《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》一章 12 『闇夜を照らす業火』
「へへっ、ここ數日で追いかけるのも追いかけられるのも慣れてきたんだ。とりあえず大通りまで逃げればなんとか・・・え?」
黒マントから逃げようとダッシュした次の瞬間何かに躓つまづいたように転んでしまった。
自分の足を確認してみるとタクミの左足が手に摑つかまれていたのである。しかしその手は普通の手ではなく地面の土が手の形になり左足首を摑んでいた。
「逃がさん・・・」
黒マントは右手をタクミの方へばし、からは何やらオーラのようなものを放はなっていた
この世界に來て二日、さすがのタクミもこれが黒マントの魔法だとすぐわかった。
しかし敵意のこもった魔法をけるのは初めてである。自分の足首を摑む土の手をもう一方の足で蹴るが手はタクミの足を離そうとはしなかった。
「ちくしょう!なんだこの手は!離せよ!」
「そうはいかん。お前のを調べさせてもらう」
そう言いながら黒マントがゆっくりとタクミの方へと近づいてくる。マントの隙間から真っ赤な鋭い瞳が見えた。
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「っ!?・・・やめろ!さわるな!」
タクミは両手をバタバタさせ抵抗して見せた。そんなのお構いなしで黒マントの右手がタクミのにふれようとした時、黒マントが何かに気づきタクミから離れるように後ろへ飛んだ。
次の瞬間赤い閃がタクミの前を駆け抜けていった。
「これは・・・!?」
その赤い閃に見覚えがあった。飛んできた方を見るとそこには白いローブを著ているローゼが立っていた。その後ろにはマルクもいた。
「・・・ローゼ!?」
「マルクに起されて後を追ってみたらどういう狀況よ!?だいたい何勝手にうろうろしてんのよ!ねぇ、タクミ!?」
ローゼがタクミを睨にらみつける。なかなかの怒りっぷりである。
「すまん!それについては後でちゃんと謝るから!とりあえずあいつになんか知らんが襲われてるんだよ!」
「まったく・・・まぁ今はその話はいいわ。そしてそこの黒いの、あんたどういうつもりよ?」
ローゼの睨みが黒マントの方へと逸それる。
「その赤い髪にその手の紋章・・・ベルトール家の娘か。悪いが今お前にかまってる暇はないのだよ。私が用があるのはそこの男なのだから」
「あんたが用がなくても私にはあるのよ。あんたね?晝間ウインズが言ってた噂の原因は?」
そういうとローゼはタクミの方に歩いてきて紋章の描かれた右手をの前に握り呪文のようなものを唱えた。
「ベルトールの名において命ずる。我が中に眠りし業炎ごうえんの力よ、今その力をここに示せ!」
ローゼが呪文を唱えると右手の紋章と同じものがローゼの足元に複數の火柱と共に出現した。右手の紋章も赤いを強く放っている。
火柱はまるでロープのように渦巻きながらうねりをあげている。一気に路地裏がローゼの炎のおかげで明るくなった。
これが紋章の力なのか・・・すごい迫力だ。
タクミは左足を土の手に握られていたままだったが思わずローゼの魔法に圧倒されていた。
ローゼが人差し指をタクミの摑まれている左足へと向けると火柱の一本が一瞬で土の手だけを燃やし盡くしてしまった。
「マルク、タクミをお願い!」
「かしこまりました。」
マルクがタクミに駆け寄り自分の肩をタクミに貸した。マルクに支えられローゼの後ろへとタクミも避難した。
「さて、次はあんたの番よ。焼かれる前に観念した方がいいわよ?」
「ふん、若いだけあって威勢いせいがいいな。だが悪いがここで捕まるつもりはないのだよ。」
「逃がすわけないでしょ!」
ローゼが右手を黒マントの方へとばした。
周りでうねりをあげていた複數の火柱が一気に黒マント目がけて向かっていった。
次の瞬間、地面から分厚い土の壁が火柱と黒マントの間に出現した。しかし火柱は土の壁をいとも簡単に々に砕いた。だがそこに黒マントはいなかった。
「ふふ・・・そんなに焦らなくともまた會うことになるだろうよ」
黒マントはいつのまにか塀の上にいた。そして塀の向こう側へと飛び降りその姿を消した。
「あ、待て!」
ローゼも空中にいくつもの炎の足場のようなものを作り、塀の上まで後を追った。
しかしどうやら黒マントの姿を見失ったようだった。
「あーもう!逃げ足の速い奴ね!次會ったら容赦しないんだから!」
そう言いながらローゼは元いた路地裏に飛び降りてきた。
「ヨイショ・・・さてタクミ?どういうことか説明してもらおうかしら?」
どうやらまだローゼの機嫌はまだ悪いようだった。
「あ・・・いやー・・・ホントすまない!」
タクミは両手を合わせ頭を下げた。
「ったく!私たちが間に合ったから良かったもの。あのままだったらどうなっていたかわからないのよ!」
まるで小さい子どもを叱るかのようにタクミを叱った。
いや、まったくローゼの言う通りだった。魔法の力の前に改めて自分の無力さを認識した。
タクミがジタバタしてもあの土の手はビクともしなかった。
あのまま、あの黒マントに捕まっていたらどうなっていたかはわからない。正直死ぬことさえ頭をよぎった。
「まぁ、とりあえずタクミにケガも無いようだし無事でなによりよ。さっ!宿に帰りましょうか!」
ローゼの表がしかめっ面からいつもの笑顔に戻った。
こうして三人は路地裏を後にした。
宿に帰るとローゼ達に事とことのり行きを説明した。そしてまた謝罪をした。
「・・・っていうわけなんだ。だからすまなかった!」
「大事はわかったわ。だからもう頭をあげてちょうだい。もう怒ってないから」
迷をかけまいと一人で行したことがかえって裏目に出てしまいタクミは落ち込んでしまった。
「今日はもう遅いから明日また話しましょう。おそらくもう大丈夫だとは思うけど、一応用心してね。何かあったら私を呼ぶのよ?それじゃあ、おやすみなさい」
ローゼはそう言い、笑顔を見せ自分の部屋へと帰っていった。
タクミもベッドに橫になった。正直もう々ありすぎてヘトヘトだった。
また黒マントが來るかもしれない不安にも襲われたが疲労の方が勝ってしまいすぐに深い眠りについてしまった。
こうしてタクミの長い異世界生活二日目が終了した。
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