《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》一章 6 『赤と緑の出會い』
 「・・・ん、もう朝か」
まだ開ききってない瞼を右手でこすりながらタクミは目を覚ました。
そこには太とあの緑の月以外何もない、快晴が広がっていた。
「ふぁーあ・・・さてと、ここからどーしようかね」
タクミはあくびをしながら起き上ると周りを見渡した。
昨夜フェルが去っていった後、いろいろと魔法を使おうと試行錯誤したタクミだったが果は何も得るものはなかった。そして疲れ切ったタクミは近くの木で野宿したのであった。
「ったく、あのフェルとかいうヤロー。自分の言いたいこと言ってさっさと帰りやがって。結局どーしたらいいのかわかんないままじゃねーか・・・」
昨日のフェルの言葉を思い返してみた。
---魔法を覚えていけば元の世界に戻れるかもしれない---
その言葉が印象強く希としてタクミの中に刻み込まれた。
「まずはこの魔法の力をどーにか使えるようにするしかないな。そしてその力でもといた世界に帰ることを目標にするしかねーよな・・・」
Advertisement
タクミはこぶしを握りしめ決意をした。
・・・グーー・・
決意とは無関係に腹は減るものである。
「あーー・・そういえば腹減ったなぁ。もうしばらく何も食べてないな、魔法覚える前に食いをどーにかしないと死しちまうよ。そんなの笑えねーよ」
「とりあえずは人が沢山いる・・町みたいなところを探すか。まずは報収集しないとな!」
そう考えたタクミは昨日フェルを追いかけ走ってきた道をまた戻り始めた。
「昨日は必死にフェルを追いかけてたから気にならなかったが、結構な距離があった気がするけど・・・」
タクミはまた歩かなければならないと思い深いため息をついた。
「まあ、しょうがねーな。とりあえずは行かねーとなんも始まらねー・・・」
・・・グルル
・・・ん?
今度は腹が鳴る音ではなかった。
後ろの方から聞こえてきた音に、タクミは嫌な予がしながらもゆっくり音の正を振り返り確認した。
いた。そこにはたしかに{何か}いた。
{何か}というのは、ただタクミがそれをなんと呼ぶことが正しいのかわからないので{何か}という表現になってしまった。
それは犬でもなければ貓でもない狐でもなければ熊でもない。だがこんなものは園でも図鑑でも見たことはなかった。
四足歩行ではある。尾もある。だが口が二つある。顔から下半分が左右に分かれていてその両方に鋭い牙を備えている。牙からはよだれが垂れていた。
ぎょろりと黃い目玉をクリクリさせながらも息を荒くさせ緑の鱗うろこを纏ったを上下させてタクミをいかにも襲わんと興している様子だった。
この生きを表現する言葉はタクミにはこれしかなかった。
・・・化けっ!!!
そう思った次の瞬間には振り返り、本能的に命の危機を察して一目散に走りだした。
後ろからはさっきの化けが追いかけてきているのがわかった。見て確認せずともわかった。
昨日は追いかける立場で走ってきた道を、今度は追いかけられる立場で走ることになったタクミであった。
「はぁ・・はぁ・・・なんなんだよ次から次へと!!」
走りながらタクミはこの狀況を嘆きんだ。だが走る足を止めはしなかった。
わずかに走る速度はタクミの方が早いようだった。徐々に距離は離れたが完全に振り切るにはいたらなかった。
後ろのそれは相変わらずタクミを狙い追いかけていたのである。
タクミの視界に開けた道が見えてきた。だが道に出たところで後ろのこいつをどうにかするをタクミは思いつくこと出來なかった。
だがそれでも止まるわけにはいかないので走り続けたタクミは道に飛び出した。
ヒヒィィン!!
