《異世界チートで友達づくり(仮)》黒幕③

「ごめん、やり過ぎた…」

気絶し見事なまでに靜まりかえっていた『カース跡』に俺の屆く事がない謝罪が響いた。

しばらくしてからフォックがトコトコ近づいて來て興気味に言ってきた。

「アオイさん!大丈夫でしたか?」

「ん?あぁ、まぁな」

そう言って改めて地面に白目をむいて倒れている黒マント達に視線を落とす。

フォックも不思議そうに覗き込んでいた。

「ところで、この人達は誰だったんスかね?」

「さぁな…これはあくまで予想だけどお前をさらったのもこいつらだと思うぞ」

それを聞いたフォックは「ゲッ!」という聲をもらして俺の後ろにを隠した。

え、何コイツ!小みたいで超らしいんだけど!

怒ったようにし眉を寄せ頬をほのかに膨らませていて、尾と耳が下がっていた。

ヤヴァイ…めっちゃでまわしたい!

荒ぶるを必死に抑えてひとまず旅に出る前に『コルベ村』の萬事屋で買っておいたロープをアイテムポーチから取り出し、黒マントの手足を頑丈に縛った。

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「さてと、コイツら連れてそろそろ戻るか」

「あ、はいっス」

そう言って俺はを解除してを使おうとした時だった。

「連れて戻られたらこっちがいろいろと困ります…」

「「ッッ!?」」

若い男のどこか気だるそうな聲だった。

ただそれだけではなかった。今は真夜中のしかも古びた跡だ。

こんな場所にこんな時間に人がいるわけがなかった。

俺とフォックはすぐにその聲のした方向に視線を向けた。

そいつは結論からいうと人間ではなかった。

姿形は人間とさほど違いはなかったが視界を黒い布で覆い、背中からコウモリのような黒い羽を用に使い宙に浮いていた。

しかもダルのような黒いツノと『コルベ村』のカメルのような長い耳を兼ね備えていた。

服裝はというとサリーのような形で黒一で統一されていた。

「魔族…」

ボソッとこぼしたフォックの聲に揺した。

コイツが魔族…!?

種族[魔族]…全の細胞ひとつひとつに強大なマナを含んでおり人外の強さを手にれた種族。

どうして魔族がこんな所に…コイツが黒幕の親玉なのか…?

「おい、お前が親玉かどうしてフォックを狙ってんだ?」

そう聞くと魔族の男は頭をかきながらダルそうに答えた。

「え〜…俺には分かりませんよ、命令だから従ってるだけだし…ハァ」

命令?コイツが親玉じゃないのか…しかしその親玉は魔族を従えてるっていう事は相當な力を持ってるはずだ…。

恐らくだがナグナルトの言っていた“あの方”ってのもそいつの事だろう。

いろいろ考えていると黒マント2人が急に宙に浮き魔族の方へと引き寄せられた。

「それじゃあ、俺はこれで失禮しますわ…」

「なッッ!待ちやがれ!」

その聲も屆かず気絶したままの黒マント2人を両手に抱えて空へ飛びたった。

クソッッ!このまま逃げられたらなんの報も聞き出せない!何とかして一人でもとっ捕まえねぇと!

そう思って俺はを発させてで魔族の周囲の空間の時を止めた。

「…!」

宙に留まったまま驚いたような素振りを見せた。

そのまま跳躍で魔族のいる上空數十mの位置まで迫る。

「悪いな、1人いただくぜ」

そう言って黒マントの1人に手をばした時だった。

━━━パァン!!!!!

甲高い音と共に俺の腕が何かに弾かれた。

ッッ…!いってぇぇえ!!!

同時に俺のが強制的に解除されて一瞬怯んだ。その隙に魔族の男は一気に加速して夜空の彼方へと消えていった。

わけも分からず地面に著地する。

なんだったんだ、今の…?俺のが強制的に解除されて逃げられた…。

アイツは一何をやったんだ…?

そんな事を考えながら俺は魔族の男が飛び去って行った方向の夜空を見上げていた。

その頃飛びたった魔族は布で塞がっている視線をアオイ達のいた方向へと向けて呟く。

「あの者、私と同等…いや、それ以上の力を」

そして再び進行方向に向き直り深くため息をついた。

「はァ…また面倒なヤツが“若”に歯向かうのか」

男の聲は誰に聞かれる事もなく風に消えていった。

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