《異世界スキルガチャラー》(500連目) 夕方:凱旋パレード

パレードの開始時刻は午後4時(とチケットに書かれていた)。

つまりパレードの開催時間は2時間。

しかもそれを見るために朝6時から人が開催地に殺到すると來た。

「騎士団の人気がそれくらいってことなんだろうな……」

眼帯の雙子と會話してから啓斗とルカはかなりの時間カフェでのんびりしていた。

その時間の中で店主からヴァーリュオンのことを々と聞き出したので、報収集という當初の目的の片割れは達できた。

店主から聞いた報をまとめるとこうなる。

1.ヴァーリュオンの國王は最近変わり、その若い國王は軍事に力をれている。

2.騎士団は団長より副団長と戦闘部隊長のほうが実力と人がある。

3.この國の力源は、魔法力を持続的に発する巨大なマジックストーンというもの。

4.シーヴァとゼーテは現在17歳。ある時を境にああいうじになり、今ではあれが當たり前。

5.騎士団の騎士達は、魔法力、剣技、そして神力が一流であることが求められる。

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6.そしてあの雙子は、歴代に類を見ない逸材であり、將來は國の最高戦力と確実視されている。

7.雙子に両親その他の親はいない。

現在時刻は午後3時45分。

店主に地図付きで教えてもらった場所まで行ってみると、そこは小さな教會だった。

教會に近づくと、どこからともなく機械的な聲が聞こえた。

『S席チケットをお見せ下さい』

ポケットからゼーテに貰ったチケットを出すと、勝手にが開き、ポケットに戻される。

『S席チケットを確認しました。ではどうぞ』

その聲が聞こえた瞬間、啓斗とルカは教會の中に引きずり込まれた。

目を開けると、小さな部屋の中にいた。

ただし、全面ガラス張りの。しかも宙に浮いている。

すると、また機械的な聲が聞こえてきた。

『こちらがS席になります。の屈折を作する魔法が常時使われておりますので、他の観客の方々に見える心配もございません。食べ、飲みのご注文は、壁に掛かっておりますメニューからお選び頂き、一聲頂ければ即時配達いたします。そして々ご迷かもしれませんが、パレード終了までここからの退出はご遠慮願います。では、騎士団の凱旋パレード、心ゆくまでご堪能下さいませ』

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ルカは目を輝かせて下を見つめている。

恐らく街の中心にある大通りだろう。その中心を一直線に空け、10000人は越えるであろう群衆が集していた。

ルカにとってはここまで人間が大量にいること自的なのだろう。

啓斗は、部屋にある2つの一人用ソファのうち1つに座り、腕時計を取り出した。

パレードが始まるまで5分。

啓斗はスキル図鑑を、ルカは森の木々のように集するヴァーリュオン國民達を見て過ごした。

そして突然ファンファーレが鳴り響き、巨大な馬車がどこからともなく出現した。

それに合わせてこの部屋も馬車の真上に移する。

ルカが歓喜の悲鳴を上げた。

『どの方を中心として追尾しますか?』

啓斗は

「シーヴァとゼーテを」

と答えた。

部屋が、馬車の上に乗って手を振っている(なんと純黒と純白の鎧をそれぞれ裝備している)シーヴァとゼーテの隣に近づき、馬車と並走し始める。

シーヴァは次々と気取ったポーズを決めたり投げキッスを飛ばしたりしては達をキャーキャー言わせている。

ゼーテはシーヴァとはまた違ったタイプのクールなポーズを決めたり手から炎を出してバラに変化させたりするなどのパフォーマンスをしている。

こちらもこちらで歓聲が上がったりしている。

「騎士団のパレードというより、この二人のパレードっていうのが強そうだな……」

ちなみに、シーヴァとゼーテが乗っているのが最後尾の馬車で、その前にもいくつか馬車があり、騎士達が手を振ったりしているのだが、雙子だけ周りの反応が明らかに違うのだ。

そのまま盛大な音楽とともにパレードは進行していき、大通りの半分ほどまでシーヴァ達の馬車が到達した時、異変は起きた。

最初に異変に気づいたのは、パレードの風景に早くも飽きてしまったルカだった。

「ねぇ、ケイト君、あれって……ただの鳥、じゃ、ないよね?」

指さしたのは、かなり上空。眼では厳しい距離だ。

啓斗は、今日手にれたスキル【百里眼】を使って「それ」を見た。

[イビルグリフォン Lv35]

