タクミは絶から力が抜けたように膝ひざから地面に崩くずれ落ちた。

「なんなんだよ・・ここは。俺はさっきまでコンビニに買いにいこうとしていただけなのに・・・」

タクミは再び周りを見渡した。何度見てもそこは辺り一面荒野であり、遠くのほうに小さくではあるが丘の上に建造けんぞうぶつのようなものが確認でき、その手前には森が広がっていた。そして空にはオレンジの太と見慣れない緑の月に似た星が存在していた。

「いや、太はわかるけど・・・あの緑のはなんだ？　あんなもの見たことねーよ」

タクミは見慣れない景に揺していた。そして自分の置かれている狀況を整理しはじめた。

俺はさっきまでコンビニに行こうと夜の道を歩いていたよな？そして・・・そうだ！その道で変な生きを見たんだ！

それでそいつと目があったような気がしたら急に何も見えなくなって、気づいたらここにいたんだ・・・！

「あっ！そういえば、あの生きはどこ行きやがった！？」

タクミは思い出したように先程であった謎の生きを探したが、その生きの姿は見當たらなかった

「いないか・・・くそっ！まったくわからねー！！けど、とりあえずここにずっといるわけにはいかねーし・・・そうだ！攜帯は！？」

急いで右ポケットの攜帯を取り出して確認した。

攜帯の時刻は２３時２０分を表示していたが電波は圏外の二文字を表示していた。

「時間はさっき俺が出かけた時間だよな？けど圏外かよ・・・」

試しに１１０番に電話してみたがもちろん繋がらなかった。

「なんなんだよ！まったく・・・」

タクミは先ほど視界に映った建造けんぞうぶつの方に再び視線を送った。

「とりあえずあの建みたいな所に行くしかねーよな。このままここにいてもどうしようもねーし。誰かいるかもしれないしな・・・」

タクミはおもむろに立ち上がり建造けんぞうぶつの方角へと歩き出した。

「くそっ・・あそこまで著くのにどんぐらいかかんだよ・・・こんな距離歩くのなんていつ以來だ？」

タクミは愚癡を言いながらも、この狀況を打破するために一歩一歩と足を進めていた。

「それにしても暑いな。まるで夏みたいな暑さじゃねーかよ！どっか変な外國にでも拐されちまったのかよ・・・」

そう不満そうに呟くタクミの顔たくさんの汗が滲み出ていた。

あー・・・ビール飲みたい・・・・

そんな事を考えながらタクミはただひたすらに歩き続けた。

時計で一時間以上は歩いたと思った。そして見えてきた森の中にわりと整備されている林道のようなものを確認することが出來た。おそらくここを通り道にしているのだろう。

「道だっ!!」

やっと景の変化が見れたことによってタクミの表にも笑えみがこぼれた。

「まったくどんだけ歩かせるつもりなんだよ・・・。てかどれだけ歩いたんだ俺は？」

そう言うとタクミはポケットから再度攜帯を取り出して時間を確認した。そして驚愕した。

時間の表示は先ほどと同じ２３時２０分を示したままだったのだ。

え・・・？なんで時間が進んでないんだよ！攜帯の時計が止まることなんてあるのかよ？

あまりにも異常な狀況にタクミは先ほどこぼれた笑みを一瞬で恐怖の表へと変化させた。

「本當に意味わかんねーよ！！海外で攜帯の時計が止まるなんてことあんのかよ！？てかあの緑の星もなんなんだよ！？あんなもんマジ知らねーよ！！なに？ここ地球でもないの！？どこだよ！？あーもう！全てにおいてわけわからん！！くそったれが！！！」

理解できない狀況にタクミは不満を一気に発させた。怒りを足元の小石にぶつける。タクミが蹴りつけた小石は遠くに転がっていった。

錯していたタクミだが、自分が歩いてきた背後の方からなにやら気配をじて振り返った。

そこには遠くのほうで砂煙すなけむりをあげながら何かがスゴイ速さで近づいて來るのがわかった。

「・・・ん？なんだあれ？何かこっちに來てるのか？」

タクミは冷靜さを取り戻すと自分の姿を急いで森に近づき、木影にを隠して近づいてくるものをじっと息を潛めて待った。

そして砂埃はだんだんと近づいて來た。そしてそれはすごい速さで、タクミの目の前を走り抜けていった。

タクミはその景を見て、口を大きく開け驚きを隠せなかった。

近づいてくるそれは馬車のように見えた。しかし、それを引っ張っている生きは馬ではなかった。

まるで二足歩行の爬蟲類のような姿だったが、だがそれも違った。

まるでゲームとかに出てくるような・・・そう、まるでドラゴン。ドラゴンを小さくしたような生がそこにはいたのだ。小さいといっても大人の男くらいの大きさは余裕である。

「なんだよ・・・あれ？あんな生き見たことねーよ・・・」

タクミは走り去ったそれを見てある一つの考えにたどり著いた。

「攜帯の時計が止まったことにしても、あの星とか・・・今の変なドラゴンみたいなやつだってなんなんだよ？俺あんなもん知らねーもん・・・絶対ここ日本・・・てか地球じゃねーよ！！ありえねーだろ！！」

その答えにたどり著くと同時に、タクミはを潛めていた木に背中をつけ足の力が抜けたように地面へと座り込む。

「ハハッ・・・なんなんだよ・・なんで俺がこんなことにならなくちゃいけないんだよ！俺がなにしたって言うんだよ！ホント勘弁してくれよ！」

タクミはもはや涙目になりながら地面を絶を右のこぶしに乗せて毆った。

「いてぇ・・・ちくしょう！」

思いっきり毆った拳はしの滲にじんでいた。それを見てタクミは育座りのような姿勢で頭を抱え自分の両膝へとつける形で丸まり深くため息をついた。