基本ベルくらいの実力者の魔法はなんでもアリだ。

その火の玉で足下を照らしながら奧へと進んだ。

1分程下に進むと大きな広間のような場所にでた。

よく見ると奧には通路が続いていた。

「進むか…」

そして奧へと進んだ時急に地面が抜けた。

「え…?」

そんなマヌケな聲がこぼれたがすぐにそれは変わった。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

悲鳴に…。

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