《異世界スキルガチャラー》戦いの日

最終的にシーヴァが毆られて終わった朝の一幕の後、啓斗達4人は練習用ダミーや的、お互いを相手に汗を流していた。

「ふっ!はあっ!この!」

ゼーテは魔法でかされているマネキン12を相手に、魔法や剣撃を駆使して戦っている。

「魔力増強!喰らえ!ダークネスフレ……げあっ!」

「……隙が大きすぎないか?これじゃあドーピング無しの俺でも勝てそうだぞ」

啓斗はシーヴァに無理やり組手に付き合わされているのだが、シーヴァが所々で技名を言おうとするのでそこを突く、を繰り返している(ちなみに8回目だ)。

「……うるさい!本気で戦っては君が一方的にボコボコにされるだけだからわざと隙を作ってやってるんだ!」

勢を瞬時に整えて距離を取ったシーヴァがぶ(この言い訳も8回目だ)。

「……………狙って…………放つ!」

ルカは先程から、10秒毎にランダムな距離にランダムな位置で出現する的を弓で抜く、という訓練をしていた。

出現範囲は前後1〜100m、左右70mずつ。

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最初にこの訓練法を提案したルカに、雙子は口を揃えて「無謀だ」と言ったのだが、あまりにも頑なだったので渋々承諾したところ、目を疑う景を目にすることになった。

命中率、驚異の95%

更に外したのは序盤でまだ慣れていなかった時のみ。

これには雙子だけでなく啓斗も言葉を失った。

一昨日、草原で「いてなかったら30m程度が程限界」と言っていたのは噓だったのか、というレベルの怪じみた正確と反応速度を持っている。

啓斗は脳でルカの役割を書き換えた(「木の実、野草収集係」→「戦闘要員兼狩猟係」)。

そんな個々の鍛錬が始まって1時間後、最初に音ねを上げたのは、啓斗だった。

「流石にギブアップだ。一般人の俺じゃもうが言うことを聞かない……」

そう言うやいなや地面にドッサリ倒れ込む。

どれだけスキルを使ってスピードを上げたり回復したとしても、能力的に啓斗は所詮、別世界から來た一般人に過ぎない。

「フン、だらしない!あんな正不明な技を使えるくせに力はほぼ素人しろうとと來たか!」

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それをシーヴァが見下ろしながら笑っている。

「……まぁ、これが普通だと思うけどね。この人、弾戦向きじゃ無さそうだし」

ゼーテは(恐らく)妥當な評価を下している。

「じゃあ、一旦晝食を兼ねて休憩にしましょう。シーヴァ、ケイトを支えて」

「……なんで僕が

「何か言ったぁ!?二日酔いの遅刻魔!」

「いえ、何も……」

ゼーテに怒鳴りつけられ、シーヴァはすごすごと啓斗の肩を擔ぐ。

「この僕が手伝ってやっているんだ。ありがたく思えよ」

その顔は今にも泣き出しそうだ。

(ゼーテって結構解決を力任せにするんだな……)

