《戦力より戦略。》魔王って実はいっぱいいるよね

三度意識を取り戻した魔王が數日ぶりにぎりぎりの理も取り戻して俺の前で口を開く。

「まぁ、まがりなりにも俺の攻撃をかいくぐって俺に一発いれたのは褒めてやる。お前は自分の分というものをよくわきまえているようだ」

…そう?

俺個人の意見としては魔王と立ち合っている時點で不遜にもほどがある。魔王とは「魔界」という世界の王であり、國王などとは格が違う。正にその世界の絶対者なのだ。

「…話を始める前に一つ訂正しておく。魔王とはただの呼稱でしかない」

…ん?

考えをさらっと読まれてることに関しては今さら疑問すら覚えない。世界の序列26位程度のカイルが制限はあるものの未來予知なんていう公式チートを使っているのだ。魔王がどんな力を持っていようがもはや考える意味もない。

しかし、魔界の王たる魔王の名がただの呼稱とはこれいかに?

全くわかっていない俺に対して魔王様が直々に教えてくれる。ため息じりに。

「俺が魔王と名乗っているのは、たまたまここが魔界であって、たまたま俺がその主として君臨しているのを見た他の神ばかどもが呼び始めたからというだけだ。例えば他の世界も「魔王」は存在する。それも複數な。圧倒的個人がいたら「魔王」と呼びたがるのはお前らの世界の常識だろう」

あー、確かに。ゲームとかでもなんか一番偉い奴の下に4人やら6人やらで魔王っていたわ。そっか、あいつらも十分魔王だ。

「あれ?お前らの世界?」

ヘスティアの世界ではそんなこと聞きもしなかった。さっきの納得も俺の暗黒時代引きニートのときの知識に基づいている。

「俺の元の世界を知ってるのか!?」

「あ?當たり前だろ?俺は生と死のバランスを任されてるって言っただろうが。俺がその世界のことを知らないでどうする」

いや、そう言われればそうな気がしなくもないんだけど…。

「ってことは俺が元の世界に戻るってことは可能なのか?」

「いや?多分それは無理だ。お前らの言うところの神がお前をあっちにやったからな。すでにお前はあそこの住人じゃねぇ」

「ひどっ!」

なに勝手に人を他の世界にやっちゃってるわけ?いや、別に未練があるとかじゃないけどもうちょっと配慮しない?

「まぁいいだろそんなことは。俺もあいつらは好きじゃねぇしな」

そんなこと…。

「改めて自己紹介しておく。俺はアンリ。アンリ・エンマ。この世界の王であり、世界を持つ神の一人でもある」

ファミリーネームがエンマなの!?ってことはリオンはバンフリオン・エンマか…。

「あ、リブレって言います。えっと、ヘスティアさんの世界から來ました」

自分で言いながら思うが、世界から來たってなんだよ。

「世界を持つ?」

俺はアンリが言った引っかかった言葉を復唱する。

「あぁ。俺たちは自分の世界を持っている。例えばだが、お前らの星を誰かが統一したとする。すると、そいつはその世界の王になるわけだ」

まぁそうだな。他に生命がいるのかもはっきりしてないし。

「ただし、そいつは所詮、中の奴だ。外から世界を俯瞰できる俺たちには遠く及ばねぇ」

なるほど。確かにそりゃそうだ。

「ってことはアンリさんやヘスティアさん、あとは俺がいた宇宙とかを作ったやつがその世界の持ち主って考え方になるわけか」

「その通りです」

ふいに後ろから肯定が聞こえたので振り向くと、そこにはヘスティアさんが立っていた。

「なんで!?」

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