《名無しの英雄》69話

チェスはこんな時でも寢っ転がっている

しかしそんな事も意に返さずにクリスが突っ込んでくる

「………〈転移〉」

クリスが剣を振り下ろすと同時にチェスも距離をとる

「…………なんの目的でアナタはここにいるの?」

チェス仰向けになってクリスに問う

「そんなの決まってるじゃないですかァ……貴の事がおしくておしくて……殺したいんですよねェ」

クリスの目は走り、通常のクリスからは考えられないほど言葉も雑になっている

「貴の事は學園から気になってましたからねェ……衝を抑えるのに必死でしたよォ?」

クククッと笑う

「…………アナタの事はいい後輩としか認識してない……元からそのつもりで近づいたの?」

「當たり前じゃないですかァ?目的が無かったらあんな化けが揃ってるクラスに近づきませんよォ?」

ヘラヘラと笑いながら言う

「…………そう」

悲しげな顔でそう言った

「…………なら………あの子にバレる前にどうにかしないとね…」

そう呟いて全帝と戦いそうな雰囲気のシトウを見る

「さァ?貴は戦ったら強いんでしょう?なら楽しませて下さいよォ?」

そう言ってクリスが突っ込んでくる

しかしチェスは転移もしないし、立ち上がりもしない

ただ手をパチンっと鳴らした

「うぉ!?」

それだけでクリスが何かに潰される

「…………私は……戦いたくない……特にアナタとは」

「ふふふ……あははハハ!」

狂ったようにクリスは笑う

「………」

急に笑い聲が止む

「貴には本気で行きます」

そう言うと虛空にざっと1000本ぐらいの剣が現れる

それは浮かび、そしてチェスに切っ先が向いていた

「《剣聖》の力を知るといいよ」

そしてクリスは手を振り下ろすと同時に剣がチェスに向かって飛ぶ

「〈転移〉!?」

急いで離れた場所に転移する

まだ多くの剣が浮いている

チェスは手を振り下ろす

「〈防の陣〉」

クリスがそう唱えると剣が盾の様になり上空に集まる

ガシャンっと音がして盾が軋む

「貴の攻撃はかなくていいスキルだ。だが致命的な欠點が存在する。それはーー」

言い終わる前にチェス

橫に手を振るうが…

盾が橫に移してクリスを守る

「攻撃をする時が一目瞭然なのと発してからタイムラグがある事だ」

「…………」

チェスは心で焦っていた

チェスのスキルは確かにかなくてもいい様に特化したスキルだ

〈転移〉も出來るし〈瞬間移〉も出來る

攻撃は手を振るうと指定した位置に攻撃が出來る

便利だがクリスに言われた通り欠點がある

しかもそれを見破られると攻撃は通らなくなる……

「こちらのターンだ」

また剣が飛んでくる

急いで転移する

それを數回繰り返した

「はぁはぁはぁ」

かなくていいといってもチェスにも力が存在する

しかも普段かないので力が致命的に無い

「これで終わりです」

1本の剣が飛んでくる

「仕方ないか」

初めてここでチェスが自分の足で立ち上がった

そしてチェスの腹に剣が突き刺さる

剣はチェスを貫通し、地面に刺さる

「………終わりですか」

そうクリスが呟いた時

「ええ、これで終わりですね」

耳元で聲が聞こえる

「!?」

急いで振り返ろうとするがかない

「何故!?」

クリスは自分の腹を見るとチェスを突き刺した剣がそのままそっくりと刺さっていた

「………ぐっ」

クリスは反吐を吐く

「何故……?確かに刺さったはず…」

「アナタはスキルを勘違いしている。このスキルは『かなくても相手が倒せる様に特化したスキル』だよ?ならカウンターが無いのはおかしいよね?」

無表でチェスは言う

「そんな事は知ってますよ……あぁ、でも良かったです」

「え?」

「自分を止めてくれてありがとうございます……そして貴がそうして立っているのを見れただけで幸せです」

「……え?アナタ…」

そうチェスが聲をかけようとした時にはもう既にクリスは死んでいた

「アナタは最初から正気だったのね……わざと殺されようとした……」

チェスは先程の戦いを振り返る

1度だってチェスに向かって殺意を飛ばしたりしなかった

「アナタは……不用ね……」

チェスは剣を抱いて泣いていた

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