《異世界スキルガチャラー》300連目 ガチャアップデート第1弾!

「……ん、ここは?」

啓斗が目を覚ますと、そこはベッドの上だった。

「良かったぁ、目が覚めたんだね!」

ベッドの傍に座っていたルカがガバりと抱き著いてくる。

「ぐぇっ……息できな……死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬって!」

「あ、ごめん!」

啓斗の必死の抗議にルカは手を離す。

の狀態を見ると、服裝はこちらに來た時の私服と変わっていないが、両腕は包帯でグルグル巻きになっている。

すると、ディーラが部屋にってきた。

「お、良かった。ケイト君、気がついたんだな」

ホッとした顔のディーラに軽く會釈する。

「いや、しかし驚いたよ。君達を探しに行こうとしたら顔を涙でグズグズにしたルカが走ってきてね」

そこでルカが顔を真っ赤にして俯く。

「ただ事じゃないと思ってあの不思議な地図を見ながら急いで向かったら……」

ディーラは表を真剣にしてこう言った。

「君は塗れで倒れていたし、しかもフォレストウルフの群れが7匹全部死んでいたんだ。塗れになっていたり、大量の火傷を負ったりしてね」

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そう言われてようやく、ルカを逃がした後の記憶が蘇ってきた。

(そうだ、確か作が覚束おぼつかなくなって、途中から……)

彼は、4目の狼を倒したあたりから【緋ノ銃弾】の制が効かなくなり、Nスキル火炎魔法【ブレイズ】や、同じくNスキルで風圧で敵を吹き飛ばす魔法の【ブラスト】等をしてなんとか全滅させたのだ。

そして最後の一匹を倒すと、失によるに包まれそのまま気絶してしまったのだ。

「……ルカ!お前、本當にとんでもないことをしてくれたな!」

怒り心頭といった面持ちでディーラが思い切りルカの頭を叩く。

「いいか!ケイト君は大事な客人なんだぞ!それを「狼湧き」の時期の森深くに連れ込んで大怪我をさせるとは!どういうつもりだ!!」

更にディーラはルカを怒鳴りつける。

「いいか!昨日・・の祭りだってあの狼共を近づけないためにわざと騒いでいた・・んだ!お前ももうすぐ17なんだから理解しているはずだろう!」

さっきまで赤くなっていたルカの顔は今度は真っ青になっており、こまって小聲で

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

と繰り返している。

「ディーラさん、もとはといえば俺がしっかり止めなかったせいで起きたことですから、ルカを責め立てないで下さい。ほら、ルカも泣きやめよ。俺は死んでないし、傷も大したことないんだから」

啓斗は出來る限りの穏やかな聲でディーラを止め、ルカをめる。

「だがケイト君!」

「ディーラさん、この傷は自業自得なんです。ボーッとしてしっかりしてなかった俺が悪い。それでどうか納得して頂けませんか?」

ディーラは、啓斗のどこまでも穏やかな笑顔に気圧された。

「……そうか、ケイト君本人がそこまで言うなら」

ルカは逆に、その聲で余計に涙腺が崩壊した。

「あ、うう……ケイトぐん…ごめ…なさ…うううう…」

そしてルカは泣きながら走って部屋から飛び出していってしまった。

啓斗とディーラが同時に手をばしたが、二人とも彼を止めるには遅かった。

々唖然としながらも、啓斗はディーラに話しかける。

「……ところで、ディーラさんさっき昨日・・って言いました?」

「ああ、言った。君が塗れで気絶してから丸一日経っている。祭りももう終わってしまったよ」

心底殘念だ、という顔でディーラは言う。

しかし、啓斗の意識に昇ったのはその事ではない。

「ディーラさん、僕の腕時計取ってくれますか?」

「ん?これか?どうした?」

訝しげな顔をしながらディーラは啓斗に腕時計を渡す。

啓斗は腕の痛みに顔を顰しかめながら、ガチャ畫面を呼び出した。

「……なんだこれは?」

ディーラは驚きのあまり口が半開きになっている。

「これのおで僕は狼の群れから生き殘れたんです。これを使えば、腕の傷もすぐに治せるかも……」

そう言ってガチャを回そうとした時、

『ちょっと待ったー! はい、どーも啓斗様、再びお目にかかりましたね。ナビゲーターです』

『今日からはこんな風にデジタルなじでお話しますから宜しくお願いしますー』

あの「ナビゲーター」の立ホログラムが現れる。

『はい!散々な目にあった啓斗様にいいご報告がございます!』

『なんと!スキルガチャがアップデートされました!』

『アップデート容は!「ジャンル指定ガチャ」でーす!これを使えば狀況打開が楽になる……かも!是非お試し下さい!』

『ちなみに今回はアップデート第1弾です!第2弾もお楽しみに!』

喋るだけ喋りまくってナビゲーターは消えていった。

ナビゲーターが消えた後のガチャ畫面を見てみると、ガチャに項目が追加されていた。

「アタックスキルガチャ」、「ディフェンススキルガチャ」、「リカバリースキルガチャ」、そして「アザースキルガチャ」の4つと「ノーマルガチャ」が畫面に表示されるようになっていた。

(隨分と都合が良いな……何かあるのか?)

怪しみながらも、啓斗は「リカバリースキルガチャ」を押す。

いつも通り銅と銀の球がに吸い込まれていく。

しかし、

「來た……な」

一つだけ金の球が現れる。

それを吸収すると、次の瞬間、両腕の痛みがピタリと止まった。

ガチャ畫面を消し、包帯を取る。

外見にも傷は一切無かった。

「……なに? 一どうやったんだ、あれほどの傷なのだから完治にあと數日はかかるはずだぞ?」

先程から膠著こうちゃくしっぱなしだったディーラがようやく再起した。

「説明すると長くなりますが、簡単に言うと、たった今この怪我を完治させる能力を手にれたんです」

啓斗は非常に言いにくそうに言う。

「……そうか、そういえば大僧正様が昨日仰っていた。君はこの世界の常識からし外れた力を持っていると。それが、この能力という訳だな」

ディーラは苦笑いしながらそう言った。

「さて、ルカを捜しにいきましょう。いつまでも泣かせてるわけにいきませんしね」

「そうだな、急ごう。心當たりの場所があるんだ。著いてくるといい」

啓斗とディーラは、ルカを追って部屋を駆け出した。

「さて……と、これでよし。うん、我ながら完璧な作戦。これならイケそうですね」

「はーあ、いざ前準備全部こなしたら、ここ暇ですねー。真っ白なだけでなーんにも無いんですもんねー」

「……あー、やだやだ。獨り言にまで敬語がついてきてる。癖はつけたくないのに、もう」

通信がる。

「はい、もしもし。書類ですか?今できましたよ。そちらに送りますね。はい、自信はありますよ」

「あ、そうだ。何か気分を紛らわせるもの送ってくださいませんかね。一日中機械と睨めっこは流石に疲れます」

「はい、はい、じゃあお願いしますね。失禮します。はーい」

通信が切れる。

「ふふふ……これで私の勝ちに一歩近づきましたねぇ……」

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