《異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?》34話 覚悟

時はし遡る──

「──という事だから、おにぃは無事らしいの」

 そして、佐野祐の妹、佐野結はミスラとの會話のあと、一部始終を両親に伝えていた。

 結の話を聞いた2人は、普段なら冗談としてけ取っただろうが、こんな最悪な狀況で、正常な理を保てというのも無理な話。

 その結果、結の話を複雑さ顔をしながらも、しっかり聞いていた優香が口を開く。

「で、でもそんな事って....」

 だが、聞くのと信じるのは別の話。こんな、混している狀況でさえも、結の話は現実的ではなかった。

「優香、確かに今の話を、本當だと思うのは難しい、けど俺らがそれを理解する事を考えるより、祐の無事を優先させた方がいいんじゃないか? なくとも、今、祐は生きている」

 優香にめの言葉をかけたのは、祐の父、佐野海斗だ。見た目は特別カッコイイわけてもなく、だが暗いじではない、平凡と言えばそれで終わりだが、その雰囲気は祐と同じで、周りを落ち著かせる冷靜さがあった。

Advertisement

「そ、そうよね..海斗さんの言う通りだわ。 結、それで、その異世界から裕くんは戻ってこれるのかしら..?」

 不安は殘るも、取り敢えず、いつもの落ち著いた雰囲気の母に戻った事に、し安堵した結は、ミスラからの提案について話し出す。

「それは...分からないけど、今おにぃは1人、異世界に連れてかれてすごく不安だと思うの....!だから私がおにぃの所に行って、安心させたいの」

「「........」」

 この提案には、勿論二人ともが渋る。たが斷固拒否しないのは、祐のを思っての事、そして結は、言い出したら聞かないところがあるからだ。

「でもそこは、危険な場所なんでしょう? 祐くんは男だから、何とかなってるかもしれないけど、どんな危険があるかわからないのよ?」

「それでも....行きたいの。それに、私一人で行こうとは思ってないの」

 危険であることは、結も知っていた。だからもう1人、助っ人を呼ぶために、ミスラには、その場で転移してもらうのを、止めさせたのだ。勿論、これ以上、家族に心配させない為に、最低限の話はしておこう。と思っての事もあるが。

「一応聞くけど、誰と行こうと思ってるの....?」

「おにぃの友達....蓮って人が居たでしょ? あの人なら、事を話せば、來てくれると思って」

 正直、この方法は結としては、自分で出した條件でありながら、あまり気乗りはしていなかった。

 そこには、兄の親友に迷なんてかけられない! ︎    という訳では全く無く、ただ単に、付き合いの長さは、妹の私ほどでは無いものの、仲の良さで言えば、長年結が嫉妬し続けるほどであった、ある意味、敵とも呼べる者を、連れていくのは抵抗があった。

 だが、1人で行くとなれば、例え結の格をよく知っている2人でも、流石に了承してくれないと思い、その結果、結にとって、苦渋の選択を強いることとなった

「‥‥確かにあの子なら、信頼できるけど‥」

 悩んでいる母を見て、結は自分が出した條件は、確かに効果があったのだと理解でき、安堵する。

 それから、3人は話し合うこと數分。

 優香と海斗は頷き合うようにして

「‥‥分かったわ。 裕くんのところにいってあげて頂戴」

 その言葉に結は、一番難関だと思われた問題が解決し、これでおにぃに會える! と表に出して喜んだ。

「まだ行けると決定したわけじゃないわよ? 條件をまだ言っていないでしょう」

 喜んでいる矢先に、そんな事を言われた結の表が、一瞬で凍りつく。

「え?條件って、だってさっき‥‥」

「それは最低條件よ。本題はここから」

 その言葉に結は、テンションをし落としながらも、これから母が出す條件に、しっかり耳を傾けた。

「まず一つ目、蓮くんが同行を承諾する事、そこの危険もしっかり伝えないとダメよ? 」

 蓮への迷など、一ミリも考えていなかった結にとっては、し誤算ではあったが、裕と蓮の仲の良さは、皮なことにも結が一番知っている。なので問題はないだろうと考える結。

「うん」

「じゃあ二つ目、これは言わなくてもそうするとは思うけれど、危険なことには首を突っ込まないこと」

これも問題ない。

「大丈夫だよ」

「最後に三つ目‥‥もし、その異世界が、の繋がった家族での結婚が法的に、許されていても、変な気を起こしちゃダメよ? 」

「‥‥‥‥」

どうやら起こす気だったようだ。完全に目が走っている。

「‥‥ゆ〜い〜?」

「わ、わかった!分かったからその黒いオーラやめて!」

 結の黙権の行使は、一瞬で砕けた。

「はあ、冗談のつもりで言ったのに‥」

「え!? じゃあ結婚していい? 」

「ダメに決まってるでしょ?? 」

 ガクッと項垂れる結。割とそっちが本命だったんじゃないかと思わせるほど、テンションが落ちている。

「結、貴方もそろそろ兄離れしないとダメよ? 」

「兄からはとっくに離れてるもん‥‥」

「そっちじゃないのよ‥離れてしいのは‥‥」

 異世界での結婚は、諦める結だったが、兄への想いは、全く消えてないという雰囲気だった。

「結もそんな歳か‥父さんし悲しいぞ‥‥」

「あ、うん、そういうのはいいや」

「ゆぅこぉぉ! 娘が父さんを冷めた目で見てくるぅぅ」

 先ほどの冷靜さはどこに言ったのか、ただの親バカになった。

「はいはい、もう父親が娘を可がる時代は終わったんですよ、海斗さん」

 こうして、佐野海斗は、唯一の救いからとどめを刺されるという、父として、なんとも殘酷な最後を迎えるのだった。

    人が読んでいる<異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください