《異世界チートで友達づくり(仮)》作戦③
地震と地鳴りが収まってしばらくすると急にドアが開きフォックちゃんが慌ててってきた。
「フォックちゃん、大丈夫だった?」
「はァ、はァ、うん…ベルさんは?」
「私も大丈夫だったよ」
手を膝に著き荒い息を整えながら途切れ途切れに聞いてきた。相當慌ててこっちに來たみたい。
「冒険者登録はできたの?」
「うん、できたッスよ!」
安心したのかさっきまでの必死な表とは一変して自信に満ちたどこか満足げな表で元気にステータスカードをバンと見せつけてきた。
私はその様子を見てし頬が緩んで続けて「ダルさんは?」と質問をなげかけた。
するとどうしてか今度はプクゥとほっぺを膨らませて機嫌が悪くなった。
「ダルのやつは冒険者ギルドの人達と壊れた建造を一緒になってなおしてます。そこまで壊滅的な崩壊はなかったので怪我人はいないとのことでした」
「そっか〜、よかったね」
「うん、僕はベルさんが無事でなによりッスよ」
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しずつではあるけどフォックちゃんも敬語を使わずに話してくれることが増えてきたのがちょっとだけ嬉しかったりもする。
そして私も何か手伝えることがないかとフォックちゃんを連れて宿の外に出た。
宿付近の建は私の[保護プロテクト]がなんとか間に合ったようで壊滅的な被害は出ていなかった。
とりあえず上手くいってよかった…。
この魔法は本來鉱山資源で作った防の耐久度を上げるというとても単純な土屬の中級魔法だ。
咄嗟に近くの建にかけても上手くいく保証はなかったので功して一安心だ。
しばらく歩くと冒険者ギルドが見えてきたのでダルさんがいるかもと思い、よってみることにした。
中は造りは『コルベ村』の冒険者ギルドとさほど変わりはなかったが広さが2倍近くあった。
広さの割にはさほど人はおらずテーブルで朝っぱらから酔いつぶれてる人ギルドを走り回る付嬢の大きく分けてこの2種類ほどしかいなかった。
その中にダルさんの姿はなかった。
しばらく口で中の様子を見ていると1人の付嬢がこちらに気づいて向かってきた。
「あなた方、冒険者の方ですね?」
「え、あ…まぁ」
突然の質問でちょっと揺してしまった。
だってこの人凄い真剣な表で聞いてくるんだもん…仕方ないよね。フォックちゃんも私の後ろにさりげなく隠れてるし…不安そうな表もまたかわいい!
「それでしたら至急街の復興にご協力ください」
「あ、はい」
「それではあなた方は王城のある北地區に向かってください」
手に持った書類を見ながら教えてくれた。まぁ元々ダルさんを手伝いに來たわけだから別にいいんだけど…。
そうして私たちは急遽王城のある北地區の復興を頼まれたのだった。
『ラルズ王國』の冒険者ギルドは都市のほぼ中心部分に位置していた。
そして東地區に商業ギルド[ゼンリー]、西地區に『アルグ神殿』、南地區に私たちの泊まっている『集い亭』があり北地區に王城がそびえ立っている。
私の[保護プロテクト]の効果範囲が冒険者ギルドまでなんとか屆くという距離だけど他の地區も被害はそこまで出ていなかった。
きっと誰かも私と同じような魔法を使ってくれたんだと思う。よかった。
北地區に到著すると約20人くらいの人が魔法やらスキルやらで瓦礫の修復や運搬を行っていた。その中にはダルさんもいた。
私たちはダルさんと合流して一緒に建の修復に取り掛かった。
「ひとつだけ分かったことがある」
「え、?」
急にそんなことを私になんとか聞こえるくらいの聲量で言ってきた。
分かったこと?
アオイとスサラちゃんの居場所かと心期待しながら耳を傾ける。
「その前にひとつだけ質問したい」
「ん、なに?」
「どうしてこのチビは何にも手伝わないんだ!」
私のローブをしっかり握りしめて周りの様子を観察しているフォックちゃんを指さしながら言った。
ダルさんの言葉に反応して思いっきり睨みつけている。完全に警戒態勢にっていた。
「ん〜…フォックちゃんは魔力が0だし、人見知りだから周りの人に興して噛み付いちゃいそうだからね」
「使えねぇのな、このどチ(ガブッ)ビぃぃぃぃぃいやぁぁぁぁぁああ!!!」
フォックちゃんが我慢できなかったのか思いっきりダルさんの腕に噛み付いた。
その様子は何度見ても飽きないような気がした。
「それで、分かったことって一何なんですか?」
「別にわざわざ敬語使わなくていいぞ。どーせタメなんだしさ」
そういえばダルさんって私たちと同い年くらいなんだった。
「うん、分かったクズ野郎」
「おい、やっぱ敬語に戻すか?コラ」
「あ、ゴメンなさい!つい本音が…」
「お前、嫌なやつだな」
「ダ・メで大量の借金を抱えてル・ヤツ、略してダルに言われたくないよ〜」
「う、うるせぇー!!!」
そんな會話をしているとフォックちゃんもなんだか嬉しそうに、そして馬鹿にするようにダルを見ていた。
ダルをいじることにしだけ面白さを見出した私がいることは言うまでもなかった。
「まぁいい、じゃあ要件だけ言うぞ」
「うん…」
ちょっと張する。どんなことが分かったのか…フォックちゃんと別れてそこまで時間は経っていないはずだけどそんな短時間に分かったなら些細な報かもしれない。
けど、どんな些細な報でもアオイとスサラちゃんに繋がることだったら知っておきたい…!
そしてダルが真剣な表のまま口を開いた。
「アイツらがいるであろう場所は━━」
「「………」」
「王城『ルイム城』の地下だ」
「『ルイム城』の…」 「地下…?」
「そうだ。そこにあの魔族の男もいる」
そしてら予想外の者のことまで知らされた。
王城の地下に魔族の男…それだけでも信じ難いことだった。
「現國王のユゲルの目的は分からんがなくともその事実を知っているであろう人のスサラを捕らえることに理由は生まれる」
確かにそう考えると納得がいく。自分の都合のために父親さえ手にかけるような人だ…目的のために邪魔な存在であるスサラちゃんを捕らえる理由にもなる。
でも、気がかりな點がある。
「じゃあ、どうして魔族のヤツと一緒にいるの?」
「分からないけど王のその“目的”とやらに魔族が協力してるって可能が高い」
「たかが一國の王に何ができるっていうの?」
「分からない…ただの予想の範疇だけどそうでもないみたいなんだよ」
「それって?」
「この國にはちょうど王が変わって數ヶ月後から妙な地震と地鳴りが発生してるんだ…それはその地下が原因になってるみたいなんだ」
「原因…?」
「地下には大量の魔力が1箇所に集められているんだ」
「大量の魔力が1箇所に?全然気づかなかった」
「そりゃ外から察知されないように結界が張ってあるからな…まぁその魔力の膨張により地震や地鳴りが発生してるんだよ」
「なるほど…」
「じゃあダル、そのお城の地下に行けば!」
「あぁそうだどチビ、全てが解決できる」
それを聞いてフォックちゃんは當然のようにダルに噛み付いた。
ダルの悲鳴を聞き流しながら私はし気がかりな點について考えていた。
フォックちゃんを拐しようとした黒マントを連れ帰ったのが魔族の男だってアオイは言ってた…なくとも黒マントは魔族の男と関係があるんだと思う。
━━じゃあどうしてなんの事も知らないはずのフォックちゃんを捕らえようとするんだろ…。
そのことがどうも頭の中に居座って気のせいだと退いてくれなかった。
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