自分を擔いでいるシーヴァを睨みつけているゼーテを橫目で見ながら啓斗はそう思った。

「ルカ、実は弓の凄腕だったんだな」

晝食を食べ終わり、昨日行った雙子お気にりのカフェでコーヒーを飲みながら啓斗は言う。

「そんなことないって。ディーラさんとか森の大人達はリスだって一矢で取ってくるんだよ」

オレンジジュースをグイグイ飲みながらルカも言う。

「でも、ルカには才能が絶來絶対にある。よし、數日はここに泊まってシーヴァ達に腕を磨いてもらおう」

「賛!旅するんだったら魔くらい倒せないと!あ、でも今日はゼーテさんが「2人でちょっと散歩しない?」って言ってくれたから明日からね」

ルカの言葉に、啓斗はコーヒーを吹き出しかけた。

「ガハッ、ゲホッゲホッ……ん?2人で散歩?」

「うん。2時に広場集合って言われた」

時刻は午後1時40分。2人は店主に代金を支払い、外に出る。

すると、通りに見覚えのある姿が立っていた。

「……シーヴァか、どうした?」

シーヴァはこちらの姿を見ると、猛スピードで接近してきた。

「やぁ、ケイト!どうだい?どうせこれから暇だろう?この僕が街を案してあげよう!どうだい!!??」

恐らくシーヴァはルカとゼーテが2人で散歩に行くことを知っているのだろう。

回りくどそうで結構ストレートなフォローに、啓斗は心微笑ましい気持ちを覚えながら頷いた。

「じゃ、また後で!」

ルカは笑顔で中央広場に向かって走っていった。

「よし!じゃあ僕らも行こうか!じっくり話すのにいい場所があるんだ。ちょっと付き合ってくれ」

シーヴァはそう言ってせかせかと歩いていく。その速さに疑問を覚えながらも啓斗は著いて行った。

「んーっ!おいひー!」

ルカは、ゼーテに連れられて店したスイーツ店でパフェを奢おごってもらっていた。

「良かった、口に合って」

ゼーテはそう言ってチーズケーキを口に運ぶ。

「あ、それ一口食べていいですか?」

ルカの言葉に、ゼーテはケーキをしフォークで切って差し出した。

「あ、濃厚ー!うん、これもすごい味しい!」

そんなハイテンションのルカだが、ゼーテが次に言った言葉で固まった。

「ねぇ、ルカってあのケイトって人のことどう思ってるの?」

それに返事をするまでに、ルカは目線を左右に彷徨わせたり、目をパチクリさせたりしていたが、1度深呼吸すると、笑顔でこう言った。

「命の恩人で、私の中で1番頼りになる人です」

しかし、ゼーテに追加で投下された弾でまたルカはガチガチになる羽目になった。

「それって、ケイト君のこと好きって意味?」

「えーーーっと……それは…その……」

ルカは顔を真っ赤にして先程の數倍の速度で視線をかしていたが、最終的にテーブルに顔面を叩きつけて泣き出した。

「えっ!?いや、ルカ、ごめんなさい!そんなつもりで言ったわけじゃないの!」

流石に突然泣き出されるとは思っていなかったゼーテは、ルカをどうしようもできなかった。

數分後、ようやく落ち著いたのとゼーテがもっと味しいスイーツをたくさん奢ると約束したおでルカは元に戻った。

ルカは元に戻った後も、啓斗に対する心持ちについて一切語ろうとはしなかった。

(絶対にこの子、あの男のこと好きよね……)

次の店に向かいながら、街の景を楽しんでいるルカ見て、ゼーテはそう確信した。

「……さて、折りってというか、僕は君と話し合う必要がある、ケイト」

シーヴァが「ちょうどいい場所」として啓斗を連れてきたのは、小高い丘だった。

他には人影すら無い。つまり今現在、この丘にいるのは啓斗とシーヴァのみである。

「率直に言う。僕は、君の正について知りたい」

「そして、君が萬が一にでもこの國、そしてゼーテに危害を加えるようなら、君を始末しなければならない」

シーヴァの目は、鋭く、そして疑心に満ちたになっていた。

「できれば、僕は君を友としたい。だが、その未知の力に疑いを持つなと言われても不可能なのだということも理解してしい」

「君は今ここで、僕達の未來の脅威にならないと証明できるか?」

啓斗は、その言葉を靜かに聞いていた。

そしてゆっくりと口を開き、

「今すぐに証明はできない。何故なら俺は、この世界の人間じゃないからだ」

と言った。

「この世界の、人間ではない……?」

シーヴァは明らかに心をした。

「ああそうだ。俺は約1週間前、この世界に召喚された異世界人だ。そして、もしかすればこの世界を滅ぼせる力を持つ日が來るかもしれない」

「ここで俺を殺すのも良いだろう。正直、俺自もこれからどうなるか分からないんだからな」

啓斗は靜かな口調でシーヴァを挑発し続ける。

シーヴァは苦悶くもんの表で啓斗を見ていたが、意を決した。

「……分かった。君の実力を確かめさせてもらう」

「君が勝てば、もう僕は何も君に問わないと誓おう。だがもし、僕が勝ったなら……君の技と目的について洗いざらい話してもらうぞ!」

瞬間、2人は後ろに跳ぶ。

現在、約100種のスキルを使用できる啓斗とヴァーリュオン王國屈指の実力者「暗黒の騎士」シーヴァが、激突する。

啓斗はこの先、自分が生き殘れるのかという腕試しに。

シーヴァは、啓斗のを暴き、國と妹を守るために。

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