「行くぞ、シーヴァ！」

「僕は負けるわけにはいかない！」

お互いに武は持っていない。

だが、2人の手元に同時に魔法の剣が出現する。

シーヴァは獨自習得の魔法剣【シャドウブレイド】、啓斗はRスキル【マジックソード】だ。

更に啓斗は【ダッシュアップ】と【騎士王剣技】を発した。

SRスキル【騎士王剣技】

実、魔法問わず剣を持っている時のみ発するスキル。

反速度が4倍になり、更に脳に剣技が大量に自インプットされ、その技を自在に使えるようになる。

お互いの魔法剣がぶつかり合う。単純な筋力ではシーヴァの方が上だが、啓斗は剣技を使用したことにより耐えている。

「ぐ……う……」

「こ……のぉ…！」

しかし、押し切ったのはシーヴァだった。

力負けした啓斗は素早く顔を橫にそらす。

剣の切っ先きっさきが頬を掠かすめ、皮を裂く。

しずつ流れていくのをじながら、啓斗はシーヴァを見據える。

その時、ポツポツと雨が降り始める。

それは瞬またたく間に大雨となり、雷鳴も轟とどろき始めた。

SRスキル【雷雨共鳴】

上空の雲を魔で強制的に発達させ、雷雨を降らせるスキル。

更に、雷を程範囲の任意の場所に落とすことが出來る。

効果時間は3分。

「ほう、気候を変させるほどの力を持つか！異世界の使徒よ！」

ピンポイントで落ちてくる雷を魔法障壁でガードしながら、そうぶ。

シーヴァは怯まないどころか更にスピードを上げ、啓斗に斬り掛かる。

啓斗はどうにかそれをけ止めることが出來た。

しかし、シーヴァの剣から波が放たれる。

その衝撃に啓斗は吹き飛び、木に激突する。

背骨が一瞬で砕されたが、【ピンチヒール】が自発。無傷に戻る。

啓斗は雨の中で燃え盛る・・・・・・・・・犬のような獣を出現させた。

SRスキル【炎獣召喚】

火炎屬の召喚獣を3種類の中からランダムに一召喚する。

種類は、四足獣型、鳥獣型、擬人型の3種類。召喚された炎獣が消滅するまで次の炎獣は召喚できない。

召喚獣の炎は魔法によって生されているため、水で消えることはない。

「ガルルアアァァ！！」

炎獣はシーヴァに襲いかかる。

「なっ！召喚獣だと！？貴様、一どれほどの種類の魔法を使いこなせるんだ！？」

炎獣の攻撃を辛うじて躱かわしたシーヴァ。

しかし、彼にとって狀況は悪化の一途いっとを辿っている。

現在シーヴァは、啓斗本人、落雷、炎獣の3つからの攻撃をかいくぐりながら啓斗にダメージを與えなければならないという狀況に立たされているという訳だ。

「このままでは……良くて相討ち、悪ければ……死ぬ」

シーヴァはそう悟る。

シーヴァは覚悟を決め、眼帯を外す。

【力グラヴィテイションの・黒眼ブラックアイ】が発した。

もう一度シーヴァに襲いかかった炎獣が地面に叩きつけられめり込んでいき、完全にきが取れなくなってしまった。

「言っておくが、何出してこようが同じことになるぞ？」

変わらず降ってくる雷を防ぎながらシーヴァは言う。

「そしてケイト、君に降伏を勧すすめる。この黒眼を本気で使えば、君を殺してしまいかねない」

シーヴァの言葉は、自の力を信じ切ったものであり、同時に勝利宣言でもあった。

だが、その言葉に啓斗の顔面筋は一切反応を示さなかった。

「甘いな、シーヴァ。それは、人を殺すのが怖いから逃げているだけだろう？」

ここまで來ても啓斗は挑発をやめない。

「正直、俺を倒したいなら不意打ちで良かったんだ。俺は不意打ちに対応できる能力は持っていない」

そしてこう告げる。

「シーヴァ、お前は魔にしか非になれない二流だ」

と。

その言葉は、シーヴァのとある部分にれていた。それは彼が激昂げきこうするに充分すぎる程度のものであった。

シーヴァは、雷を弾き飛ばしながら啓斗に向かって突進する。

啓斗にく気配はない。

シーヴァは啓斗のぐらを摑み、

「貴様に！僕の苦しみが分かるものか！軽々しくそんな口を、叩くな！！」

瞬間、シーヴァの黒眼が最も深い闇を放つ。

啓斗のは、側から裂して吹き飛んだ。

返りを浴び、數秒経ってからシーヴァは我に返る。

「あ、あああ……僕は、僕は……」

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」

絶し、雨の中で涙を流す。

しかし、すぐにおかしいことに気がついた。雨が止まない・・・・・・のだ。

この雨は、啓斗の【雷雨共鳴】によって起こっているものだ。ならば、啓斗が死亡すれば雨は止むはず。

「……ま、さか」

シーヴァのを、啓斗のが貫く。

木の影から本の・・・啓斗が現れた。

「分……だったのか……一、いつから？」

四肢を的確に貫かれ、きできなくなったシーヴァは息も絶え絶えに問う。

「炎獣を召喚した後からずっとだ。挑発していたのも分だよ」

シーヴァを見下ろして啓斗は言い、そして彼に深く頭を下げた。

「すまない、シーヴァ。本気で戦ってしかったからし怒らせようと思ったんだが、れてはいけないにれてしまったようだな」

真面目に頭を下げる啓斗に、シーヴァは思わず吹き出した。

「フッ……フハハハハ！そうかい！まさかこの僕が手の平の上で踴らされていたとはね！」

「いや、參った！僕の完敗だ！それに、君の見え見えの挑発に乗ったぼくの至らなさが招いた結果であるし、謝ることはないぞ？」

その言葉に、啓斗はゆっくりとだが頭を上げた。

「ただし！」

しかしまだ言葉は終わっていなかった。

「僕の怪我を治してくれ！これじゃけないし、雨が傷にって痛くて仕方ない！」

シーヴァのそのセリフに、2人は聲を出して大笑いした。

「あれ、雨上がった？」

「そうね、じゃあシーヴァ達と合流しましょう。アイツが街を案したなら、最後に行く場所は決まってるもの」

雨宿りしていたゼーテとルカは、啓斗達がいる丘に向かって歩き出した。

空には、しい虹がかかっていた。