《異世界チートで友達づくり(仮)》長い夜③
俺はダルに先に部屋へ行ってもらってベルと共に宿屋『集い亭』を出ていた。
辺りはまだ暗くちょうど1時をまわった當たりだと思う。
晝間はお祭り騒ぎであったが夜は信じられない程靜かになっていた。ベルいわくこの『ラルズ王國』では夜12時を知らせる鐘の音以降の一部を除く商売は止されているらしい。
よく見ると酒場等の店はまだ明かりがついており営業しているっぽかった。
「ベル、今からどこに行くんだ?」
こんな夜中に一どこに行こうとしているのか不思議で仕方なかった。正直戦闘と土木作業を2時間程やった後の俺のは今にも悲鳴をあげそうだった。
だがベルは「著いてからのお楽しみ」の一點張りで目的地を一切教えてくれなかった。
ヤバい、歩いていても眠気が一切覚めない…。
そういえばこの世界に來てからずっとベルと一緒にいる気がする。
友達が一人もいないで家庭でもの人との流は母が死んでから一切なかった。
よくよく考えてみればの子と一緒にいるのは俺にとっては衝撃的なのだ。
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男とさえ友達にすらなった事もなかった俺が今はの子と2人で夜の街に出ている。
これはもう既に友━━
そう思ったが一瞬ためらい冷靜になり考え直した。
━━俺とベルは友達になれたのだろうか…
という思いが頭の中を支配した。
これは友達ができた事が一度もない故の不安だった。
友達とは何をもって友達なのかという煮え切らない考え方、友達と思っていたのは自分だけという恐怖心からこのような思いにどうしてもなってしまう。
手っ取り早く確認をとればいいのだろうがそんな事ができたなら恐怖心などとうに無くなっている。
そんな複雑な気持ちのまま歩き続けていると城壁前で足を止めた。
『ラルズ王國』全土を囲う約20mの城壁。この壁からは魔から都市を守るための結界がドーム狀に広がっているらしい。
「こんな所まで來てどうするんだ?」
ここは門ではなくただの壁しかない。方角でいうと東南方向だ。
「私はこの壁の向こうに行きたんだよね。あ〜あ、誰かこの大きな壁を飛び越えられる人いないかなぁ〜?」
わざとらしい程に視線をこちらに向けながら言ってきた。さすがにここまであからさまに言われて理解できないほどバカじゃない…。
「あ〜、はいはい」
そう言って俺はを発させてベルをお姫様抱っこして地面にクレーターを作らない様に軽くジャンプした。
空中でベルは両手をバンザイして大聲ではしゃいでいた。
その楽しそうなベルの笑顔を見てなんだかしだけだけどホッとした自分がいた。
そのまま城壁の上に乗る。
城壁の上は思ったよりスペースがあり見張り用と思われる石レンガの通路が整備されていた。
ゆっくり歩いて反対側に向かう。
歩いている最中ベルは俺の首にしっかりと手を回して俯き顔を赤らめているのが分かった。
「どうした、ベル?」
「…な、なんでもない…」
「怖くてチビったか?」
「なッッ!…違う!」
前々から思ってたけどベルってからかうと反応が可いな…つい面白がってからかいたくなる。
ポカポカと俺を叩いているが狀態なので全く痛くない。
「そんな強がらないでいいよ、誰もいないんだし」
「だから違うってぇ!」
「はいはい」
「おい、お前達ここで何をしている」
「いやぁね、実はベルのヤツが━━」
そう言いかけて冷靜になり聲のした方を見ると俺の首元に槍が突きつけられていた。
その槍の持ち主は銀の甲冑にを包み顔全を覆っていたので表は読み取れなかったがこちらを威圧してきているのはひしひしと伝わってきた。
この城壁の見回りをしている國の兵士だろう。
「━━いや、ちょっと道に迷ってしまって〜アハハハ」
言い訳はこれくらいしか思いつかなかった。そもそもこんな場所にどうやったら迷い込むのかすら自分でも分からない。
「そうか、ここは関係者以外の立ちりは止だ。ちょっと一緒に來てもらおうか」
「あ、そうなんですね〜じゃあ俺達帰りますね。アハハハ」
兵士の人の「來てもらおう」という言葉を當然のように無視して俺は都市とは反対側に改めて向き直って━━
