《異世界チートで友達づくり(仮)》潛①
『ここは…』
俺はどこか暗い場所にいた。何も見ることができずに全く目が慣れない。も使ったが結果は変わらなかった。
何もない場所…の覚がなくかすこともままならない。全が痺れている覚に似ていたが痛みはなかった。
「……ん…………くん」
ん?なんか聲が聞こえた気がした。どこかで聞いた事のある聲だったが思い出せない…誰だ?
「………くん、…きんか」
この聲は…確か………。
「………くん、アオイくん…起きんか、アオイくん」
『ッッ!!?』
急に景が変わった。まるで意識そのものが引き戻されたように気がついたら別の場所だった。
その場所には見覚えがあった。
いつかの見渡す限り何も無い真っ白な空間。
作戦決行日。
深夜を大きく周り日の出まで殘り1時間程という時間帯━私たちは宿屋『集い亭』2階の一番奧の部屋に待機していた。
「ふぁあ〜…眠くなってきたなぁ」
ダルが気の抜けたような聲をだした。
「そう?そこまで眠くないでしょ」
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「違うッスよベルさん、ダルは馬鹿だから頭がすぐに使えなくなるんスよ」
「おい、どチビ…お前を1人で街中に放り込むぞ」
「(ガブッ)」
「イギャァァァァァァアア!!!」
そんなやり取りを夜遅くに繰り広げていた。
今からお城に潛しに行くというのになんだか張がない…。
私たちは裝備が完するまでの間加工場の隅でなんとなくユンベット姉妹もぜた談笑をしたりして待ち、気がついたら完していた。時間でいうと3.4時間くらい経過していた。文字通り時間を忘れて楽しんでいたらしい。
外は日が沈む直前だった。
そして私たちはそれぞれの裝備をけ取った。
私の裝備は«狼ろうもうのマント»«耐火の服»«飛躍の靴»«ホーミパンツ»«狼王種のネックレス»の5つだ。
フォックちゃんのは«オールリング»«鉱龍ジャケット»«鉱龍のズボン»«メイルグローブ»の持ち込まれた素材をふんだんに使用した裝備だった。素材がなかったので助かりはしたけど後々が大変そうだ…。
試しに著てみると全部サイズはピッタリだった。
«狼のマント»はベアウルフのを使用したレザーマントのようになっていて中に著る«耐火の服»と同じく火屬制があるようだ。
«飛翔の靴»は私の元々持っていた«狼王の靴»を飛翔効果増強へと改良したものだ。空もしは飛べるらしい。ちなみに«狼のマント»と«耐火の服»は«狼王のローブ»から造られていたりする。
«ホーミパンツ»は預かった素材から造られたものだ。ショートパンツから先っぽに青い寶石のようなものがついている。この裝備には特殊な効果が付屬されているらしいが今は緒にしておく。
«オールリング»は頭、首、手首、足首に鉄製の赤いリングがピッタリに付いたもので強度を限界までつき上げることができる。«メイルグローブ»は指が出ている赤の革グローブだ。手の甲には金屬が埋め込まれている。どちらも«メタルヒュドラ»から取れる素材で造られていた。超S級指定のモンスターだ…後々が怖い。
«鉱龍ジャケット»はノースリーブの襟元と袖部分に«ミネールドラゴン»の皮が付いていて他は厚皮が加工されていた。«鉱龍のズボン»は膝下までの革ズボンで後ろにはマントのようにのびていた。
足は足だった。どうやらそっちの方がいいみたいらしい。
「本當にいいんですか…?」
予想以上の裝備のできに思わず聞いていた。
「いいっていいって〜、代償はちゃんともらうから大丈夫だよ」
「代償…」
ヒルメさんの言葉にフォックちゃんが自分の裝備を見ながら自信なさそうに言った。
「そこまで難しいお願いはしないですよ」
「そうそう、その1つ目は〜」
そうやってヒルメさんは顎に指を當ててそれから思いついたように言った。
「私たち、友達になろーよ!」
「あ、賛〜」
2人ともとてもいい笑顔で言ってきた。
「そんなことで━」 「━いいんスか?」
思わずそんな聲をもらした。
「いいでしょ?」
ヒルメさんが言った。
「それは、いいですけど…」
「違う違う」
そう言ってヒルメさんは私の口元に指を押さえてきた。
「敬語止、友達でしょ?ベル!フォック!」
顔を近づけてなんの迷いのない純粋な視線を向けてきた。
「……うん、ヒルメ」
私は噛み締めるようにゆっくりと聲にだした。フォックちゃんもどこか照れくさそうに俯いていた。
「もう1つのお願いは決まってるんだよね」
「そうね、ヒルねェ」
そう言って2人は顔を合わせてそろえて言った。
「「アオイとスサラちゃん、2人と一緒にみんなで必ず帰ってくること!」」
2人は背中を合わせて人差し指をズバリと指さしてきた。
その言葉に私とフォックちゃんは思いっきりこう言った。
「「うん!」」
その帰り道に私もフォックちゃんに言った。
「フォックちゃん、まだ初めての人は怖い?」
をビクつかせてゆっくりとこっちに視線を向けてきた。
「はい、まだ…ちょっと苦手です…」
「そっか、」
そう言って私は視線を夕暮れで紅く染まった空を見上げた。
「フォックちゃん…」
「はい、」
細々とした小さな聲だった。
「フォックちゃんは私のことが怖い?」
「ッッ!?」
驚いてフォックちゃんが目を見開いた。
「私とアオイにはまだ敬語だよね、」
「それは……」
「だからまだ私たちが怖いのかなぁって」
「………」
「…別に気にしないでいいからね、」
言葉を失ったフォックちゃんはどこかアオイに近いものをじた。
それから私たちは『集い亭』に戻ってダルと合流したのだ。
部屋に著いた時にはダルが椅子にぐったりして息を荒らげていた。
「どうしたの、ダル…?」
「ゼェゼェ…い、いや…ハァハァ、ちょっ…とな…」
汗をだらだらかいていた。そしてダルは1回だけ深く深呼吸をしてから話した。
「で、お前らのその裝備どうしたんだよ」
疲れているのか思ったよりも靜かに聞いてきた。
「『ユンベット店』で揃えて來たんだよ」
「へぇ〜、そんだけ金あるんだったら俺にも分けてくれたって良かったんじゃねぇの?」
「また借金増やすつもり?」
「うるせぇ、それよかアオイとスサラの方が大切だろ」
「それもそうだけどね…」
引きつった笑顔が顔に出た。納得できる言い訳だったのだ。
そして今にあたる。
「よし、行くか」
そう言ってダルが椅子から立ち上がった。
それに便乗して私たちもベットから腰を起こす。
「じゃ、アオイとスサラちゃんを助けに行くよ!」
「はいっス!」 「おうよ!」
そして私たちはアオイとスサラちゃんを救うために王城『ルイム城』へと向かった。
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