《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》二章 12 『まぬ再會』

「タクミさん、起きてください。」

シュウにを揺さぶられ目を覚ますタクミ。

「ん・・・もう朝か。起してもらって悪いな。」

「いえ。それよりもタクミさんも早く準備した方がいいですよ。」

タクミが目をこすりながらを起こすとドズールがテントの中に顔を覗かせる。

「やっと起きたかタクミ。なんだ寢不足か?しっかり休息をとるのも大事な仕事だぞ。」

俺が寢不足なのは誰のせいだよ!

タク心の聲でツッコみを返しながらも準備をして外に出た。外はし明るいが、生憎のどんよりとした曇り空だった。いつ雨が降ってきてもおかしくないといった雰囲気である。

「なんか嫌な天気だな・・・」

空を見上げポツリとこぼすタクミ。

を片付け出発の準備を整えるタクミ達。全員でグリドラに乗り込みウルガンドを目指した。今日もグリドラは元気に駆けていく。

「どうしたのタクミ?寢不足?」

まだ眠そうなタクミにレミが聲をかける。

「ん?ちょっとテントにクマが寢ててな・・」

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「クマ?どういうこと??」

「いや、なんでもないよ。それよりもレミはちゃんと寢れたのか?」

「私?私はばっちりだよ!まあエリーさんとしお話ししてたんだけどね。」

「へぇ。何の話してたんだ?」

「それはの子同士の話って々あるんだよ。ねぇ?エリーさん?」

「フフフ。そうねレミちゃん。」

レミが振り返りエリーに同意を求めた。これに優しく微笑み答えるエリー。

「なんだそりゃ。意味深だな。」

「タクミは気にしなくていいんだよ!」

舌を出して笑うレミ。

「さてと、皆いいか?」

しばらく走り続けていたらドズールが床に地図を広げて皆に話しかけた。皆が地図を囲むように座った。

「今俺たちが走っているところがだいたいこの辺りだ。」

地図を指さすドズール。

「このまま行けばもうすぐウルガンドの領地にる。その前に領地の境界近くに村がある。まずはそこで報を集めることとする。主に邪神教徒についてとウルガンドの勢についてだ。村に近づいたらシュウは索敵の魔法を使ってここに敵がいないか調べてくれ。」

「わかりました。」

「頼んだぞ。ここからは戦闘がいつ起きてもおかしくないから皆の者も準備を怠らないようにしてくれ。」

いよいよローゼのいるウルガンドに著く。そう思うとの中からこみ上げる何かがあった。

張しているのかい?」

アトスがタクミに聲をかける。

「いや張というよりは、なんすかね。武者震いってやつですかね。」

「そうかい。戦いが起きないにこしたことはないが、今はそんな悠長なことも言っていられないのが現狀だ。タクミ君もしかりだが他の皆も十分に気をつけてくれ。」

「その通りだ。アトスとエリーも皆の援護を頼む。さてとそろそろ村に近づく頃だろう。まずはグリドラを近くに隠しておこう。」

グリドラを近くにあった巖に止め、念のため他からは見えないように景に同化する魔法をエリーがグリドラにかけた。

「ここからは歩いて移するぞ。シュウ辺りに敵の姿はないか?」

ドズールが言うとシュウは以前と同じように片目を手で隠して周りを調べた。

「・・・・ええ。今この周辺に怪しい影はありませんね。村も確認できました。」

「そうか。まずは村に行くこととしよう。俺とシュウが先頭で歩いていく。そしてタクミ、レミ、エリー、ジークそした最後をアトスが警戒しながらついて來てくれ。」

「了解。」

全員がドズールに返事をした。皆引き締まった表をしている。

しばらく歩いていくと村が目視で確認できるとこまで來た。再びシュウが索敵の魔法を使う。

「・・・変ですね。」

シュウが何か異変に気付いたようだ。

「敵のようなものも確認されませんが、村人たちの影も確認できませんね。」

「なに?それってあの村に誰もいないってことか?」

タクミがシュウに確認する。

「ええ。まるでもぬけのからといったじです。どうしますドズール隊長?」

「そうだな。まずは村にってみるか。今は敵の姿は確認できないが各々警戒を怠るなよ。」

村に到著するとそこにはホントに誰もいなかった。いくつかの建や家を調べてみたが誰もいなかった。

「この狀況どうおもいますか?ドズール隊長。」

アトスがドズールに聞く。

「そうだな。最近まで生活していた跡もないし、村人全員がどこかに連れ去られたと考えるのが自然だろう。しかしこのままでは何も報が得られないな。」

「邪神教徒の仕業なのか?」

タクミが口を開く。

「まだそれは斷定はできん。しかしこれは明らかに異常事態だ。・・・ここからはグリドラを使わずウルガンドへと近づくことにしよう。いざ戦闘になった時移手段を失うことは出來ないからな。」