その怪の頭上にはそう記されていた。

しかも、1匹ではない。10、50、100、200と、視界にる魔の數は一気に増えていく。

「噓だろ? マズイな、これは急いで行すべきか!」

啓斗はそう判斷するやいなや、【ダッシュアップ】を発

部屋の端から全力で疾走し、ガラス張りの壁を蹴破ってシーヴァ達の馬車に飛び移る。

あからさまに驚いたシーヴァと、目を見張るゼーテにこう告げる。

「上を見ろ!イビルグリフォンの群れがこっちに降りてくる!」

シーヴァとゼーテは慌てて上を見上げる。

もう知っている者なら眼で見れば分かるほどの距離に群れは接近していた。

「ゼーテ!」

「分かってるわよ!始末しましょう!」

2人は同時に剣を抜く。

そして、思い切り上空に跳躍した。

「仲間をやられた逆恨みって訳ね。でも、この私に手出しできなかった時點でアンタ達の……」

「フン、人が集するパレードを狙ったのだろうが、甘いな!このシーヴァ様を放置した時點で貴様らの……」

「「負けだよ!!」」

瞬間、シーヴァから闇の波が、ゼーテから眩まばゆい閃が放たれる。

は、グリフォンを次々と撃ち落とす。

そして手にした剣で落ちていくグリフォンの息のを止める。

そんな高速かつ一方的な戦闘が空中で始まった。

雙子は、空を飛んだままだ。

一方地上では、パレードに參加していた騎士や、パレードの警備をしていた兵士達が民衆を急いで先導していた。

空中のグリフォンの大群は全て雙子が2人だけでドンドン倒していく。

しかし、そう単純には終わらなかった。

「……なんだ、こいつら!?」

地中から突如出現する漆黒の犬の群れ。

[ヘルドーベル Lv12~20]

犬達は混が続く民衆に次々と飛びかかっていく。

騎士、兵士達が対応しているが、地面から無限に現れるヘルドーベルの群れに、かなり押され気味だ。

そんな風に馬車の上から狀況を見ていると、啓斗も7匹に囲まれていた。

フォレストウルフ以上のスピードで四肢に噛みつかれる。

瞬間、犬のが貫く。

そして「ピンチヒール」の2回目が自。瞬く間に傷が消える。

しかし、【緋ノ銃弾】はダメージをけなければ発できない型のスキル。

そしてその欠點を補える【ピンチヒール】は使い切った。

このまま行けば100%の確率でヘルドーベルにを食いちぎられて死ぬ。

ルカは馬車の上には降りてきているが、弓を宿に置いてきているため、自己防衛手段が皆無だ。

シーヴァとゼーテはグリフォンを処理しきれていない。

そんな絶的な狀況が始まりかけたその時、啓斗の腕時計から派手なノイズが走る。

そして、周・囲・の・時・が・止・ま・っ・た・。

『はー!絶絶命、大ピンチですね啓斗様!そんな貴方に朗報です!』

『ガチャアップデート第2弾!なんと、毎回ほぼ確実にURウルトラレアスキルが排出されるようにしました!』

『さらに!今日だけ特別に!今すぐ引けます!引きますよね!?ではどうぞ!』

ガチャ畫面が自的に現れる。

畫面には「アップデート完了」とデカデカと表示されている。

啓斗は、まさに都合のいいタイミングであることを怪しみながらも、しかしこれに頼るしか無いのだと、意を決してガチャを引いた。

金の球、SRスキルが5つ出現。

【騎士王剣技】【炎獣召喚】【雷雨共鳴】【ミドルレーザー】【回避力増強】

そして1番最後に、虹球が現れる。

手した初のURスキル。

スキル名は

【ドッペルメイカー】

「……ふう、上手くいきましたぁ。あー疲れた」

「これで、まあいいじに軌道修正されるはず」

通信がる。

「はい、もしもし。ああ、暇つぶしの件ですか。そうですねぇ、ペットとかいます?」

「最近生まれた子ですか!良いですね!システムにも組み込めますし、一石二鳥!すぐに送ってください!」

「はい、いやぁ助かります!あなた、話が分かりますね!はい、お願いしまーす!」

通信が切れる。

「……どいつもこいつもアホばかり。自分から首絞める選択肢提示してどうすんだって話だよ全く」

「ああ、でも折角だから名前付けてあげないと。どうしよっかなぁ……」

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