《名無しの英雄》55話

「最初はグレイと戦ってくれ。グレイに勝てないようじゃ俺にも勝てるわけないからな」

街長は笑いながらそう言う

「わかった…」

スズの表はそれはもう怒っていた…

ここまで怒ったスズを見るのも初めてか?

「じゃあ審判は僕がするよ」

ため息を吐きながらシトウが言う

「じゃあ両者始めるよー?」

「ツブす」

スズは笑顔で言う

「やれるもんならやってみろ」

グレイもそう言う

この試合で死人が出ることはシトウが審判をしている時點で無いだろうが……心配ではあるな

「では初め!」

そう言うとスズは2つの剣を持って駆け出す

スズは最もわかりやすく、勝敗がキチンとするように真っ向勝負をするようだ

グレイも同じような考えみたいだ

スズが全力で剣を振るう

それをグレイは避ける素振りもしなかった

「おい!シトウ!」

あのままじゃあグレイが死ぬ!

「大丈夫だよ」

シトウがそう言うと同時にスズの剣がグレイに當たる

だが弾かれたのはスズだった

「くっ」

スズは距離をとる

「な?大丈夫だろ?」

シトウは最初から分かっていたような口調で言う

「そんな程度の力しか無いのか?ガッカリだな」

「お前……コロスよ?」

ヤバイぞ、あれ

スズの目が本當に殺しにかかっている

正直ああなったら俺にも止められるのか?

止められる自信が無いんだけど……

「………」

スズは一瞬でグレイの前に立って剣を振る

「??」

何故剣が速くなった?

さっきも正真正銘スズは全力で剣を振るったはずだ

ならそれ以上の速さが出ることは無いはずだ

しかもそれすらもグレイは剣も抜かず、防の構えもしない

だがそれでも傷つかない

考えられる答えは2つ

圧倒的な防力か、そう言うスキルかだ

俺が考えている間にもスズは連続で剣を振る

「……」

スズは効かないと悟り距離を置く

次にスズが攻撃するモーションを見せた時にはグレイの後ろにいた

あれは……俺に相當するような速さだぞ!?

「ちっ……」

それでもグレイは平然としている

寧ろ傷一つ出來ていない

「………そこまででいいだろう?スズさん、街長?」

スズはとても悔しそうに頷く

街長も了承したようだ

「この勝負は一応引き分けとするよ」

シトウが言った

「いつの間にあんなに強くなったんだ?」

今回のスズの試合を見てそればっかり考えた

スズは俺と一緒にいる

ならば戦闘の経験などは俺と変わらないはず……

いや、俺の方が富だ

なら何故あんなに強くなっている?

「………」

スズは答えようとしない

「まぁまぁ、その位にしてさ……街長と話し合いをするよ」

「はーい」

レオンがシトウについて行く

俺達もシトウのついて行った

「やはりそうか…」

「うん、そうだよ」

「スズはこれからも強くなるだろうな…」

「うん、そう心から思うよ」

「結果としてはグレイが圧勝した様に見えたが……実際はグレイの負けだな」

「正直スズさんは種族もさる事ながらあのスキルを持っているからね」

「あぁ、魔法帝と似たようなスキルだな」

「種族も同じだよ。なら後は才能があるかないかで決まるね」

「スズはあのずば抜けた戦闘センスがあるからな……強くなるだろう」

「あぁ、……あと貴方の息子もあのスキルなんだね?」

「そうだ……これから忙しくなりそうだ。これで何人発見したんだ?」

「全部で……6人だね」

「あとしか…」

「あぁ…」

そして2人は乾杯した

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