「それなら俺がフライの魔法を使って先にいくのはどうだ?」

「タクミ、お前浮遊魔法も使えるのか?」

タクミの提案に目を丸くして驚くドズール。

「え、別に隠すつもりはなかったんだけど・・・何?もしかして変なこと言った?」

「タクミ・・・浮遊系の魔法はかなり習得が難しい高等魔法なんだよ。それを知ってたらもっと作戦の幅も広がっていたと思うけど。」

あきれた様子でレミが言う。

「そうなの?バズドーとかも浮いてたから割とみんな使えるもんなのかなと。」

「あのねぇ、狂魔六將が使える魔法を當たり前と思わないでよね。まったく・・・」

「まあまあ、レミ良いじゃないか。そしてタクミはどのくらいの高さまで飛べるんだ?」

「そうだな。ちょっと飛んで見せようか?・・・フライ!」

タクミはその場で垂直に空へと飛びあがった。とりあえず10メートルくらい飛んですぐ降りた。

「よっと・・とりあえずあのくらいなら難なく飛べるよ。」

「うむ。充分だ。・・・それでタクミは上空から辺りの様子を探ってくれるか?我々も地上から索敵を続ける。これをもっていけタクミ。」

そういうとドズールはタクミに緑の小さい魔法石を渡した。

「これは?」

「それは魔法騎士団の通信手段に使われるものだ。何かあればそれで報告しろ。ただしあまり離れすぎると屆かなくなるから気をつけるんだぞ。よしエリー、タクミに景との同化魔法をかけてやってくれ。」

「わかりました。・・・アシミレート!これでタクミくんの姿は私たちに以外には認識されなくなったわ。でも気をつけてね?あくまでも普通にしてたら気づかれないけど魔法による探索や魔力の高い者には気づかれる可能があるからね。」

「わかったよ。ありがとうエリーさん!じゃあちょっと辺りを調べてくるよ。エリーさんたちも気をつけて!・・フライ!」

タクミは再びそれへと飛び立った。村の周りには特に何もなく。遠くの方に小さく城壁のようなものが見えた。

「あれがウルガンドだな。飛んで行けないこともないが一人で行くわけにもいかないし、まずは辺りの調査だな。とりあえずあの森の方へ行くか。」

村とウルガンドの間にはアーバンカル周辺と同じように森が広がっていた。森の方へと飛んでいくタクミ。なにか手掛かりをつかもうと空から地上を見渡した。しかしこれと言って変わったところは見つからなかった。

「くっそー・・・なんも手掛かりになるのが見つからねーじゃんかよ。どうなってんだよまったく。・・・・ん?なんだあれ?」

ふと森の隙間から人影が見えた。タクミはし離れたところに著地して気配を消して人影へと近づいた。

そこには二つの黒いマントを被っている影がいた。なにやら會話をしているようだった。しかし聲が小さくてはっきりと會話の用までは聞き取れなかった。

「なんだあいつら?いかにも怪しいカッコしやがって・・・ここじゃ何言ってるかわかんねーよ。もうちょっと近づくか。」

もっとちゃんと聞き取ろうと近づくタクミ。そのとき地面に落ちてい木の枝を踏んでしまい枝の折れる音がした。

「誰だ!?」

マントの男が音に気づき振り返る。

「やべっ!」

おもわず聲を出してしまったタクミ。

「そこに誰か隠れているな?おとなしく出てこい!」

タクミは木で口を手で押さえて息をひそめた。

「出てこないつもりか・・・ならば無理やりにでも出てきてもらうぞ。」

そういうと黒マントはなにやら魔法を使う様子を見せた。

くそっ・・もう戦うしかなさそうだな。

タクミが覚悟を決めた時二つの黒マントの後ろからもう一つの影が現れた。

「どうした?」

なにやら聞き覚えのある聲のような気がした。

ん?今の聲どっかで聞いたような・・・?

タクミが聲の主を確認しようとしたが顔は隠れていてわからなかった。さっき魔法を使おうとした影が振り返った。

「これはベルモンド様。なにやら人の気配がしたものですから。」

「ほう。しかし今はウルガンドを上するための準備中だ。あまり騒ぎは起こすなよ。」

「はっ!」

こんな會話をしている黒マントの集団。その姿とさっきの聲を聞いてタクミはふと思った。

あいつ、もしかしてあの時俺を襲ってきた奴じゃないのか?

タクミがそう思った時、再び聞き覚えのある聲の主が口を開く。

「それにもうすぐあのベルトール家も我が手中に落ちるところなのだからな。」

・・・ベルトール家?ってあのローゼの家系だよな?

その言葉を聞きおもわずタクミは飛び出した。

「お前ら!いったい何者だ!?今の話について詳しく教えてもらおうか!?」

エリーにかけてもっらた魔法を解いて三人の前に姿を現したタクミ。タクミの姿をみて一人が驚く。

「な!?やっぱり潛んでいたな?お前こそ何者だ?」

「俺は魔法騎士団だ!それよりも奧のお前!今ベルトール家って言ってたよな?どういうことだ!?」

タクミがそう言うと奧の者が頭にかぶったマントを剝いで顔を見せた。中から現れたのは茶の髪と顔の右半分に刺青のってる男だった。そしてその眼はあの日、タクミが襲われたときに見た鋭い赤い目をしていた。

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