聞きなれた鳴き聲が左の方から聞こえた。
そこには荷車を引いている馬がいた。これはタクミも見たことのある生きだった。
「危ないじゃないか!!そんなところからいきなり飛び出したりしたら!!」
馬の手綱を握っていた口元の髭が特徴的な40代ほどの男がタクミに大きな聲で注意した。
「はぁはぁ・・すまねー!っていうか助けてくれ!!なんか変なのに追われてるんだ!!」
タクミは息を切らしながらも、やつが追ってきている方を指さし助けを求めた。
それと同時に後ろの荷車の仕切りが開いた。
「どーしたのマルク?急に止まったりして?何かトラブル?」
中から赤い髪をした若いが顔を覗かせ男に問いかけた。
「あ、すいませんローゼお嬢様。いや急に森から人が飛び出してきましてね」
そんなやりとりをしている間にさっきの化けが追い付いてきた。
---グルルルル
森の中から姿を現した化けは相変わらずタクミにたいして、今にも襲いかかろうとする勢いである。
「くそっ!追い付いてきやがった!こっちに來るんじゃねー!」
タクミは恐怖からその場にしりもちを著き後ずさりした。
「あら、モンスターに襲われていたのね」
そういうと狀況を察した赤い髪のは、右手の人差し指を向けその指先にポッと野球ボールほどの大きさの赤いの玉を作り上げた。そしてそれを追いかけてきた化けに向け放った。
赤いは化けの目の前に落ちると大きな乾いた音と共に弾けた。地面にし焦げた跡が出來ていた。
その様子に驚いた化けはさっとそのをひるがえし森の中へと逃げていった。
「すまねぇ・・・助かったよ!」
「いいえ。このくらいたいしたことはないわ。それよりもケガはない?」
赤い髪のはやさしく微笑みタクミに問いかけた。
こうしてタクミは偶然か運命か、なんとか命拾いをすることが出來た。
そしてこれがタクミとローゼの初めての出會いとなった。
【書籍化&コミカライズ化】婚約破棄された飯炊き令嬢の私は冷酷公爵と専屬契約しました~ですが胃袋を摑んだ結果、冷たかった公爵様がどんどん優しくなっています~
【書籍化&コミカライズ化決定しました!】 義妹たちにいじめられているメルフィーは、“飯炊き令嬢”として日々料理をさせられていた。 そんなある日、メルフィーは婚約破棄されてしまう。 婚約者の伯爵家嫡男が、義妹と浮気していたのだ。 そのまま実家を追放され、“心まで氷の魔術師”と呼ばれる冷酷公爵に売り飛ばされる。 冷酷公爵は食にうるさく、今まで何人もシェフが解雇されていた。 だが、メルフィーの食事は口に合ったようで、専屬契約を結ぶ。 そして、義妹たちは知らなかったが、メルフィーの作った料理には『聖女の加護』があった。 メルフィーは病気の魔狼を料理で癒したり、繁殖していた厄介な植物でおいしい食事を作ったりと、料理で大活躍する。 やがて、健気に頑張るメルフィーを見て、最初は冷たかった冷酷公爵も少しずつ心を開いていく。 反対に、義妹たちは『聖女の加護』が無くなり、徐々に體がおかしくなっていく。 元婚約者は得意なはずの魔法が使えなくなり、義妹は聖女としての力が消えてしまい――彼らの生活には暗い影が差していく。
8 193【書籍化/コミカライズ決定】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
8 62見える
愛貓を亡くして、生き甲斐をなくした由月。ひょんなことから、霊が見える玲衣と知り合う。愛貓に逢いたくて、玲衣に見えるようになるようにお願いする由月だか、、玲衣には秘密が、、
8 198転生先は現人神の女神様
結婚もし、息子と娘も既に結婚済み。孫の顔も見たし、妻は先立った。 89歳の生涯……後はペットと死を待つだけ。 ……だったはずなのに、現人神の女神に異世界転生? お爺ちゃんはもういない! 今日から私は女神様。 精霊が暴れてる? そうか、大変だな。頑張れよ。 人間は神々に選ばれた種族だ? 何言ってんだこいつ。 助けてくれ? 國が大変だ? おう、自分の國ぐらい自分達でなんとかしろ。 可愛い精霊達の為に未開の地開拓しよっと。 ハーレム? 逆ハー? 他所でやれ。お前の息子? いらねぇよ帰れ。 見て見て! 魔法使えば川で海上スキー的なのでき……へぶぅ!? そんな女神様の話。 あらそいは どうれべるでしか おこらない by めがみさま どう足掻いても主人公最強。 ※ 初めての投稿、どころか初めて小説を書きます。 2017/07/02 なんとなくあらすじ変更。 2017/07/07 完結しました。
8 95ドン底まで落ちた私
25歳でドン底を見た私がもう一度這い上がる為の決意をする話
8 73覇王の息子 異世界を馳せる
官渡の戦いで曹操、討ち死に!? 袁紹軍に包囲された宮殿。曹操の後継者 曹丕は死を覚悟していた。 しかし、袁紹軍の包囲網を突破し曹丕を救った者がいた。 その者の名前は関羽。 夜通し逃げ走った2人がついた先は 魔法と呼ばれる幻術が存在し、モンスターと呼ばれる魑魅魍魎が存在する世界だった。 そんな世界で曹丕は、覇王として復権を目指して進んでいく。
8 100