一方その頃、フォックはーーー

シスターであるマーラさんに連れられてベルとは反対側の部屋へと案された。

それにしても、この建は広いな〜。

こんな広い建にったのは初めてだからもっといろいろ見てまわりたいなぁ…。

そんな事を思っているとあっという間に部屋へと著いた。

ベルさんがって行った部屋の場所の反対側ではないけど神殿の造りがどんなになっているのか分からないからいいや。

そこは白い石造りの壁の中に綺麗な木製扉があった。

中へると驚くべき景が広がっていた。

部屋の隅に置かれた綺麗な白のシーツが敷かれたベット。その他テーブルや機､タンスなどの家が綺麗に並んでいた。

だが、僕が驚いたのはそこではない。

僕が驚いたのはところ狹しと様々なところに散りばめられたぬいぐるみの數々だ。

ベットの枕元、タンスや機の上、ソファにクッションかのように置かれていた。

｢すみません、マーラさん？…ここは？｣

明らかに場違いすぎる空間に僕は思わずマーラさんに聞いてしまった。

仕方ないじゃないか、本當にどうすればいいのか分からなかったんだよぉ…！

｢ここは私の部屋ですよ｣

｢……え？｣

ニコニコしながら答えたマーラさんの言っている意味がいまいち理解できなかった…。

そしてマーラさんは続けて答えてくれた。

｢ちょっとばかし張しているようだったので可らしい部屋の方がいいと思いまして、余計でしたか？｣

そうか僕のためにわざわざ案してくれたのか…綺麗なだけじゃなくて気遣いができてとても優しい人なんだな…。

まさにとしての理想形だ。

アオイさんだったら間違いなく惚れていた事だろう。

そして勧められるがままソファに腰を下ろした。

こんな狀況じゃ張しないどころかさらに張してどうしても規則正しくしてしまう。現に今も背筋をピンとばして両手を膝の上にのせている。

｢そんなに張しないでくださいな。気楽でいいんですよ｣

そう言ってマーラさんは二人分の紅茶を持ってきてテーブルに置いた。

｢心を落ち著かせて張を解す効果がある«バリュの葉»のハーブティーです｣

｢あ、ありがとうございます…｣

ヤバい、張で気絶しそう…！震える手でカップを手に持って口もとまで運ぶ。

飲もうとした時に紅茶の香りがダイレクトに鼻の奧へとってきた。

その香りはまるで木々生い茂る森林に一人で目を閉じているような様子を連想させられるほどとても落ち著いた香りだった。

｢…いい香り……｣

思わずそんな言葉がもれた。

そのまま紅茶を口に運ぶ。

口にふくむと口いっぱいに森の清らかな空気のような自然イオンが広がった。

｢おいしい…｣

こんな飲みを僕は生まれて初めて飲んだ。

そしてそのまま一気に紅茶を飲みほした。

｢おいしいでしょ？｣

マーラさんがニコニコしながら紅茶の余韻に浸っていた僕に話しかけてきた。

｢あ、はい！もうこんなおいしい飲み初めて飲みました！｣

あまりに衝撃的な味だったからいつもよりし興していた。

｢うふふふ、それは良かったです｣

マーラさんもなんだか嬉しそうだった。

しばらくするとマーラさんは僕のすぐ隣に腰を下ろした。

｢あ、あの〜…マーラさん？こっちは狹いんですんで向かい側の方がいいんじゃないですか…？｣

ソファは四人が普通に座れる程の広さはあるがマーラさんは僕の真隣に座っていた。既に肩どうしが當たっている。

｢いいえ、こちらの方がいいんですよ。こっちの方がフォック君を堪能できますから｣

｢堪能？……ふニャｯ！？｣

｢おぉ、これは思った以上にモフモフのふわふわですね｣

驚いて聲が変になってしまった。でも仕方ないでしょ？尾られなんだよ？

獣人の尾や耳は人のと違い、長い多くのに覆われている分が弱く敏になっているのだ。

それをられるというのはアレをアレするのと…いっ…しょ……。

いってて自分が恥ずかしい！！

｢んn………や、やめ…て……｣

をビクビクさせているけどマーラさんは喜んで尾や耳をり続けた。

｢ハァハァ、もーほんとにモフモフ！もう可くて溶けちゃいそう…！｣

この人変態だぁぁぁぁ！

でられが勝手にじてきが思うように取れない。

でられるのは好きだけどここまでわしゃわしゃされるとさすがに鬱陶しい…。

｢や、やめて…ひニャｯ！…くだひゃい…｣

今のマーラさんには興で聲が聞こえないのか全く反応がない…。

……こうなったら…。

！

僕は獣王フォルムになるとともにマーラさんからで抜け出しテーブルを挾んで向かい側の壁まで飛び退いた。

スキル…音を超えるスピードをだせる。発時間は約1秒。任意発。

いつの間にか目の前から消えた僕にマーラさんは気づいて驚愕した。

｢フォックさん…ですか？｣

｢？…はい、そうっスけど…｣

どうしてそんな質問をするのか最初は理解できなかったけどすぐに理解できた。

｢あ、見せちゃダメでしたけ？｣

今の僕の姿は獣王フォルム、つまり全に覆われたオオカミの姿になっていたのだ。