「ちょっと君達!」
━━走った。全力で。兵士さんが摑もうとした瞬間に一心不に走って城壁の上から飛び降りた。
「ベル!しっかり捕まっとけよ?それと今回はチビんなよ?」
「だから違うって!」
落下中そんなやり取りを続けていたがすぐに地面へと著地した。
そのまま俺は真っ直ぐに走った。俺の踏み込んだ位置は當然のように陥沒していた。
しばらく走ってから俺は森の中でベルをおろして近くの木にもたれながら元に座った。
「あ〜、疲れた…」
「捕まっちゃうところだったね…」
俺が聲をもらすとベルが苦笑いを浮かべながらもどこか楽しそうにそう言った。
「それでこんな所まで何しに來たんだよ」
ここは『ラルズ王國』から南東に位置する『迷いの森』という場所だ。
どうにも一度ったら出られないとよばれる場所らしい。どうしてこんなおっかない場所に…。
「それはね〜、こっちに來てみて」
そう呼びかけられて大人しくついて行く。
どういうわけか何度も來た事があるように暗い森をぐんぐん進んで行く。
「何回かこの森に來た事あるのか?」
「いや、今日初めて來たよ」
「じゃあなんでそこまで道に詳しいんだ?」
「それはね〜、私のの応用なんだよ」
意外な答えが返ってきた。
どうやら今日、というか昨日神殿に行った時にスキルの使い方とかいろいろ聞いたらしいのだ。
それでを使ったルート検索ができる事を教えてもらったらしい。
「って結構いろいろ便利だよな」
「むぅ、そんなアオイのなんてもっと便利で最強じゃん」
「うッ……」
何も言い返せない…。確かに俺の固有スキルはチートだ。今度時間がある時に俺も神殿行ってみるか。
そんなこんなやっていると開けた場所に出て急にベルが足を止めた。どうやら目的地に到著したようだ。
俺もすぐにベルの隣へと森を抜けてそこに広がっていた景に目を奪われた。
森が一部開けた場所の中心に一際目立つ巨木がありそのすぐそばには川も流れている。
だがそれだけではない。
極めつけは辺りを飛びまわる無數の小さなの粒だった。まるでホタルのようだ。
その景を見て俺は聲を失った。
テレビやら寫真やらでは見た事があったが比べにならないくらい神的な景だった。
「これは«星蟲スターインセクト»ていう昆蟲型のモンスターだよ。神殿の神父さんが教えてくれたんだ〜(デートスポットとして)」
「すげぇ〜な…こんな景生まれて初めてだ…」
視線をずらさないまま俺は想をもらした。
しばらくしての事だった。
「ベル、俺の事どう思ってる?」
「………え、えッッ!?」
俺は何を思ったのか急にそんな質問をした。
信じられないような景をみてが高ぶったのか、自分の恐怖心を無くしてしまいたかったのかは分からなかった。
だが、ただただ恥ずかしい!
「いや、違うんだ。これはただ…その〜」
「………きだよ…」
「え?」
俺が言い訳をしようとした時に遮るようにベルの小さな今にも消えてしまいそうな聲が聞こえた。
「だから、その……大!…好き……」
最後の部分は聲が小さくなっていたがしっかりと聞き取る事ができた。
その確かな言葉を聞いて俺はとてつもなく嬉しかった。
の子に、いや、家族と親父の下についてた極道の男達以外から好意を向けられたのは初めてだった。
「あ、違う、私だけじゃなくてフォックちゃんや『コルベ村』のみんな、それにスサラちゃんやダルさんだって、みんなアオイの事大好きだよ」
「ッッ!」
俺の心の中で何かをじた。
今までにじた事がない
“友からける”
これが俺のしかったものだった。
「…おう、俺もみんなの事大好きだ」
「………アオイ?」 「…ん?」
「どうして泣いてるの?」
いつの間にか俺の瞳からは大量の雫が流れ出ていた。だが俺はベルに笑顔で言った。
「ありがとな、ベル。俺も大好きだぜ」
━━━ボシュゥゥゥゥウ!
俺が言い終えるとベルの頭から蒸気が音を立てて噴出した。
「え、おい!ベル!?」
倒れるベルを腕でけ止めるとベルはすっかり目をまわしていたのだった。
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