《戦力より戦略。》火矢の火ってよく消えないよね

「リブレさーん、戻ってきてくださーい」

はっ!

マレイユさんがかっこよすぎて呆けてたわ。

「じゃあ、マレイユさん、レインに分けてもらってもいいか?」

「えぇ。レインさん、制に気を付けてくださいね」

「ちなみに制ミスるとどうなるんだ?」

「そうですね。なんと表現していいのか……。敢えて言うなら、散ですかね」

……えーと。

「なにが?」

がです」

リスク高いなおい。

「大丈夫か? レイン」

「正直大丈夫ではないですけど……。どうせ負けたら死ぬんで頑張ります」

いいのやら悪いのやら。

「じゃあ、頼むぞ」

「はい、任せてください」

マレイユさんがレインの肩に手を置き、MPを譲り始めると、レインのり始めた。

へー。

自分の容量キャパ以上のがはいるとそうなるのか。

見てる場合じゃない。

「キラ、この國の主武は?」

「基本的には矢だね。この國の城壁は高いし、撃ち下ろすのに好都合だからね」

確かに。

「在庫の矢の3分の1でいいから火矢にしてくれ」

「火矢ってなんだい?」

なるほど。

そっからか。

「矢の矢の部分を油が染み込んだ布とかにするんだ。撃つ前に點火すれば火をまとった矢のできあがり」

「なるほどね。でも在庫のことは気にしなくていいんじゃないかな」

「なんでだ?」

「ハンネ君に任せればいい」

なるほど!

「で、あたしはなんで呼ばれたの?」

虎族との戦いの時の疲弊から回復したハンネがぐちぐちいいながらやってきた。

「悪いな。また倒れるかも」

「……嫌なんだけど」

しょうがないだろ。

頑張ってくれ。

「やることはわかった。でも今じゃなくていいだろ? あんたの策が外れてからでもあたしは間に合うからね」

「了解。頼むぞ」

「こっちの臺詞だね。あんたがしっかりやればあたしは何もしなくて済む」

確かに。

「リブレさん……。そろそろ限界です……」

さっきよりもってるレインがぎりぎりだと主張してくる。

「レイン、いつもよりも神々しいぞ」

「余計なこと言ってないで! どこにすればいいんですか!!」

まだまだ元気なようだ。

「発生場所が見えればいいんだよな?」

「そうですけど……」

ならいけるだろ。

俺の得意魔法ステッド・ファスト。

いやまあ使用頻度が高いってだけなんだけど。

これについて獨自に研究していたことがある。

原理についてだ。

この世界はゲームの世界だ。

キラの高速移や、ケインのレーザーなど、科學で言い表しようのない現象も多々ある。

しかし、ある程度までは俺の知識が通用することも硝石の件でわかっている。

ならば、相対位置の固定、これはどういった仕組みでり立っているのか。

俺は仮説を立てて、実験していた。

仮説とは、『一定範囲の質の度を極大化しているのではないか』というものだ。

本當の意味で相対位置の固定をしているなら、キラの攻撃すら通さないはずだが、そうではない。

ならこういうことかなーって思ってやってみたらあってたのである。

度が違うなら、起こる科學現象がひとつある。

『全反』だ。

これは二つの度の異なるものの間で起こる、ある角度より大きい角度から境界面を見ると向こう側が見えず、代わりに鏡のように反したところが見えるというものだ。

これを空のある一點に適用。

たぶん現実的ではないんだろうけど、まあそこは異世界補正でなんとか! って思ってたらできた。

二つ名ダブルの影響かな?

「レイン、あの辺りだ」

「あそこでいいんですね!? いきますよ!」

やっと解放される! ってじでびながら答えるレイン。

「エクス・ミスト!」

レインの魔法の発により、砂漠に霧がかかるというあり得ない事態が目の前に出現した。

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